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 新しい歴史実践へのいざない「歴史総合」をつむぐ

「歴史総合」をつむぐ 新しい歴史実践へのいざない

A5判 304ページ
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-13-023079-7 C1020
奥付の初版発行年月:2022年05月 / 発売日:2022年05月上旬

内容紹介

新しく高等学校でスタートする「歴史総合」の授業で、歴史の学び方は大きく変わる。「歴史の扉」をはじめとする大項目に対応した実践を、具体的なテーマで史料も提示しながら展開する。本書の事例を学習の現場でどう活用するか、授業づくりへのアイデアも提起し、これからの歴史への展望をひらく。


目次

はじめに──「歴史総合」と歴史研究

[歴史の扉]

①史実の作られ方・歴史像の形成
(第1講)吉田松陰の虚像を剥ぐ(須田 努)
 1. 歴史修正主義と反・知性主義
 2.「思想家」という思い込み  
 3.「教育者」という情念
 4. 松陰とは何者であったのか

②「豊かな生活」の成り立ち
(第2講)飢餓と飽食の時代(藤原辰史)
 1. 飽食と文明
 2. 飢餓を思い起こせ
 3. 誰かを計画的に飢えさせる政策
 4. 国際問題としての飢餓
 5. 肥満と飢餓

(第3講)飽衣の時代(杉浦未樹)
 1.「使い捨て」の時代の先は
 2. 1枚の服に隠されたグローバルな旅
 3. 最近30年間に急拡大した古着交易
 4. コットン(綿)──世界史を動かした繊維
 5. 一つ買ったらほかも買いたくなる──ディドロ効果
 6. 低賃金を礎とする生産──「貧しさ」の連鎖
 7. 現在地──新たな豊かさを探して

③「日本」の枠組み
(第4講)占領と沖縄基地問題(鳥山 淳)
 1. 基地問題の原点としての沖縄戦
 2. 基地の拡充と立退き 
 3. 結束した沖縄の人々
 4. 米軍基地の「シワ寄せ」という問題  
 5. 裏切られた「祖国復帰」
 6.「県内移設」が意味するもの

(第5講)アイヌの人々への「同化」政策(谷本晃久)
 1. 同祖と同化
 2. 劣位の編入
 3. 近代の「同化」政策

[近代化と私たち]

④女性の歴史
(第6講)女性の政治参加(大江洋代)
 1. 女性のいない立憲制
 2. 明治期の婦人参政権獲得運動 
 3. 大正期婦人参政権獲得運動
 4. 昭和戦前戦中期における婦人参政権獲得運動
 5. 敗戦と婦人参政権の実現
 6. 戦後女性政治家の群像
 7. 現在地──なぜ女性政治家が増えないのか

(第7講)主婦と働く女性(佐藤千登勢)
 1.「新しい女」の登場
 2.「幸せな主婦」像
 3. 家庭か仕事か 
 4. 理想的な家族像の形成
 5. 第二波フェミニズムの興隆 
 6. 現在地

⑤産業革命
(第8講)産業革命はなぜ「革命」と呼ばれるのか(長谷川貴彦)
 1. 革命論の系譜
 2. リハビリテーションの解釈
 3. 「大分岐」に向けて

(第9講)時間認識の変化(橋本毅彦)
 1. フランクリンと時間
 2. 時計の起源と発展
 3. 18世紀における時計の普及と時間規律
 4. 交通の発展と時計
 5. 日本の近代化と定時法の導入

⑥政治の担い手
(第10講)共産主義の展開(池田嘉郎)
 1. 名もなき人が英雄になる
 2. 共産主義思想
 3. ロシア革命
 4. 20世紀世界と共産主義

(第11講)立憲政治の地域的差異(金子 肇)
 1. 近代中国と立憲政治
 2. 中国の議会選挙
 3. ケルゼンの決意と東アジアの今

⑦近代社会と宗教
(第12講)イスラーム世界と近代化(三浦 徹)
 1. 憲法における信教の自由
 2. 政教分離と世俗化
 3. イスラームにおける政教関係
 4. 現代における宗教復興
 5. 宗教と向き合う

(第13講)近代日本の「宗教」(畔上直樹)
 1. 西洋独特の「レリジョン」に面食らう
 2.「文明」とレリジョン 
 3. レリジョンの訳語「宗教」の登場
 4. 大日本帝国憲法下のレリジョン
 5. 現代日本の私たちとレリジョン

[国際秩序の変化や大衆化と私たち]

⑧ファッションの形成
(第14講)身体装飾の歴史(阿部恒久)
 1. ヒゲ無しの近世からヒゲ有りの近代へ
 2. 第一次世界大戦後はヒゲ無しが広がる
 3. ヒゲ有りとヒゲ無しが共存した軍国主義時代
 4. 戦後のサラリーマン世界に広がるヒゲ無し
 5. 経済大国化・国際化時代のヒゲの様相

(第15講)ファッションの歴史(平芳裕子)
 1. 近代化の象徴としてのスーツ
 2. 開国後のドレスと大正期の子供服
 3. 女性服の変化と洋裁技術の普及
 4. 戦時下の国民服ともんぺ
 5. 戦後の流行現象と既製服の発達
 6. ファッションデザインの発展
 7. グローバル化における日本のファッション

⑨「1968年」の広がり
(第16講)民衆運動とプロテスト・ソング(油井大三郎)
 1. アメリカの公民権運動とプロテスト・ソング
 2. 「ウィ・シャル・オーバーカム」の誕生
 3. 「ウィ・シャル・オーバーカム」の日本への越境
 4. 結びにかえて

(第17講)人として生きられる社会への希求(荒川章二)
 1. 成田空港の建設と地元高校生
 2.「百姓だって人間だ」 
 3. 主体性と民主主義

⑩二つの世界大戦
(第18講)兵士たちから見た世界大戦(小野寺拓也)
 1. 戦争の世紀と「ふつうの人々」
 2. 敵国の住民への憎悪や蔑視
 3. 史料の性格について
 4.「例外的」な人々をどう考えるか

(第19講)戦争へのプロセス(加藤陽子)
 1. 戦後の国際秩序の特徴と改造運動の始まり
 2. 経済的な国際協調体制
 3. 世界恐慌と戦後秩序への挑戦
 4. 新しい地域秩序と戦争観

[グローバル化と私たち]

⑪カタストロフの心性
(第20講)災害をめぐる民衆心理(大門正克)
 1. 阪神・淡路大震災
 2. 関東大震災
 3. 阪神・淡路大震災とそれ以前の地域社会──1970・80年代
 4. グローバル化のなかで

(第21講)感染症への認識(福士由紀)
 1. グローバル化と感染症
 2. 医学・公衆衛生と感染症 
 3. 近代日本のコレラと民衆

⑫移民
(第22講)日本からの移民(今泉裕美子)
 1. 太平洋島嶼への渡航から始まる日本の海外移民
 2. 赤道以北ドイツ領太平洋諸島の占領と日本からの移民の始まり
 3. 委任統治と移民
 4. 本籍地別人口にみる移民の特徴と植民地社会
 5. 移民と現地住民
 6. 「海の生命線」としての開発と移民
 7. 日米開戦から米軍による占領、引き揚げへ
 8. 「南洋群島」を抱え、戦後を生きる

(第23講)移民国家アメリカの二つの顔(貴堂嘉之)
 1. 坩堝のアメリカ──移民が海を渡る理由
 2. 移民国家の法制度と移民排斥運動
 3. 連邦移民出入国管理での移民たち──東海岸のエリス島と西海岸のエンジェル島
 4. 移民制限の時代へ──移民政策海外への影響

⑬冷戦下の国際社会
(第24講)キューバ危機(上 英明)
 1. 冷戦とは何か
 2. 脱植民地化と冷戦
 3. キューバ危機への道
 4. ケネディ神話という歪んだ記憶
 5. 危機の本質とは──暴発の危険
 6. 危機の教訓──核エネルギーと人間

(第25講)人の自由移動と冷戦体制の終わり(伊豆田俊輔)
 1. 人の自由移動と世界史のつながり
 2. 国際関係の変動 
 3. 市民社会の再生
 4. 移動の自由の進展? それとも後退?

⑭植民地支配の問い直し
(第26講)アメリカの公民権運動(中條 献)
 1. 奴隷制廃止後の人種隔離と差別
 2. 運動の高まりと非暴力直接行動
 3. 運動の新たな局面
 4. 大衆の運動
 5. グローバルな視点
 6. 現代社会とマイノリティ

(第27講)パレスチナ問題(鈴木啓之)
 1. 帝国の解体と地域の再編
 2. シオニズムと植民地主義 
 3. 中東の脱植民地化
 4. 国際社会とパレスチナ人
 5. オスロ合意の署名と遠い和平
 6. より望ましい解決を探して

⑮グローバル化と地域
(第28講)アメリカの環境運動(小塩和人)
 1. 化学物質は健康を守るのか
 2. 消費者保護か生産者保護か 
 3. 環境保護はだれを守るのか
 4. 環境正義とは何か
 5. 二つの潮流は交わるのか

(第29講)震災からの地域復興(岡田知弘)
 1.「災害列島」と「災害の時代」
 2. 国際的支援と米軍による「トモダチ作戦」
 3.「創造的復興」の帰結
 4. 被災地の現場で
 5.「復興〈災害〉」を超えて

[教室から考える「歴史総合」の授業]

(補講①)いまを主体的に問う(米山宏史)
 1. 「歴史総合」のねらいと可能性
 2. 近代国民国家の同化政策・内国植民地化を考える
    ──諸事象の比較・つながり
 3. 近代化と宗教から、政教分離と信教の自由を考察する
    ──自己との関わり、意志決定
 4. 兵士の視点から戦場をとらえ、戦争を理解する
    ──当事者の眼で歴史の現場を直視する
 5. アメリカの公民権運動から差別の実相と人間の尊厳を学ぶ
    ──現在とのつながり
 6. パレスチナ問題の歴史を学び、解決方法を探る
    ──諸事象の推移、現在とのつながり

(補講②)生徒の関心から問う(田中元暁)
 はじめに
 1. 既成の価値観を揺さぶる
 2. 女性 
 3. 身近なところから
 4. 比較の視点

(補講③)図像史料を読み取(塚原浩太郎)


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