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刑事司法改革からみる中国近代法史中国の近代的刑事裁判

中国の近代的刑事裁判 刑事司法改革からみる中国近代法史

A5判 344ページ
価格:7,920円 (消費税:720円)
ISBN978-4-13-026165-4 C3022
奥付の初版発行年月:2020年07月 / 発売日:2020年07月上旬

内容紹介

20世紀前半の中国に刑法や刑事訴訟法がいかに整えられ運用されたかを,法典編纂機関や起草者の変遷,立法をめぐる議論,さらには実際の裁判の文書を丹念に分析し,近代法秩序の構築を具体的に明らかにする.近代中国で進められた法整備が現代に与えた影響に光をあてる.

著者プロフィール

久保 茉莉子(クボ マリコ)

成蹊大学文学部助教

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 中国の近代法をとらえなおす
     第一節 中国における近代的刑事裁判とは何か――本書の課題
     第二節 中国近代法史研究のあゆみ――先行研究の成果と課題
     第三節 本書の構成と史料

第一部 新たな秩序形成の試み――近代的刑事司法制度の整備

第一章 罪と罰を定める――刑法典の編纂
     はじめに
     第一節 抜本的改革への挑戦――清末の刑法典編纂事業
     第二節 政変の時代における法制改革――北京政府時期の刑法典編纂事業
     第三節 さしあたりの目標達成――中華民国刑法の制定
     第四節 刑法委員会の奮闘――南京国民政府時期における法改正
     おわりに

第二章 裁判はどうあるべきか――刑事訴訟法典の編纂
     はじめに
     第一節 清末民初の模索――刑事訴訟条令の制定まで
     第二節 新たな統一法規の完成――中華民国刑事訴訟法の制定
     第三節 法の適用をめざして――南京国民政府時期における法改正
     おわりに

第三章 刑罰は犯罪を減らせるか――刑罰改革と保安処分
     はじめに
     第一節 清末民国期における刑罰改革
     第二節 中華民国刑法の保安処分規定
     第三節 法律家たちの論争
     おわりに

第四章 「訴える国家機関」の登場――検察制度の成立過程
     はじめに
     第一節 中国における検察制度の導入
     第二節 刑事訴訟法の制定と検察制度の整備
     第三節 中国に検察は必要か――検察制度をめぐる議論
     おわりに

第五章 誰が訴えるべきか――自訴制度の成立過程
     はじめに
     第一節 被害者による訴追を認める――私訴制度の制定
     第二節 「人民の法益保護」のために――自訴制度の制定
     第三節 誰がいかなる罪を訴えられるのか――自訴制度をめぐる議論
     おわりに

第二部 新たな法の下で生きる人々――近代的刑事司法制度の運用実態

第六章 検察官たちの模索と努力――検察制度の運用
     はじめに
     第一節 省レベルにおける検察制度
     第二節 都市の検察制度
     第三節 検察官の機能とは――上海における強盗殺人事件を例に
     おわりに

第七章 被害者の訴訟参加と裁きの難しさ――自訴制度の運用
     はじめに
     第一節 統計から見る自訴事件処理状況
     第二節 自訴事件の実態――上海における私文書偽造事件を例に
     おわりに

第八章 地方法院の刑事裁判――ある殺人事件を中心に
     はじめに
     第一節 警察官殺害事件の発生
     第二節 捜査の最前線――警察の捜査
     第三節 刑法か,特別法か――軍法処の裁判
     第四節 訴追機関としてのつとめ――検察の事件処理
     第五節 真実を明らかにする――地方法院の裁判
     おわりに

第九章 真実の追求か,迅速な裁判か――上訴制度の運用
     はじめに
     第一節 統計から見る上訴事件処理状況
     第二節 新たな制度をめぐる誤解と是正――司法院解釈の分析
     第三節 繰り返される裁判――訴訟文書から見る上訴事件の実態
     おわりに

終 章 中国近代的裁判の成立過程
     第一節 中国における近代的刑事司法制度とは何か
     第二節 中国法制史における南京国民政府時期の位置づけ


Modern Criminal Justice in China:
China's Modern Legal History from the Perspective of Criminal Judicial Reform
Mariko KUBO


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