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 ソ連解体後ロシアの歴史認識論争スターリン時代の記憶

スターリン時代の記憶 ソ連解体後ロシアの歴史認識論争

A5判 368ページ 上製
定価:4,500円+税
ISBN978-4-7664-2681-6 C3022
奥付の初版発行年月:2020年06月 / 発売日:2020年06月中旬

内容紹介

▼スターリンとは何者だったのか

独ソ戦や、スターリン体制による市民への大規模な抑圧は、
ロシアの人びとの記憶に何を遺したのか――。
体制転換後の新生ロシアにおける
ソ連時代の歴史認識論争の実像を、
歴史教育や歴史教科書をめぐる論争から明らかにする。

ソ連解体後の新生ロシアにおいて、スターリン時代をはじめとするソ連時代の歴史はいかに議論されてきたのか――。

体制転換後のロシアにおいては、ソ連時代の過去、特にスターリンの時代(1920年代~1953年)の大規模な抑圧にいかに向き合うかという問題が社会を分裂させる大きな論争を引き起こしている。また、共産主義体制を打倒して成立したロシアでは、自国の過去の歴史のなかに、いかにして「誇るべき遺産」を見出し、何をどのように否定したり継承したりするのかが特にデリケートな論点となっている。

本書では、こうした観点から体制転換後のロシアの歴史教育と歴史教科書をめぐる論争を検討することにより、いまだ知られていないロシアにおけるソ連時代の歴史をめぐる論争を明らかにするだけでなく、大規模な抑圧や内戦といった暴力を経験した共同体が、歴史を介して、いかに国家を再建し、民主主義を構築しうるのかという問題を探究する。

著者プロフィール

立石 洋子(タテイシ ヨウコ)

成蹊大学法学部助教。
香川大学法学部卒業後、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。
主な著書に、『国民統合と歴史学――スターリン期ソ連における『国民史』論争(学術叢書)』(学術出版会、2011年)、『教養としての政治学入門』(共著、成蹊大学法学部編、ちくま新書、2019年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第1章 体制転換と自国史像
 1 ロシアとスターリン時代の記憶
 2 スターリン期の歴史の再検討
 3 ロシアとソ連時代の過去への取り組み
 4 移行期正義論と真実の回復
 5 民主化と歴史学
 6 移行期の社会と歴史教育

第2章 ペレストロイカと自国史像
 1 情報公開とスターリン期の再検討
 2 「メモリアル」の活動
 3 独ソ戦の再評価
 4 歴史教育の改革
 5 失望と動揺の広まり

第3章 ソ連の解体とロシア連邦の出発
 1 ソ連解体後のロシアとソ連史の再検討
 2 抑圧の調査と歴史教育の改革

第4章 ロシアのアイデンティティとは何か
――歴史教育の改革と自国史をめぐる論争
 1 新たなロシアの理念の模索
 2 教育要綱の作成
 3 1990年代の自国史教科書
 4 クレーデルの世界史教科書

第5章 プーチン政権と歴史教科書
 1 歴史教育の基準の模索
 2 第二次世界大戦の歴史をめぐる国際組織の動向

第6章 「大統領委員会」創設への反発
 1 刑法改正案の作成と「大統領委員会」
 2 欧州安全保障協力機構(OSCE)議員会議の決定
 3 「大統領委員会」の活動

第7章 犠牲者の記憶と向き合う
――国家プログラムの作成とロシア歴史協会の創設
 1 全体主義体制の犠牲者の記憶の永続化
 2 ロシア歴史協会の活動
 3 第二次世界大戦をめぐる議論と刑法改正
 4 2013年度の推薦教科書

第8章 抑圧をいかに記憶すべきか
――犠牲者の記憶の永続化政策と自国史教育
 1 「祖国史の新たな教科書・方法論参考書の構想」
 2 「ドロファ」社、「教育」社の教科書
 3 政治的抑圧の犠牲者の記憶の永続化

終 章 和解のために
 1 ロシアと自国史の再検討
 2 歴史教育の社会的役割
 3 社会の「和解」と歴史教育


 あとがき
 註
 索引


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