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国連憲章に至る歴史的展開自衛権の基層 増補新装版

自衛権の基層 増補新装版 国連憲章に至る歴史的展開

A5判 368ページ
価格:7,700円 (消費税:700円)
ISBN978-4-13-031204-2 C3032
奥付の初版発行年月:2023年09月 / 発売日:2023年09月中旬

内容紹介

自衛権とはなにか。本書は、19世紀中葉から国連憲章制定時までの自衛権概念の歴史的展開を跡付け、その重層的構造を明らかにする。ロシアのウクライナ侵攻、サイバー攻撃に対する自衛など、現代の重要な問題を考える上でも示唆に富む書。「集団的自衛権の法的構造」を増補。

著者プロフィール

森 肇志(モリ タダシ)

東京大学大学院法学政治学研究科教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序論
第1部 伝統的議論の呪縛と自衛権をめぐる混乱
第1章 伝統的議論枠組
第1節 バウエット:個別問題の検討と一般的定式化
第2節 ブラウンリー:バウエットによる定式の再定式化
第3節 伝統的議論枠組を超えて
1 伝統的議論枠組の現代的意義
2 伝統的議論枠組を超えて
第2章 自衛権をめぐる「混乱」の深み
第1節 カロライン号事件に対する評価の分裂
第2節 評価の分裂の背景
1 緊急状態説
2 自衛権説
3 自衛権概念の質的相違
第3節 自衛権概念の質的相違の投影
1 自己保存権説
2 自己保存権説の限界
第4節 視座
第2部 2つの自衛権概念
第3章 第一次世界大戦以前の自衛権概念
第1節 国家実行
1 領域侵害の正当化としての自衛権
2 旗国管轄権侵害の正当化としての自衛権
第2節 学説
1 19世紀中葉
2 19世紀後期─20世紀初頭
第3節 第一次世界大戦以前の自衛権概念の意義:治安措置型自衛権
第4章 戦間期に確立した自衛権概念
第1節 基本的意義:侵略行為に対する抵抗
1 国際連盟規約
2 国際紛争の平和的解決議定書
3 ラインラント協定(ロカルノ諸条約)
4 不戦条約
5 小括
第2節 戦間期に確立した自衛権の範囲
1 侵略の定義の困難
2 限界の存在:国際連盟における実行
3 限界の曖昧
4 集団的自衛権の先駆とその発動要件の明確化
第3節 戦間期に確立した自衛権概念の意義:防衛戦争型自衛権
第3部 国際連合憲章制定時点における自衛権概念
第5章 2つの自衛権概念の関係
第1節 2つの自衛権概念の並存
1 不戦条約と在外自国民保護
2 国際連盟法典化会議
3 米墨混合請求委員会意見
第2節 2つの自衛権概念の関係
1 慣習国際法上の自衛権と条約国際法上の自衛権
2 領域侵害と戦争に訴えること
3 戦争違法化から武力行使の禁止へ
第3節 「戦争違法化」と2つの自衛権概念
第6章 国際連合憲章起草過程における自衛権
第1節 武力不行使原則の定立
1 定立過程
2 モスクワ宣言からダンバートン・オークス提案へ
3 サンフランシスコ会議における議論
4 小括
第2節 治安措置型自衛権の確認
1 米国国務省内における確認
2 ダンバートン・オークスからサンフランシスコへ
3 理論的位置づけ
第3節 防衛戦争型自衛権の「挿入」
1 ダンバートン・オークスからサンフランシスコへ:自衛権の論じられた2つの文脈
2 憲章第51条の誕生
3 武力攻撃に対する集団的自衛権と侵略に対する個別的自衛権
第4節 国際連合憲章起草過程における自衛権の意義
結論
補論 集団的自衛権の法的構造:ニカラグア事件判決の再検討を中心に
I はじめに
II 法的性質論における法的構造
1 個別的自衛権共同行使説
2 他国防衛説
3 死活的利益防衛説
4 小括
III 援助要請要件の位置づけと法的構造
1 裁判実践
2 国家実行
3 学説
IV 国連憲章体制における集団的自衛権
1 法的構造と法的性質
2 秩序と無秩序の間に
V むすびに代えて
あとがき
増補新装版あとがき


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