サピエンティア29
朝鮮独立への隘路 在日朝鮮人の解放五年史
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-588-60329-7 C3321
奥付の初版発行年月:2013年03月 / 発売日:2013年03月下旬
日本の敗戦後、在日朝鮮人は「独立国民」の地位を認められることはなく、帝国臣民から外国人になったわけではなかった。日本国民からは排除されたが、米国人などと同等な外国人にもなれなかった。本書は、朝鮮戦争が始まるまでのGHQや日本政府による治安政策と人びとの抵抗、民族運動の実像を膨大な史料を用いて描きだす。民族の解放はいかに封じこめられたのか。
鄭栄桓(チョン ヨンファン)
1980年千葉県生まれ。2010年、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。立命館大学コリア研究センター専任研究員を経て、現在明治学院大学教養教育センター専任講師(歴史学)。専攻は在日朝鮮人史、朝鮮近現代史。
共著書に『植民地朝鮮──その現実と解放への道』(東京堂、2011年)、『東アジアのディアスポラ』(明石書店、2011年)、共訳書に金東椿『朝鮮戦争の社会史──避難・占領・虐殺』(平凡社、2008年)、論文に、「史料と解説:東京裁判をめぐる在日朝鮮人発行雑誌新聞・機関紙の論調」(『日韓相互認識』1号、日韓相互認識研究会、2008年)、「『再入国許可』制度の歴史と現在」──在日朝鮮人への適用を中心に」(『PRIME』33号、明治学院大学国際平和研究所、2010年)、ほか多数。
『朝鮮独立への隘路』が「第13回林鍾國賞(学術部門)」を受賞いたしました
『朝鮮独立への隘路』が「世宗図書学術部門選定図書」を受賞いたしました
目次
序章 解放前後の在日朝鮮人史をどうみるか
1 問題の所在
2 視角と課題
3 先行研究
4 本書の構成
第一章 解放と自治
1 在日本朝鮮人連盟の結成と朝連自治隊
2 朝連自治隊と日本の警察権
3 「自治」と分断:土浦事件
第二章 帰還・送還・居住権
1 帰還の送還化
2 居住権の危機:生活権擁護闘争と一二月事件
第三章 外国人登録令と朝鮮人団体
1 外国人登録令の公布と在日朝鮮人団体
2 交渉から闘争へ:一九四七年七月
3 外国人登録の実施:一九四七年八月~
4 外国人登録の基盤整備:登録実施後の内務省調査局
第四章 祖国建設のイルクン
1 新活動家の誕生
2 活動家たちの世界
第五章 「二重の課題」と在日朝鮮人運動
1 朝鮮独立問題と日本の民主化
2 民族か、階級か
3 在日朝鮮人の参政権をめぐって
4 朝鮮分断と白武書記長の罷免問題
第六章 朝鮮分断と民族教育
1 朝鮮学校閉鎖令と民族教育擁護闘争
2 南朝鮮単独選挙と建青兵庫
第七章 「祖国への直結」と日本の民主化
1 「正当な外国人待遇」とは何か
2 「祖国への直結」の意味するもの
第八章 朝連・民青解散
1 敗戦後日本の団体規制と朝鮮人団体
2 朝連解散論の登場
3 特審局の「転回」と朝連・民青解散
4 解散とその影響
第九章 外国人登録体制の形成
1 外国人登録令の改定
2 在外国民登録と外国人登録
終章 朝鮮独立への隘路
1 封じこめられた「解放」:朝鮮人支配の再編
2 新たな「戦時」へ:外国人登録体制の成立