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 変革の時代をこえて教育原理を組みなおす

教育原理を組みなおす 変革の時代をこえて

A5判 336ページ 並製
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-8158-1045-0 C3037
奥付の初版発行年月:2021年10月 / 発売日:2021年10月中旬

内容紹介

環境変動、グローバル化、感染症など、ますます加速する変化と、それに伴う分断のなかで、教育はいかなる役割を果たせるのか? 変革にただ即応するだけではない粘り強い思考力を養い、より良い教育をめざす問いを手放さない教師になるための、最良の教育学入門。

前書きなど

はじめに

21世紀の最初の四半世紀に私たちが経験したことは、これからの21世紀がいくつもの変革の時代に入っていくことを予期させるものであった。そして、私たちには、人類のさまざまな遺産を総括し、一方では、その負の遺産についてはこれを真摯に受け止めその修復に取り組むとともに、他方では、先行世代が築いた財産(知識や技術)についてはこれを継承し発展させ、21世紀を生きる次世代に伝えていくという課題が課せられている。この大きな課題に対し、影響力の大きい教育アクター(国家や国際機関ほか)はどのように取り組もうとしているのか。そして私たち教育者は、教育システムの内外で、どのような視点と姿勢の下でこれらの課題に臨むべきなのか。この序章の前半(第1節)では、その状況において教育を原理的に探究するための視点とその必要性を考えていく。最後に、本書を読み解くためのポイントについて解説する。

1 変革の時代と21世紀の課題

1)「持続可能な開発目標(SDGs)」
現在、世界各国がそれぞれに取り組んでいる課題に、2015年の国連サミッ……

[「序章」冒頭より]

著者プロフィール

松下 晴彦(マツシタ ハルヒコ)

現在、名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授。著書『〈表象〉としての言語と知識』(風間書房、1999年)

伊藤 彰浩(イトウ アキヒロ)

現在、名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授。著書『戦時期日本の私立大学』(名古屋大学出版会、2021年)ほか

服部 美奈(ハットリ ミナ)

現在、名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授。著書『インドネシアの近代女子教育』(勁草書房、2001年)

三尾 真琴(ミオ マコト)

帝京科学大学総合教育センター

塚原 利理(ツカハラ サトリ)

愛知教育大学教育学部

岩瀬 真寿美(イワセ マスミ)

同朋大学社会福祉学部

石倉 瑞恵(イシクラ ミズエ)

石川県立大学生物資源環境学部

虎岩 朋加(トライワ トモカ)

愛知東邦大学教育学部

松岡 靖(マツオカ ヤスシ)

神戸松蔭女子学院大学教育学部

内田 康弘(ウチダ ヤスヒロ)

愛知学院大学教養部

内田 良(ウチダ リョウ)

名古屋大学大学院教育発達科学研究科

龍崎 忠(リュウザキ タダシ)

岐阜聖徳学園大学教育学部

生澤 繁樹(イザワ シゲキ)

名古屋大学大学院教育発達科学研究科

伊藤 博美(イトウ ヒロミ)

椙山女学園大学教育学部

藤原 直子(フジワラ ナオコ)

椙山女学園大学人間関係学部

松本 麻人(マツモト アサト)

名古屋大学大学院教育発達科学研究科

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 教育原理を組みなおす
はじめに
1 変革の時代と21世紀の課題
2 教育者の課題
3 本書の構成と学習のポイント

第I部 変革の時代の教育へ

第1章 教育学とはどのような学問か
――教育論から教育学へ
はじめに
1 何が「教育」と呼ばれてきたのか
2 educationの意味の変遷
3 近代の教育論の展開
4 学問としての教育学とその多元化
おわりに
 コラム ナチュラル・ペダゴジー
 Taking Sides 教育は個人のためか社会のためか

第2章 子ども・経験・共同体
――近代教育以前の人間形成
はじめに
1 江戸時代の民衆教育にみる人間形成
2 「教えることのない共同体」と近代化
3 非認知能力の獲得と学びに向かう力
おわりに
 コラム アクティブ・ラーニング
 Taking Sides インクルーシブ教育は子どもの学びに寄与するか

第3章 家族・学校・社会
――教育する家族の誕生
はじめに
1 〈子ども〉の発見と教育する家族の誕生
2 学校の誕生――見習修業から学校教育へ
3 「教育する家族」の変遷
おわりに
 コラム アーキテクチャ
 Taking Sides 学校はしつけの場なのか

第4章 道徳教育の歴史と展望
――寛容なあり方を目指して
はじめに
1 道徳思想の多様性――古代から近代へ
2 日本の道徳教育の歴史――明治から現代へ
3 日本の道徳教育の理解――アメリカの道徳理論からの視点
4 自律的道徳主体をこえて
おわりに
 コラム 脳科学と道徳
 Taking Sides 道徳は教えられるか

第5章 教育成果のユニバーサル・デザイン
はじめに
1 DeSeCoのコンピテンシー概念
2 PISAの測定手法と日本の調査結果
3 PISA以降の諸外国の教育動向
4 評価指標から学習方向性へ
おわりに
 コラム Society 5.0
 Taking Sides PISAによる国際比較は有意義か

第II部 変革のさなかにある教育

第6章 測定の科学と教育評価
――誰が何のために測るのか
はじめに
1 統計学の成立と国家の介入
2 測定から評価へ
3 教育評価の現在とその課題
おわりに
 コラム 統計からみる正常と病理
 Taking Sides 標準化テストはやめるべきか

第7章 学校と不平等
はじめに
1 メリトクラシーをめぐる理論
2 不平等の再生産
3 学校に何ができるか
おわりに
 コラム 貧困と自己責任
 Taking Sides 遺伝的個人差を考慮して教育内容は変えるべきか

第8章 学校教育批判の系譜
はじめに
1 20世紀の学校教育批判
2 批判的教育学の理論と実践
3 自律的主体の脱構築
おわりに
 コラム 近代学校教育とアイヌ民族
 Taking Sides 教育は伝達か対話か

第9章 情報通信技術と教育
――「学校教育の情報化」と冷静に向き合う
はじめに
1 「学校教育の情報化」の現在地
2 学びの新常態
3 高度情報通信社会における情報教育の課題
おわりに
 コラム 教育の「クラウド化」
 Taking Sides ICTは学校教育を変えるか

第10章 教師の仕事
はじめに
1 時間管理なき長時間労働
2 法制度と教師文化
3 制度設計なき部活動
おわりに
 コラム 学校依存社会
 Taking Sides リスクとベネフィットどちらをとるか

第III部 変化の時代の先へ

第11章 デモクラシーと未来の学び
はじめに
1 デューイの教育実践
2 非認知能力を育む学び
3 多様な学びの実践
おわりに
 コラム STEAM教育
 Taking Sides 人間の諸能力は個人のものか社会のものか

第12章 科学技術と人間
はじめに
1 社会と教育を変革する科学技術
2 科学技術と支配
3 探究する市民を育む
おわりに
 コラム 教育における因果とエビデンス
 Taking Sides 科学的事実は社会的に構成されるか

第13章 学校教育とケア
――ケアと学びの関係
はじめに
1 学校における「ケア」
2 ケアを基盤とする学校教育
3 学校と地域の関わり
おわりに
 コラム 「自立」の見直し
 Taking Sides ケア倫理はリベラリズムの継承者か

第14章 性の多様性と教育
はじめに
1 性の多様性という視点
2 学校教育とジェンダー・セクシュアリティ
3 多様な性が尊重される学習環境づくり
おわりに
 コラム 包括的な性教育にむけて
 Taking Sides 性別を入学要件とする教育機関は廃止すべきか

第15章 ポスト世俗化社会における宗教教育
はじめに
1 公共宗教論にみる宗教の公的役割
2 宗教教育の形態と役割
3 諸外国における宗教教育
4 一般知と宗教知
おわりに
 コラム 「文明の衝突」以降
 Taking Sides 公立学校においてムスリムのスカーフ着用を認めるか

第16章 共生時代における「グローバル市民」の育成
はじめに
1 グローバル人材とグローバル市民
2 グローバル市民の育成――ESDとGCED
3 東アジアにおけるグローバル市民教育
おわりに
 コラム 日韓のユネスコスクールの教員交流
 Taking Sides グローバル市民にとって英語は必須能力であるか

終 章 ポスト変革の時代の「教育の未来」
――よい教育とはなにか
はじめに
1 脆弱な社会に生きること
2 「首尾一貫感覚」という視点
3 教育改革の方向性と課題
おわりに

参考文献
あとがき
索引


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