バタイユ 聖なるものから現在へ
価格:7,260円 (消費税:660円)
ISBN978-4-8158-0713-9 C3010
奥付の初版発行年月:2012年11月
思想家ジョルジュ・バタイユの強烈な思考のうねり —— 「過剰さ」 の行方 —— を、その生涯にわたって辿りつつ、政治・宗教・芸術など複数の領域の交点で、またニーチェやヘーゲルとの対峙の極点に、斬新なバタイユ像を描き出す。多様な書物・思考から浮かび上がる全体性を捉えた思想の伝記。
目次
プロローグ
第1章 物質の魅惑
1 前 歴
2 人間を突き動かすもの —— 太陽・肛門・眼球
3 反イデアリスムと物質 —— 『ドキュマン』 論文
第2章 シュルレアリスムの傍らで
1 ブルトンとシュルレアリストたち
2 「老練なもぐら」 あるいは物質への下降
3 「サドの使用価値」 あるいは異質学
4 シュルレアリスムを横断して
第3章 恍惚の探求者
1 供犠と自己毀損
2 宗教社会学
3 ロバートソン=スミス 『セム族の宗教』
4 モース/ユベール 「供犠に関する試論」
5 フレイザー 『金枝篇』
6 フロイト 『トーテムとタブー』
7 ヘーゲル読書以後
第4章 歴史の中へ —— コミュニスムとファシスム
1 政治的関心
2 コミュニスムへ —— スヴァーリンと 「民主共産主義サークル」
3 『社会批評』
4 ファシスムの勃興とフランス
5 「ファシスムの心理構造」
第5章 「コントル=アタック」 の冒険
1 転回点としての 『空の青』
2 「コントル=アタック」 —— 結成と崩壊
3 どこでファシスムを覆すか
4 街頭へ
第6章 聖なるものと共同体
1 政治から離れて
2 結社 「アセファル」
3 「社会学研究会」 —— 選択的共同体を目指して
4 惹引と反撥
5 共同体・死・エロティスム
6 錯誤と価値
第7章 内的体験から好運へ
1 供犠から瞑想へ
2 経験の始まり
3 キリスト教の経験
4 聖者たち・聖女たち
5 笑い・エロティックなもの・言説批判
6 主体の体験から無為へ
7 好運と陶酔
第8章 エロティスムと物語
1 バタイユの物語作品
2 エロティスム
3 違 反
4 『死者』
5 近親姦の禁止
6 『わが母』
7 裏切り
第9章 ニーチェ論とその曲がり角
1 哲学・ニーチェ・ヘーゲル
2 『ニーチェについて』 という書物
3 「罪」 と 「頂点」
4 「衰退」
5 転 位
6 全体的人間とその行方
第10章 慎ましくも破壊的なヘーゲル
1 最初のヘーゲル
2 コジェーヴ的ヘーゲル
3 死の理論と供犠の経験
4 悲しみ・喜び・横滑り
5 死の意識・「主」 と 「僕」・労働
6 異和の表明
7 用途のない否定性・賢者の不充足・歴史の未完了・非=知
8 再び経済学の視座から・平準化
9 悟性と労働の今日
第11章 一般経済学
1 戦後のバタイユ
2 過剰さあるいは富
3 異質なものから非生産的な消費へ
4 アステカ、イスラーム、チベット、そして西欧
5 近代社会
6 過剰さはどこへ行くか
7 人間の不能化 —— ヒロシマとアウシュヴィッツ
第12章 至高なものの変貌
1 聖なるものの行方
2 『至高性』 という書物
3 至高性の生成
4 なぜコミュニスムが問題にされるのか
5 至高性の無力化および潜在化
6 悟性から芸術へ、古代的至高性から芸術の至高性へ
7 ニーチェ、道化にして芸術家
第13章 芸術へ
1 ラスコーからジル・ド=レまで、聖なる芸術
2 マネ、近代の画家
3 エロティスムの変容
4 詩、イマージュ、そして小説へ
5 『文学と悪』
6 カフカ、もっとも狡い作家
7 現実でも虚構でもなく
エピローグ