超越性の教育学
価格:13,200円 (消費税:1,200円)
ISBN978-4-13-051365-4 C3037
奥付の初版発行年月:2023年09月 / 発売日:2023年09月下旬
教育思想研究を牽引してきた著者の重要論集。教育ということを擁護する根拠にむけて
教育というわざの核の核、芯の芯とは何にあるのだろう。教育人間学、臨床教育学など現代の教育思想が問うてきたもの、ハイデガー、デューイ、ドゥルーズが投げかけてきたもの。いま教育を擁護することができるとすれば、何によるのか。ことば、交感、そして希望へと、読者を思索に誘う。
田中 智志(タナカ サトシ)
東京大学大学院教育学研究科教授。1958年生まれ。東京学芸大学助教授、山梨学院大学教授等を経て現職。単著に『人格形成概念の誕生』(東信堂、2005年)、『教育思想のフーコー』(勁草書房、2009年)、『共存在の教育学』(出版会、2017年)、共著に『プロジェクト活動』(東京大学出版会、2012年)や『キーワード 現代の教育学』(共編、東京大学出版会、2009年)などのテキスト多数。また『デューイ著作集』の総監修をつとめる。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はしがき
序 章 超越が閑却されるなかで――自己創出と関係性
1 閑却される超越
2 機能的分化と〈よりよく〉
3 自己創出と関係性
4 問い・提案・構成
第I部 比喩の存在論
第1章 言語活動の存在論――表象すると想像する
1 言語活動を存在論的に
2 文脈としての全体性
3 スローンの洞察-想像論
4 比喩論的動態
5 矛盾的である人格
第2章 探究と文脈――人はどのようにわかるのか
1 人はどのようにわかるのか
2 デューイの探究論
3 デューイの記号と象徴
4 プロジェクト型授業と存在論的思考
5 存在論的な文脈構成へ
第3章 表徴と反復――人はどのように学ぶのか
1 人はどのように学ぶのか
2 ドゥルーズの表象論
3 ドゥルーズの表徴論
4 表徴の学びと理念への信
5 超越性に向かう表徴の学び
第4章 隠喩とイロニー――人はどのように超越するのか
1 人はどのように超越するのか
2 思考と一義性
3 隠喩と霊性
4 イロニーと「良心の呼び声」
5 人は内在的に超越する
第Ⅱ部 交感の存在論
第5章 教育関係の存在論――共存在と超越
1 教育関係を存在論的に
2 ハイデガーの共存在論
3 交感が教育関係を構成する
4 教育関係の交感論的基礎
第6章 一つのいのちと関係性――人はどのように感じるのか
1 人はどのように感じるのか
2 ドゥルーズの一つのいのち
3 交感と愛他の関係
4 一つのいのちと経験
5 一つのいのちを支える関係性
第7章 自律と関係性――どのように人を気遣うのか
1 どのように人を気遣うのか
2 ケアリングと交感
3 親近の関係性と唯一性
4 享受の関係性と敢然性
5 自律を支える交感の関係性
第8章 希望と関係性――どのように教育を肯定するのか
1 どのように教育を肯定するのか
2 教育の肯定性とメリオリズム
3 生の希望と生動の経験
4 生の希望を生みだすもの
5 教育臨床学の課題
終 章 超越性の教育学――強度とメリオリズム
1 教育の相互活動
2 強度(固有的かつ超越的に)
3 メリオリズム(未然のテロスへ)
4 活動と超越性
あとがき