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台湾研究入門

台湾研究入門

四六判 360ページ
定価:3,900円+税
ISBN978-4-13-036277-1 C3031
奥付の初版発行年月:2020年03月 / 発売日:2020年03月上旬

内容紹介

東アジアの地政学上,いまや重要な島となってきた台湾.台湾研究の第一線の研究者たちが,台湾の歴史・政治・社会・文化を理解する上で重要なキーワードによってわかりやすく,簡潔に解説する.「台湾とは何か」という問いに多角的な視点から迫る新しい入門書.

著者プロフィール

若林 正丈(ワカバヤシ マサヒロ)

早稲田大学政経学部教授

家永 真幸(イエナガ マサキ)

東京女子大学現代教養学部准教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに 「相互理解の学知」を求めて(若林正丈)
 1 「台湾研究」とは何か?
 2 「入門」とは何か?
 3 「帝国の学知」から「相互理解の学知」へ

Ⅰ 日本植民地統治が台湾社会に与えたインパクト

1 統治構造――清朝から台湾総督府へ,国家・社会関係の転換(新田龍希)
 1 はじめに
 2 清朝の地方統治と伝統漢人社会
 3 統治構造の転換

2 台湾法制――同化と差別の根底にあったもの(浅野豊美)
 1 はじめに
 2 台湾法を構成する法令の構造的分類
 3 台湾法制の内地延長主義による変革

3 近代国家による可視化と台湾,台湾原住民(松岡 格) 
 1 地域知と地域社会の統治,そして可視化
 2 可視化,および可視化ツール
 3 社会の可視化と景観
 4 原住民居住地域「蕃地」における身分登録
 5 台湾の戸口制度概略
 6 戸口簿への姓名の登記と,日本式姓名への同化
 7 戦後の先住民族運動における正名運動
 8 可視化の影響の複雑性

4 学校教育(駒込 武)
 1 はじめに
 2 公学校の財源
 3 書院財産の流用
 4 「人民公立」の学校への願い

5 在台日本人――日本帝国下の人口移動と文化変容(顔 杏如)
 1 はじめに
 2 台湾に渡って
 3 移動の背後には
 4 移動者の多様性と植民地経験の差異
 5 文化の移植と変容
 6 結びに代えて

6 ジェンダー・階層・家族(洪 郁如)
 1 「新女性」誕生の植民地的意味
 2 女性文学のなかの家父長制と植民地主義
 3 階層,そして戦後

7 「平穏」な籠の中で歌う――流行歌に投影された台湾の戦前,戦後(陳 培豊)
 1 はじめに
 2 台湾語流行歌の誕生
 3 台湾語流行歌の音楽的特徴
 4 台湾語流行歌における女性の視点
 5 男性社会と台湾語流行歌
 6 台湾語流行歌の戦後

8 日常生活史(陳 文松)
 1 はじめに
 2 英雄史観を相対化する
 3 呉新栄を例に
 4 日記史料の面白さ

9 台湾ジャーナリズムにとっての帝国経験(谷川 舜)
 1 植民地言語空間の創出
 2 台湾言論界の展開と帝国統治
 3 植民地ジャーナリズムの構造転換

10 脱植民地化の代行――台湾の日本認識に焦点をあてて(森田健嗣)
 1 はじめに
 2 「脱植民地化」と「脱植民地化の代行」
 3 台湾社会の日本認識

II 「中国」との距離

1 中華民国憲法(吉見 崇)
 1 憲政と独裁の相克
 2 民主化への道程
 3 さらなる憲政改革と憲法の台湾化への希求

2 国籍と戸籍から見る中華民国台湾の境界(鶴園裕基)
 1 はじめに
 2 国籍の理論
 3 植民地期の日本国籍と台湾戸籍
 4 戦後の中華民国籍と台湾戸籍
 5 戸籍による「台湾大」の社会閉鎖

3 中華民国の国歌(三澤真美恵)
 1 はじめに
 2 清末に登場した中国初の国歌
 3 中華民国における国歌の成立
 4 蔣介石の国歌草案
 5 台湾における中華民国国歌
 6 テクストがもつ可能性の可視化/不可視化
 
4 国定記念日と祝祭日(周 俊宇)
 1 国家シンボルから読み解く中華民国台湾化の歴史
 2 1990年代以前における国定記念日・祝祭日にみる「中国化」
 3 1990年代以降の変容――民主化・台湾化
 4 1990年代以降の変容――役割の形骸化
 5 現状と課題

5 分断国家の正統性(家永真幸)
 1 第二次世界大戦後の「台湾問題」
 2 内部正統性と外部正統性
 3 「中華民国台湾化」と中国文化

6 一国二制度(倉田 徹)
 1 「一国二制度」構想の提起
 2 香港およびマカオへの適用
 3 「一国二制度」の特徴
 4 「一国二制度」の実践――香港を中心に
 5 香港「逃亡犯条例」改正問題――「一国二制度」の問題点の露呈
 6 「一国二制度」への各方面の評価
 7 「一国二制度」への台湾の態度

7 台湾と中国の経済関係(佐藤幸人)
 1 はじめに
 2 緩和と抑制の間を揺れ動く台湾の政策
 3 経済交流のダイナミズムとその変調
 4 経済交流の政治的意味

III 台湾の民主化以降の社会・文化

1 台湾人アイデンティティ(何 義麟)
 1 台湾住民の民族・族群構成
 2 台湾人アイデンティティの形成
 3 戦後の台湾人アイデンティティの変転
 4 台湾出身者としてのアイデンティティの模索
 5 結び――多重族群・多文化社会の構築

2 多文化主義(田上智宜)
 1 はじめに
 2 多文化主義が出現した背景
 3 四大族群と多文化主義
 4 変わる多文化主義の含意

3 台湾語映画(魏 逸瑩)
 1 はじめに
 2 台湾語映画の歴史
 3 台湾ニューシネマ以降
  
4 まちづくり(社区営造)の担い手のゆくえ(星 純子)
 1 はじめに
 2 政策としての社区――ムラなきイエ
 3 民主化,台湾化と社区総体営造――社会運動の制度化
 4 社区発展と社区総体営造の一元化
 5 社区営造の長期化と担い手のゆくえ

5 慰安婦問題(劉 夏如)
 1 「慰安婦」研究と「慰安婦問題」の論じ方
 2 例外としての台湾慰安婦問題
 3 「慰安婦」をめぐる普遍性と固有性
 4 記憶と和解

6 移行期正義(平井 新)
 1 はじめに
 2 台湾における過去の見直しプロセス
 3 蔡英文政権下の移行期正義推進
 4 結び

7 台湾の政党政治と保守政党(林 成蔚)
 1 台湾における政党政治
 2 二大政党制の形成要因――ナショナリズムと制度
 3 政策による対立軸の不在
 4 台湾のナショナリズム政党制と保守の包摂
 5 結び

IV 台湾の学界から見た日本の台湾研究

1 「台湾史」と「日本史」の交錯(呉 密察)
 1 はじめに
 2 新領土台湾に関する統治問題
 3 日本人と台湾人,それぞれに「六三法撤廃運動」
 4 植民地期の台湾と朝鮮の比較について
 5 「帝国を忘却した」戦後の歴史研究

2 台湾における「若林台湾学」の受容(許 佩賢)
 1 はじめに
 2 「若林台湾学」との出会い
 3 「若林台湾学」の中の台湾史研究
 4 結び

V 台湾研究序説のために

1 「台湾という来歴」を求めて――方法的「帝国」主義試論(若林正丈)
 1 はじめに――「台湾という来歴」を求めて
 2 周婉窈の概念図「地理空間で歴史的脈絡を定義する」から考える
 3 「補助線」を引く――「諸帝国の周縁」としての台湾
 4 「帝国の網」と「帝国の鑿」――方法的「帝国」主義
 5 結びに代えて――「台湾という来歴」論述の主要テーマ


Invitation to Taiwan Studies
Masahiro WAKABAYASHI and Masaki IENAGA, editors


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