中央大学人文科学研究所研究叢書61
島と港の歴史学
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-8057-4214-3 C3321
奥付の初版発行年月:2015年03月 / 発売日:2015年04月上旬
「島国日本」の文字どおり、日本は6800あまりの島々から成り、数多くの港がある。島と港の果たしてきた多様な歴史的意義について、特に物流の拠点、情報の発信・受信の場としての役割に注目して、考古学・歴史学による共同研究を進めてきた。その成果である本書には、島と島、港と港をつなぐ船、港から異国に向けて船出する人々、国境の島・対馬に焦点をあてた朝鮮半島との交流、発掘調査の現場からみた奥州津軽十三湊、都市平泉における港の意義、そして古代中世における日本海交流と出羽地方の環境に対する研究の現状と展望等の論文を収めている。
目次
縄紋丸木舟研究の現状と課題
―年代的位置づけを中心に― 小林謙一
1 縄紋時代丸木舟の特長と概要
2 各地の炭素十四年代測定された丸木舟の事例
3 時期ごとの丸木舟の特徴
遣唐使以後の中国渡航者とその出国手続きについて 石井正敏
1 遣唐使以後の中国渡航者
2 渡航の申請から出発まで
十二世紀前後における対馬島と日本・高麗
―『大槐秘抄』にみえる「制」について― 近藤 剛
1 『大槐秘抄』対外関係記事の校訂
2 『大槐秘抄』にみえる「制」に関する先行研究
3 これまでの『大槐秘抄』にみえる「制」の理解に対する疑問
4 十一世紀~十二世紀における日本・高麗間通交について
5 『大槐秘抄』にみえる「制」の実態に関する私見
古代・中世環日本海沿岸の港町
―日本海対岸地域からみた奥州津軽十三湊― 中澤寛将
1 中世十三湊の変遷と景観
2 日本海対岸地域の港湾遺跡
3 港湾機能からみた中世十三湊の意義
日中都市比較から見た平泉 吉田 歓
1 中国の地方都市イメージ
2 国府の形
3 平泉の都市化
日本海側からの視座による地域史研究
―中世出羽の研究動向― 白根靖大
1 研究動向 ―個別研究を中心に―
2 研究成果の刊行 ―論集・自治体史―
3 論点・課題 ―出羽清原氏研究を例に―