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社会主義体制下の宗教文化財、ツーリズム、ナショナリズムソヴィエト・ロシアの聖なる景観

ソヴィエト・ロシアの聖なる景観 社会主義体制下の宗教文化財、ツーリズム、ナショナリズム

A5判 456ページ 上製
価格:8,250円 (消費税:750円)
ISBN978-4-8329-6839-4 C3014
奥付の初版発行年月:2018年02月 / 発売日:2018年03月下旬

内容紹介

1953年からペレストロイカ開始までの後期社会主義時代を中心に、社会主義体制下のロシア正教に対する社会心性・宗教性を、教会・修道院建築、イコン、フレスコ画他の美術作品の処遇から叙述する意欲作。ロシア語アーカイブ資料やインタビューなど貴重な資料も提供する。

著者プロフィール

高橋 沙奈美(タカハシ サナミ)

静岡県浜松市生まれ,岐阜育ち
2003年 京都大学文学部現代文化学専攻卒業
2011年 北海道大学文学研究科地域文化学専攻博士後期課程学位取得
    (学術博士)
現 在 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター 助教
著 書 『ロシア文化の方舟』(共著),東洋書店,2011年
    『ユーラシア地域大国の文化表象』(共著),ミネルヴァ書房,
     2014年,など

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第一章 ソヴィエト・ロシアにおける宗教政策の展開と
    宗教の社会的変容

第二章 ソヴィエト・ロシアにおける宗教・社会主義・世俗化
 第一節 神なき後の社会主義か
     ──宗教と世俗をめぐる概念について
 第二節 後期社会主義時代のソヴィエト的公衆と
     宗教文化財への関心
 第三節 小  括

第三章 宗教をめぐる学知の確立
 第一節 第二次世界大戦以前のロシアにおける宗教研究の展開
 第二節 科学的無神論によるソ連宗教研究の完成
 第三節 科学的無神論とは何だったのか
     ──科学的無神論と無神論博物館の活動から

第四章 史跡・文化財保護運動の展開
 第一節 教会建築が文化遺産となるまで
 第二節 大祖国戦争からフルシチョフ体制までの
     文化遺産保護運動の展開
 第三節 ブレジネフ時代の史跡・文化財保護運動
 結 論

第五章 科学的無神論の展開と「信者」の相貌
     ──ウラジーミル州でのフィールドワークを中心に
 第一節 ソヴィエト・ロシア初のツーリズム・センター、
     スーズダリ
 第二節 ウラジーミル・スーズダリ博物館と無神論プロパガンダ
 第三節 信者共同体と博物館によるウスペンスキー聖堂の共同利用
 第四節 「聖地」創造──農村部における信仰と無神論政策
 結 論

第六章 ふたりのアンドレイ ──ルブリョフとタルコフスキー
 第一節 ルブリョフ美術館の開館と一般公開
      ──1947年のモスクワ建都800周年と
        1960年のルブリョフ生誕600周年
 第二節 「六〇年代人」にとってのルブリョフ、
     「六〇年代人」としてのタルコフスキー
 第三節 映画『アンドレイ・ルブリョフ』におけるロシアと
     ナロードのイメージ──正義の使者でも殉教者でもなく
 第四節 再び、ルブリョフへ

第七章 記憶への旅 ──社会主義の経験と景観表象の変容
 第一節 「ロシアの北」という心象地理と場の聖性
 第二節 「驚嘆すべきナロードの芸術」
     ──キジー島における木造建築と民族文化の博物館
 第三節 「神秘の地、ゲニウス・ロキ」
     ──ソロフキの美と隠された痛み
 第四節 語られぬ過去と懐古する語り──ヴァラーム博物館
 結 論 ──聖地はいつも満員御礼

おわりに ──「聖なる景観」……あいまいな愛国主義の聖性

 あとがき
 文献一覧
 人名索引
 事項索引



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