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アクション・リサーチによる実践研究災害ボランティアの探究

災害ボランティアの探究 アクション・リサーチによる実践研究

A5判 276ページ
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-86283-377-8 C3036
奥付の初版発行年月:2024年03月 / 発売日:2024年04月上旬

内容紹介

被災者とボランティアの関係が能動態/受動態の関係性から中動態的な関係性へと変化があることに?及し、その?反転?は、被災者との出会い、ボランティア同?の交流、?できること?を集める?場?づくりの中で起きていることを明らかにする。

著者プロフィール

頼政 良太(ヨリマサ リョウタ)

1988年広島市生まれ。神戸大学理学部数学科中退。兵庫県立大学減災復興政策研究科博士後期課程修了。博士(学術)。2023年4月より関西学院大学人間福祉学部社会起業学科助教。神戸学院大学非常勤講師。
能登半島地震、中越沖地震、兵庫県佐用町水害、東日本大震災、熊本地震など計25以上の国内の災害救援活動に従事。2011年4月より被災地NGO恊働センタースタッフ。2015年5月より同代表。平成30年度兵庫県「若人の賞」受賞。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

プロローグ 災害ボランティアが拓く被災者の可能性
  災害ボランティアとの出会いと足湯ボランティア/はじめての「ガテン系」ボランティア/活動を通じて感じた違和感/なぜ研究をしようと思ったのか?
第一章 災害ボランティアへの期待の高まりとその課題
 第一節 これまでの災害ボランティア
 第一項 高まる災害時のボランティアへの期待とボランティアの進化/第二項 市民活動としてのボランティアと新自由主義
 第二節 〈秩序化のドライブ〉による制度化の弊害
 第三節 増加する災害と減少する社会資源
  第一項 災害の激甚化、頻発化/第二項 減少する行政のリソースと地域の社会資源/第三項 復興しない被災地/第四項 研究の特徴と目的
 参考文献
第二章 災害ボランティアの歴史的変遷──阪神・淡路大震災以後
 第一節 災害ボランティアセンターをめぐる対立
 第二節 管理・統制と即興・自律
 第三節 災害ボランティアセンターの定義と歴史
  第一項 災害ボランティアセンターの定義と中間支援組織の研究/第二項 阪神・淡路大震災での災害ボランティアセンター/第三項 阪神・淡路大震災後の災害ボランティアセンター/第四項 東日本大震災以降の災害ボランティアセンター
 第四節 「公的」な災害ボランティアセンターの限界
 第五節 「民間」の災害ボランティアセンターの再興
 第六節 「民間」災害ボランティアセンターの限界
 第七節 「公」と「民」の融合に向けて
  第一項 災害ボランティアセンターの一元化とその後の動き/第二項 対立を乗り越えるための方策/第三項 多様なボランティアを実現するために
 参考文献
第三章 支援を地域につなぐ媒介者の役割
 第一節 はじめに
 第二節 実施したフィールドワークの特徴
 第三節 インタビュー調査の方法
 第四節 当事者との共同研究の意義
 第五節 災害復興のための中間支援組織の役割
  第一項 常総市でのフィールドワーク/第二項 平成二七年九月関東・東北豪雨の被害の概要/第三項 中間支援組織の活動とボランティア活動/第四項 コモンズからJUNTOSへ/第五項 JUNTOS周辺の支援団体の活動とその変化/第六項 媒介者の役割/第七項 媒介者を発見する、育てる、つくる/第八項 媒介者を支援する中間支援組織/第九項 中間支援組織の新たな役割
 第六節 西原村災害ボランティアセンターから西原村rebornネットワークへ
  第一項 西原村でのフィールドワーク/第二項 西原村について/第三項 西原村災害ボランティアセンターの立ち上げ/第四項 媒介者がつなぐ災害ボランティアセンター/第五項 西原村災害ボランティアセンターの変化/第六項 西原村rebornネットワークへ/第七項 媒介者による支援の時系列的変化/第八項 媒介者による中間支援組織の重要性
 第七節 媒介者とは誰か
 参考文献
第四章 対立を乗り越える〈場〉のあり方
 第一節 はじめに
 第二節 研究対象と研究方法
  第一項 武雄市の概要/第二項 二〇一九年、二〇二一年の水害による被害の概要とその課題/第三項 研究の対象/第四項 研究の方法
 第三節 おもやいボランティアセンターの設立
  第一項 設立前夜/第二項 おもやいカフェ/第三項 おもやいボランティアセンターの設立
 第四節 「おもやい」の活動
  第一項 二〇一九年八月豪雨の活動/第二項 多彩な活動が生まれた背景/第三項 災害対応から日常の支援へ/第四項 地域外の災害の支援/第五項 二〇二一年八月の豪雨災害の活動
 第五節 できることを集める〈場〉としての「おもやい」
  第一項 〈場〉としての「おもやい」/第二項 〈応答〉としての活動─最後の一人まで/第三項 できることを集める「おもやい」と〈場〉の継続
 第六節 多様なボランティアを生み出すために必要な〈場〉
 参考文献
第五章 制度化の弊害を乗り越えるノマドボランティア
 第一節 はじめに
 第二節 研究の方法と対象
 第三節 ノマドボランティアの活動
  第一項 軽トラ隊の誕生とノマドボランティアのゆるやかなネットワーク/第二項 個性豊かなノマドボランティアたち
 第四節 多様なノマドボランティアたち
  第一項 ゆるやかなネットワークでおせっかいするノマドボランティア/第二項 個人を尊重したノマドボランティアのあり方/第三項 旅人としてのノマドボランティア/第四項 受け皿となるNPO─災害ボランティアセンターとは別様の支援窓口
 第五節 〈遊動化のドライブ〉を駆動するノマドボランティア
  第一項 中動態的な活動/第二項 〈遊動化のドライブ〉の駆動
 参考文献
第六章 災害ボランティアの実践における思想──〈最後の一人まで〉とは何か?
 第一節 はじめに
 第二節 村井雅清氏と栗田暢之氏へのインタビュー
 第三節 阪神・淡路大震災から生まれた〈最後の一人まで〉
  第一項 初心者ボランティアの実践/第二項 個の尊重/第三項 システムによる抜け漏れ
 第四節 災害ボランティアのシステムと〈最後の一人まで〉
  第一項 東日本大震災を機にネットワークを構築/第二項 支援の抜け、漏れへの懸念と新たなネットワーク構築/第三項 寄ってたかって支援をするために/第四項 虫の目と鳥の目
 第五節〈最後の一人まで〉の理論
  第一項 最大多数の最大幸福からの脱却/第二項 最後の一人の生存権とその限界/第三項 補完性の原理/第四項 〈個の有限性〉とネットワーク
 参考文献
第七章 多様な災害ボランティアのあり方にむけて
 第一節 能動/受動の関係と中動の関係
  第一項 能動/受動の関係の果てにあるもの/第二項 分離と〈反転〉/第三項 時間の射程による〈反転〉
 第二節 なぜ中動態的な活動が広がらないのか
 第三節 災害時の多様なボランティアのあり方を実現するためには
 第四節 おわりに
 参考文献
あとがき/令和六年能登半島地震に寄せて


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