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 ふたりの二〇世紀 ふたつの旅路漂泊のアーレント 戦場のヨナス

漂泊のアーレント 戦場のヨナス ふたりの二〇世紀 ふたつの旅路

四六判 368ページ 並製
定価:2,000円+税
ISBN978-4-7664-2678-6 C0010
奥付の初版発行年月:2020年07月 / 発売日:2020年07月上旬

内容紹介

▼二〇世紀の破局を二人はどう生き、そこに何を見たのか。
「二一世紀の全体主義」に警鐘を鳴らす友情の記録。

政治の意味を問い続けたハンナ・アーレントと、
未来への責任を基礎づけたハンス・ヨナス。
盟友として、ユダヤ人として、思想家としてナチズムに対峙し、
ともに二〇世紀を駆け抜けた。
二人は、時代が課した過酷な宿命に向かい合い、
その破局に対して、それぞれの仕方で、答えを模索し続けた。
その二人の思想は「出生」という概念において、閃光のように交錯する。
アーレントとヨナスの人生と思索の軌跡を追い、
二一世紀を歩むわれわれへの問いかけを探る。


【「アーレントの葬儀におけるヨナスの弔辞」第6章より】
僕たちは、別々の場所に長く引き裂かれ、
善悪の判断が嵐に曝されたように崩壊していく世界を、切り抜けてきた。
重要なことは何で、そうではないことは何なのか、
本当に価値があることは何なのか、
恐怖すべきことは何なのか、
軽蔑すべきことは何なのか、
そういうことに対して僕たちは同じ気持ちを抱いていた。
それだけはいつも確かだったね。

著者プロフィール

戸谷 洋志(トヤ ヒロシ)

1988 年生まれ。哲学専攻。現在、大阪大学特任助教。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。単著に『Jポップで考える哲学――自分を問い直すための15曲』(講談社、2016年)、『ハンス・ヨナスを読む』(堀之内出版、2018年)、共著に『棋士と哲学者――僕らの哲学的対話』(イーストプレス、2018年)がある。

百木 漠(モモキ バク)

1982 年生まれ。社会思想史専攻。現在、立命館大学専門研究員。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。単著に『アーレントのマルクス――労働と全体主義』(人文書院、2018年)、共著に『現代社会理論の変貌――せめぎあう公共圏』(日暮雅夫・尾場瀬一郎・市井吉興編、ミネルヴァ書房、2016年)、『大学生のための社会学入門』(篠原清夫・栗田真樹編、晃洋書房、2016年)、『生きる場からの哲学入門』(大阪哲学学校編、新泉社、2019年)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡例・文献略号一覧

プロローグ 二〇世紀の破局を超えて
 アーレントとヨナス
 漂泊と戦場
 二人の交錯点――「出生」
 本書の構成


第1章 友情と恋愛のあいだ――誕生から出会いまで 1903~1933

 アーレント 〇~二七歳
  幼年期と少女時代
  ユダヤ人としての自覚
  ヨナスとの出会い
  博士論文「アウグスティヌスの愛の概念」
  ナチ前夜の結婚

 ヨナス 〇~三〇歳
  ヨナスの出生
  読書の世界へ
  シオニズムへの夢
  大学時代――フライブルク・ベルリン・ヴォルフォンビュッテル
  アーレントとの出会い
  古代グノーシス主義の研究


第2章 漂泊と戦場――ナチズムとの対峙 1933~1945

 アーレント 二七~三九歳
  ナチス政権の成立
  政治的目覚め
  パリのアーレント
  伝記『ラーエル・ファルンハーゲン』と「自覚的パーリア」
  ブリュッヒャーとの出会いと結婚、そしてギュルス収容所
  新天地アメリカへ

 ヨナス 三〇~四二歳
  ドイツからの亡命
  ハイデガーへの失望
  エルサレムの日々
  「われわれはこの戦争に参加する」
  ローレとの結婚
  ユダヤ旅団への参加
  戦場の思索


第3章 新たな始まり――それぞれの再出発 1945~1961

 アーレント 三九~五五歳
  戦争の終わり、そして二人の恩師との再会
  イスラエル建国への絶望
  全体主義とは何であったのか
  新たな「始まり」への希望
  『人間の条件』における「始まり/出生」論

 ヨナス 四二~五八歳
  母の死
  「人間を信じるということが必要だった」
  パレスチナからカナダへ
  「私には小さな子どもがいる」
  ニューヨークへ、そしてアーレントとの再会


第4章 亀裂――アイヒマン論争 1961~1964

 アーレント 五五~五八歳
  「悪の凡庸さ」についての考察
  アイヒマン論争
  ショーレムの怒り
  語り口の問題
  アーレントからの応答
  あえて裁くこと

 ヨナス 五八~六一歳
  アイヒマン裁判への態度
  アーレントへの手紙
  「誇りをもって身につけよ、この黄色い星を!」
  決裂と和解


第5章 精神の生活、生命の哲学――方向転換の季節 1964~1975

 アーレント 五八~六九歳
  〈活動的生活〉から〈精神の生活〉へ
  一者のなかの二者
  晩年のアーレント

 ヨナス 六一~七二歳
  「死の存在論」
  ハイデガーとニヒリズム
  哲学的生命論の戦略
  生命における死と実存
  人間の自由と想像力
  不死性の神話
  ヨナスの生命とアーレントの生命


第6章 最後の対話――テクノロジーへの問い 1975~1993

 アーレント 死去後
  「究極的なもの」をめぐって
  超越性と内在性
  科学技術をめぐる対話
  見ることと聞くこと

 ヨナス 七二~九〇歳
  「世界はずっと冷たくなってしまった」
  晩年のアーレントからの影響
  科学技術文明への問い
  「未来への責任」という難問
  『責任という原理』
  責任と「出生」
  「神があなたと一緒に作ろうとした本」
  哲学者であり、同時に、ユダヤ人である

 補論 歴史をめぐるアーレントとヨナスの対話
  コンスタンツ大学哲学文書館
  一九六九年のアーレントとヨナス
  論文「流転と静止――歴史の理解可能性の根拠について」
  アーレントからの批評
  『精神の生活』への影響と「魂の交流」


第7章 考察――アーレントとヨナスの比較 20xx

 共鳴と反発――漂泊と戦場がもたらしたもの(百木 漠)
  1 アーレントとヨナスの差異
  2 差異の理由
  3 アーレント出生論の神学的基礎
  4 ヨナス出生論の神学的基礎
  5 ふたりが遺したもの

 自然・対話・想像力――アーレントとヨナスにおけるテクノロジーの問
 題(戸谷洋志)
  1 着想へ至る経緯
  2 終わりなき進歩と自然性
  3 テクノロジーとしての科学
  4 アーレントにおけるテクノロジーの脅威――公共性の空洞化
  5 ヨナスにおけるテクノロジーの脅威――倫理の空洞化
  6 そして全体主義へ
  7 抵抗としての対話
  8 抵抗としての想像力
  9 ここにいる者とともに、ここにいない者のために
 
エピローグ テクノロジー的全体主義に抗して
 未来に向けて
 現代=近未来
 テクノロジー的全体主義の出現


あとがき
参考文献


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