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日本蚕糸業史再考

日本蚕糸業史再考

A5判 212ページ
価格:5,500円 (消費税:500円)
ISBN978-4-13-040314-6 C3033
奥付の初版発行年月:2023年09月 / 発売日:2023年09月下旬

内容紹介

『日本蚕糸業史分析』の刊行から半世紀を経て、進展する蚕糸業史研究の現在と、今後の日本経済史研究の展開を見通す。かつて提起された「優等系」と「普通系」という製糸経営の二類型論を用いながら、それぞれの技術面を詳細に検討し、生糸市場で日本が優位に立った国際競争の実態と、その後の破局的事態への対応を明らかにする。

著者プロフィール

石井 寛治(イシイ カンジ)

東京大学名誉教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 問題の所在
付論①[書評]井川克彦著『近代日本製糸業と繭生産』(東京経済情報出版、一九九八年)
付論②[書評]中林真幸著『近代資本主義の組織――製糸業の発展における取引の統治と生産の構造』(東京大学出版会、二〇〇三年)
付論③[書評]上山和雄著『日本近代蚕糸業の展開』(日本経済評論社、二〇一六年)
第I編 日本蚕糸業における伝統と革新
第一章 日本蚕糸業の地域類型――長野と群馬の組合製糸を中心に
はじめに――研究史的回顧
一 群馬県における組合製糸の発展
二 長野県における組合製糸の発展
おわりに――満洲移民への途
第二章 蚕糸技術の伝統と革新
はじめに
一 世界遺産登録時の構想
二 登録以降の世界遺産の管理・活用と研究
おわりに
第三章 前橋の改良座繰――交水社の場合
はじめに
一 交水社社員の改良座繰経営
二 巨大製糸結社交水社の発展と限界
おわりに
第II編 世界市場における富岡製糸場
第四章 富岡製糸場における経営革新
はじめに
一 富岡製糸場はどのような品質の生糸を製造したか
二 富岡製糸場の日本国内での経済的位置はどうだったのか
三 イタリア・中国製糸業と日本製糸業の違いは何か・
第五章 製糸経営の二類型における工場法
一 課題の設定
二 労働時間制限への製糸家の反対
三 製糸経営の二類型と労働時間
四 製糸業の特別扱いの強化
五 議会での攻防と法案の成立
六 製糸業内部からの規制の要請
第六章 近代世界市場における日本生糸と中国生糸
はじめに
一 世界市場における日本生糸の量的制覇――「適正技術」の創造
二 日本蚕糸業の持続的な技術革新――政府・製糸家・研究者の連携
三 日本生糸と対抗する中国生糸――短期租廠制による技術の停滞
おわりに
第七章 日本蚕糸業の戦前史と戦後史
はじめに
一 蚕糸業の分析方法
二 戦前の生糸世界市場における日・伊・中三国の競争
三 戦後の生糸世界市場の変容と日本生糸
四 日本蚕糸業縮小の真の要因は何か
五 群馬絹遺産の世界遺産への登録を活かす途
終章 結語と展望


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