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身近な気象のふしぎ

身近な気象のふしぎ

近藤 純正:著・文・その他
A5判 196ページ
価格:3,410円 (消費税:310円)
ISBN978-4-13-063719-0 C1044
奥付の初版発行年月:2023年08月 / 発売日:2023年08月上旬

内容紹介

地球温暖化によって雨は増えるのか? 晴れた日の夜はなぜ冷え込むのか? 火山噴火が夏の気温に与える影響とは? 身の回りやニュースで目にする天気の疑問や不思議を考えることで、自然現象の原理とそのおもしろさを学びながら、気象学の基本を身につける。


目次

まえがき
1 地球温暖化
地球・大気系の有効温度
地表面に入る放射はどのくらいの量か
温室効果はどのように起こるか
潜熱・顕熱とは
気温の長期変化から温暖化を探る
長期的な気温観測の誤差
CO2 の増加による地球温暖化
備考:可降水量
むすび
2 温暖化は降水量を増やすか?
降水量の観測には誤差がある
日本の降水量の長期変化をみる
蒸発量は温暖化でどう変わるか
備考:熱収支式の解法
森林破壊による降水量の減少
ポテンシャル蒸発量(Ep)とは
Epを求めるときの注意
森林破壊と蒸発散量・降水量の関係
地上気温が高いほど極端に激しい降水が強くなるか?
参考:飽和水蒸気圧
重要な放射量の監視
放射量の微小差を検討する
参考:有効水蒸気量の全量を表わす実験式
むすび
3 都市の気候と日だまり効果
年最低気温の上昇
都市化昇温観測の実際
都市は乾燥化しているか
参考:湿度の長期変化には誤差がある
昇温・乾燥化による霧の減少
日だまり効果とは
アーケード街はなぜ暖かい
海岸から遠いほど気温は高くなる
むすび
4 晴天日の夜が寒くなる理由
晴天日の夜は寒くなる
放射冷却とは
葉面の温度と風速・雲量
覆いで葉面の凍霜害を防ぐ
むすび
5 昼夜と場所によって変わる風速と突風率
大気安定度とは
参考:大気安定度を表わすリチャードソン数
コリオリの力と地衡風
備考:ズレの角度 45°のエクマン螺旋
参考:等圧線を斜めに横切る風の角度(風向)
温度分布による風速の変化
大気安定度と風速の鉛直分布
地表面の凸凹(粗度)と風速
風速の時間変動
地表面の粗度が突風率を上げる
海岸の突風によるトラックの横転災害
防風林の効用
時代による風速の見かけ上の変化
むすび
6 河川改修と養殖魚の大量死事件
河川改修による水温変化
水温変化と魚の大量死事件
河川の流量と水温を予測する
眞鍋淑郎のバケツモデルと「新バケツモデル」
むすび
7 火山噴火と冷夏
噴火後の異常な朝焼け・夕焼け
噴火規模の定義(1999年までの噴火に利用)
大規模噴火後は冷夏になる
噴煙微粒子と直達日射量
新しい大規模噴火の定義(2000年以後の噴火に利用)
参考:気象庁の放射観測
霧と雨天がもたらす東北地方の大冷夏
むすび
8 蒸発・蒸散量と気温の関係
熱輸送と温度
地表面の熱収支式
飽和比湿と温度の関係──バルク式
熱収支式を解いてみよう
特殊な場合(その1:湿度が飽和のとき)
特殊な場合(その2:無風のとき)
参考:熱収支法
葉面の蒸発(蒸散)効率とオアシス効果
むすび
9 森林の水収支・熱収支と林内の気温
降水量・蒸発散量・流出量の関係をみる
森林伐採・火災による蒸発散量の減少
葉面積指数と蒸発散量
熱収支量の季節変化・日変化
潜熱輸送量を理論的に考える
日射の透過率や見通しと林内の気温
林内の見通し(良好林と不良林)
むすび
10 砂時計に学ぶ砂漠の気候
砂時計の中の気象
畑地の乾燥を砂で防ぐ
クイズ
裸地面(砂漠など)蒸発をモデル化する
裸地面蒸発モデルを使ってみる
土壌の種類と蒸発・水資源量
参考:土壌面蒸発を表わす式
むすび
11 湧水の温度と環境変化
東京の湧水温度の上昇
温暖化と湧水温度
都市化と湧水温度
地中の深さと温度変化
東京都内の気温の上昇は大きいか
東京都内の湧水温度の上昇は大きいか
むすび
12 空間の大きさと温度変化の時間
冬期の室温変化
床面の極小低温層
地震観測壕内の温度を測る
温度変化と時定数(追従時間)
理論式による時定数
放射時定数を求める実験
時定数と規模──小箱の中から地球まで
むすび
13 大気・海洋の熱エネルギー移動と地球の気候
波のある海面上の風速は対数則に従わない?
参考:海面の粗度と砕波
海面熱収支量をパラメータ化する
参考:バルク係数の実験式
参考:大気安定度が不安定で自由対流のときの交換速度
参考:なめらかな面と粗面
「気団変質実験 AMTEX」の観測
海面から大気への熱輸送の量
黒潮による海洋熱輸送の量
むすび
付録 大気境界層・熱収支水収支論の発展史
(I)1900年代初期の研究
(II)1950年代のころの研究
大気放射学
接地層における相似則とKEYPSの式
(III)1960~2000年の研究
カルマン定数
非常に安定なときの放射の役割
海面(水面)のバルク係数
備考:回転式風速計の動特性
数値天気予報の試験開始
気団変質実験AMTEX
有効入力放射量の利用
各種地表面の熱収支量の計算
(IV)2000年代の研究
正しい地球温暖化量の評価
温暖化と放射量の監視
植物葉面の気孔の潜在的応答
農業分野における気候変動対策
植物の微気象環境に対する遺伝子レベルでの生理応答
(V)全球の陸面での熱・水収支と地球表層の水循環
あとがき


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