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「番外地」テレビ局の生存戦略攻めてるテレ東,愛されるテレ東

攻めてるテレ東,愛されるテレ東 「番外地」テレビ局の生存戦略

四六判 220ページ
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-13-053029-3 C1036
奥付の初版発行年月:2019年10月 / 発売日:2019年10月下旬

内容紹介

テレビ離れが進むなか,いま最も視聴者から「愛されている」テレビ局,テレ東.そこに至るまでは後発局ゆえの挫折と苦闘の歴史があった.テレ東設立の歴史的経緯を辿り,テレ東が支持される理由(たのしさ)を存分に分析する.現在のメディア状況,ひいては日本社会のテレビの将来的可能性についての探求の書.「一番テレビを見ている社会学者」渾身の書下ろし!!

著者プロフィール

太田 省一(オオタ ショウイチ)

社会学者/文筆家

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに 攻めてるテレ東,愛されるテレ東 
 〝愛されるテレ東〞──「テレ東だけアニメ」の安心感
 テレビ東京は攻める──「テレ東だけサッカー」になった日
 平成とともに脚光を浴びた「テレ東らしさ」
 〝主人公〞になったテレビ東京──本書の目的と構成

歴史編 テレ東と戦後

1 科学教育専門局・東京12チャンネルの誕生──もうひとつの「1964」 
 財団が作ったテレビ局
 なぜ科学教育専門局だったのか?
 東京オリンピックと東京タワー
 開局初日のSFドラマ
 三すくみの構造
 いきなり訪れた危機
 日本経済新聞の経営
 参加,そして一般総合局へ
 「テレ東らしさ」の原点

2 「番外地」の挑戦──苦闘する一九六〇・七〇年代 
 三強一弱一番外地
 「女子プロレス」中継,当たる
 『プレイガール』と『ハレンチ学園』
 「エロ」の時代背景
 もうひとつの〝プロレス〞──ローラーゲームブーム
 『年忘れにっぽんの歌』から『演歌の花道』へ
 アイドル番組の老舗的存在に──『ヤンヤン歌うスタジオ』
 他局へ移った音楽番組──『題名のない音楽会』
 箱根駅伝中継事始め
 中川順の三つの構想

3 「フジテレビの時代」と「テレ東」のニッチ狙い──模索する一九八〇・九〇年代 
 「フジテレビの時代」と第二のスタート
 「テレビ東京」誕生と「12時間ドラマ」
 日本一早いスポーツニュース
 ニッチとしての経済ニュース──『ワールドビジネスサテライト』始まる
 「日常」もエンタメになる──『クイズ地球まるかじり』と『出没!アド街ック天国』
 「素人」が主役──『所ジョージのドバドバ大爆弾』の新しさ
 『浅ヤン』のタブー破り
 『開運!なんでも鑑定団』が醸し出した「テレ東らしさ」
 「素人」の凄さを見せる──『TVチャンピオン』の登場
 模倣される「テレ東」

4 「テレ東」ブランドの確立──躍進する二〇〇〇年代以降 
 アニメのテレ東
 「エヴァ現象」と深夜アニメ
 深夜ドラマの冒険──「ドラマ24」
 深夜バラエティが引き出す芸人の底力──『ゴッドタン』
 『モヤモヤさまぁ〜ず2』と「ユルさ」の誕生
 旅番組はエンタメになる──『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』
 「経済ドキュメンタリー」という挑戦
 受け継がれる「テレ東らしさ」──「池上彰の選挙ライブ」シリーズ
 分析編に向けて

分析編 テレ東が愛されるワケ

5 「素人」と「ユルさ」──「袖すり合うも他生の縁」の実践 
 なぜ,「素人」は特別なのか
 出川哲朗が人気になる理由
 芸人と「素人」が等価になるとき
 「ユルさ」という〝救い〞
 笑いだけではない「ユルさ」
 「ユルい」人生との出会い
 テレビだからできるコミュニケーション

6 「深夜番組」人気──オタク化する世界の地平 
 『やりすぎコージー』がたどった道
 「ゴールデン降格」と言われる時代
 『やりすぎ都市伝説』が物語るマニアの大衆化
 熱量を描く──『アオイホノオ』の魅力
 深夜が引き出す過激さ──『おそ松くん』から『おそ松さん』へ
 深夜のアイドル──『マジすか学園』の場合
 『ゴッドタン』が示す「笑い」への覚悟
 『タモリ倶楽部』の変容
 テレビにおけるオタク文化とサブカルチャー

7 テレ東とNHK──ニッチを狙え 
 NHKとテレ東は似ている?
 公共放送と民間放送
 東京オリンピックがNHKを飛躍させた
 NHKは言論機関ではなく報道機関
 テレビジャーナリズムとはなにか?
 ドキュメントとしての「顔」
 『NHK特集』から『NHKスペシャル』へ
 NHKは「体制内ニッチ」,テレビ東京は「体制外ニッチ」
 『山河燃ゆ』と『二つの祖国』
 「やりつくされた感」に抗して

8 テレ東支持の構造──テレビの外側の「リアル」の彼方へ 
 戦後を生き延びた「テレビっ子」
 趣味のコミュニティ──テレビと社会の関係が逆転した平成
 よりマニアックに──インターネットの普及のなかで
 「リアル」を探し求めて──最前線に立つテレビ東京
 「リアル」と社会──テレビ東京の前に立ちはだかるもの
 いま,「テレビっ子」はどこにいるのか?──視聴者の成熟とテレビ東京の役割

おわりに 「テレ東的なもの」,その本質と可能性 
 リアルなフィクションへ
 経済をドラマにする
 『孤独のグルメ』はなぜ成功したか
 他者との関係性にふれる──『きのう何食べた?』のリアル
 「私テレビ」としてのテレビ東京──日本的テレビメディアの可能性

あとがき


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