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日本とユーラシア国境・誰がこの線を引いたのか

スラブ・ユーラシア叢書 1
国境・誰がこの線を引いたのか 日本とユーラシア

A5判 208ページ
価格:1,760円 (消費税:160円)
ISBN978-4-8329-6661-1(4-8329-6661-8) C1031
奥付の初版発行年月:2006年06月 / 発売日:2006年06月下旬

内容紹介

日本を取り巻く3つの国境問題−尖閣・竹島・北方領土。このチャレンジをどう乗り越えるべきか?ヨーロッパ,コーカサス,中央アジア,南アジアなど世界の事例から考える。国際関係・国際法・安全保障・経済・社会・歴史・民族・文化など多様な視点から踏み込む,日本初の本格的な国境問題研究!

著者プロフィール

岩下 明裕(イワシタ アキヒロ)

所属:北海道大学スラブ研究センター
専門分野:ロシア外交 特にロシアとアジアの国際関係

上記内容は本書刊行時のものです。

目次



第一章 日本の外で「固有の領土」論は説得力をもつのか──欧州戦後史のなかで考える
林 忠行
なぜドイツの事例を考えるのか
「固有の領土」をめぐるヨーロッパ人との対話
「固有の領土」なきドイツ
「住民移動」という新たな難題
戦後ドイツの課題
アデナウアー外交──西ヨーロッパ共同体のなかでの発展
アデナウアー期の国境問題
ブラント外交の始動
東方外交の現実主義
欧州安全保障協力会議とドイツ問題の克服
国内での闘争
ブラントをどう評価するか
「北方領土問題」へのメッセージ

第二章 国境と民族──コーカサスの歴史から考える
前田弘毅
講義の狙い
コーカサスの地政学的位置
民族の坩堝
前近代のコーカサス国境
国境を越える人々──エジプトのグルジア人
ミスター五パーセント
コーカサス国境の二〇世紀
チェチェンの近代史
第二次世界大戦期の強制移住
アブハジア
サムルザカノの謎
「平和の島」は可能か

第三章 旧ソ連中央アジアの国境──二〇世紀の歴史と現在
帯谷知可
「国境」を切り口に中央アジアの現代史を振り返る
国境線の変遷──三つの契機
中央アジア民族別国境画定のダイナミズム
「分割して統治せよ」は妥当か?
民族の政治化
中央アジア側のイニシアティヴ
「民族」としての主張の時差
境界線を引く原則の「揺れ」──遊牧民にも都市を!
タシュケントはウズベクのもの? カザフのもの?
現代の国境越えの旅から
ウズベキスタンの飛び地スフへ行く
ウズベキスタン・カザフスタン・クルグズスタン周遊陸路の旅
国境とバザール(市場)
立ちはだかる国境?──共存の道を求めて

第四章 カシミールと印パ・中印国境問題
吉田 修
一つの広がりとしての南アジア
英領インドの分離独立と国境
イスラーム教徒の国、パキスタンの生まれ方
インド・パキスタン間に国境問題はあまりない
ヒマラヤで隔てられたインドとカシミール
ヒンドゥー教の国ではないインド
パキスタンと中国
インドと中国
中華人民共和国の成立とチベット
中印平和共存五原則とチベットの地位
中印国境問題
譲り合いを求める中国と、譲らないインド
現状追認で進展する中印関係

第五章 竹島問題と日本の課題
下條正男
日本にとっての竹島問題
日韓における認識の溝
竹島問題とのかかわり
外交カードとしての李承晩ライン
妄言と先送り
強みは弱み?
韓国による歴史的主張の誤り
安龍福の偽装
鬱陵島から竹島は見えるか
国際法上の根拠はあるのか

第六章 中国と日本・ASEAN間の国境問題──波立つ東シナ海と平穏な南シナ海 
石井 明
内陸を向いた国──中国
琉球王国の問題
尖閣諸島の問題
尖閣諸島の帰属の棚上げ論
中国領海法の制定
中国・ベトナム間の国境問題の由来
一九七九年の中越戦争
中国・ベトナム間の陸上国境問題の解決
中国・ベトナム間の領海の画定
南シナ海──南沙・西沙群島領有権問題
共同資源開発は可能か?

第七章 中ロ国境問題はいかに解決されたのか──「北方領土」への教訓
岩下明裕
国境地域のアドバンテージ
日ロ関係とのかかわり
中ロ国境問題の前史と概観
交渉決裂から軍事衝突へ
やれるところからやろう
一九九一年協定への反発と「フィフティ・フィフティ」の誕生
中ロと日ロの違い
段階方式は適用可能か
「フィフティ・フィフティ」──一発決着の模索
国境画定後の共同利用
「四島返還」論の見直し
領土問題が動くとき


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