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ヴィクトリア朝の福澤諭吉と岩倉使節団

慶應義塾大学法学研究会叢書 別冊19
ヴィクトリア朝の福澤諭吉と岩倉使節団

A5判 368ページ 上製
価格:7,590円 (消費税:690円)
ISBN978-4-7664-2892-6 C3021
奥付の初版発行年月:2023年05月 / 発売日:2023年05月上旬

内容紹介

異文化接触の旅から知へ

ヴィクトリア朝全盛期、イギリスを訪れた福澤諭吉、新島襄、久米邦武と岩倉使節団。
幕末維新の時代に彼らは何を求めたのか。
それは〈知〉と向き合い、〈知〉をめぐる旅であった。


幕末維新期の日本人が体験した異文化接触の数々。本書では、第Ⅰ部で福澤諭吉、第Ⅱ部で新島襄と岩倉使節団別働隊、そして久米邦武と岩倉使節団本隊を取り上げ彼らの足跡をたどる。

1860年代から1870年代、イギリスは社会構造や教育面で大きく変化する転換期であり、教育は日英両国の近代化において通奏低音のように重要な存在だった。福澤諭吉、新島襄、久米邦武と岩倉使節団本隊がイギリスで見たもの、帰国後に日本で伝えようとしたものを探る。彼らの旅は、はたして何であったのか。

著者プロフィール

太田 昭子(オオタ アキコ)

慶應義塾大学名誉教授。1981年、東京大学教養学部教養学科卒業、1986年、東京大学大学院総合文化研究科比較文学比較文化専攻博士課程単位取得退学。
専攻領域:日英関係史・近代日本対外交流史。

著書に、『岩倉使節団の比較文化史的研究』(共著、思文閣出版、2003年)、『アジアの比較文化』(科学書院、2003年)、『イギリス文化事典』(共著、大修館書店、2003年)、『近代日本の内と外』(共著、吉川弘文館、1999年)、『明治日本とイギリス―出会い・技術移転・ネットワークの形成』(共訳、法政大学出版会、1996年)、『テクストの発見』(共著、中央公論社、1994年)、『地の果ての夢タンジール』(共訳、河出書房新社、1994年)、『戦場の女性特派員』(翻訳、平凡社、1994年)、『『米欧回覧実記』の学際的研究』(共著、北海道大学図書刊行会、1993年)、『開国:日本近代思想大系 1』(共著、岩波書店、1991年)、『外国人による日本論の名著』(共著、中央公論社、1987年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章
1 ヴィクトリア朝社会と階級  
 ガラスの天井と三つの視点/持てる者と持たざる者/19世紀半ばに訪れた転機/中流階級の細分化とヴィクトリア朝時代の倫理観 
2 ヴィクトリア朝社会の教育概観  
 階級と教育/自助の精神と公教育の遅れ 
3 本書の構成と構想  

第I部 福澤諭吉と世界地理
 幕末維新期の異文化接触と海外情報 
第1章 海外関連の情報収集と伝播の変容
1 徳川時代における海外情報の収集――変容過程の概観  
2 「居ながらにして知る」時代と福澤諭吉  

第2章 日本における地理への関心――福澤諭吉の依拠した西洋地理教科書
1 地理への関心――地理教育の広まる土壌  
2 福澤諭吉と海外の地理教科書  
 アメリカの地理教科書/イギリスの地理教科書 

第3章 19 世紀イギリスにおける初等教育カリキュラムと地理教育
1 「学びの場」の風景――初等教育への道  
2 イギリス地理教科書の特徴と地理教育の位置づけ  
3 ウィルダースピンと地理教育  

第4章 福澤諭吉の『世界国尽』
1 福澤諭吉の眼目と『世界国尽』の形式・構成  
 執筆の動機と眼目/『世界国尽』の構成/韻を踏む形式とGeography in Rhyme
2 『世界国尽』の内容とその意図  
 凡例と序文――「翻訳書」の真実とは/亜細亜洲と阿非利加洲/欧羅巴洲と北亜米利加洲/南亜米利加洲と大洋洲/「天文の地学」「自然の地学」「人間の地学」――『世界国尽』の枠組み

第5章 福澤の残したもの、残せなかったもの
1 幕末明治初期の初等教育とその変容  
2 第Ⅰ部のまとめとして  

補章 19 世紀前半イギリスの地理教科書とゴールドスミスの功績
 ゴールドスミスの地理教科書 
1 ゴールドスミス地理教科書の誕生  
2 Reverend John Goldsmith とは  
3 ゴールドスミス地理教科書――テクスト分析  
 ゴールドスミス編の教科書/他の編者によるゴールドスミス地理教科書の改訂版 

第Ⅱ部 岩倉使節団とイギリス
 使節団の概要と教育視察先選定の謎 

Part 1 岩倉使節団別働隊とイギリスの教育視察――田中不二麿と新島襄

第1章 新島襄と岩倉使節団
 新島の動機――任用から見えるもの 

第2章 イギリスにおける別働隊の教育視察――その特徴と位置づけ
1 新島襄・田中不二麿の足取り  
2 新島・田中の行動パターンと着目点の特徴  
 重要人物のネットワーク開拓と活用/視察プログラムの計画性とバランスへの配慮/学校運営に対する関心と教育システムの理解 
3 Part 1の小括として  

Part 2 岩倉使節団本隊のイギリス教育視察
 使節団本隊の目的とイギリス側の思惑 

第3章 岩倉使節団本隊と教育視察関連の日程
1 教育視察関連の日程  
 ロンドンの小学校を参観/クライスツ・ホスピタル校訪問/ロンドンからイギリス各地の産業視察の旅へ/学校以外の教育文化施設 
2 視察した教育現場の特徴と位置づけ  
 19世紀イギリスと公教育/ソルテア訪問の意義/訓練船の視察 

第4章 イギリス側の意図とパークスの果たした役割――教育機関選択の背景
1 日程策定とイギリス側の思惑  
2 パークスたちの経歴  
3 パークスの権限と意図――教育機関選定の背景  

第5章 岩倉使節団本隊がヴィクトリア朝社会から観て取ったもの
1 富強の原動力を探る  
2 先進国の裏の顔を垣間見る――ヴィクトリア朝社会の裏面探索  
3 視察した教育機関に対する評価  
4 上流階級との交流とパークスについての「発見」  
5 イギリスの階級社会に対する理解と望ましい社会像  
6 Part 2の小括として  

終章
 異文化接触の旅から知へ/福澤諭吉の旅/新島襄の旅/岩倉使節団本隊と久米邦武の旅――「駆け引き」の旅から「知の論評」へ 


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