叢書・ウニベルシタス1125
崇高の分析論 カント『判断力批判』についての講義録
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-588-01125-2 C1310
奥付の初版発行年月:2020年12月 / 発売日:2020年12月下旬
哲学史上、美と崇高の主題をめぐる記念碑的なテクストとなった『判断力批判』。理性・悟性・構想力、趣味と合目的性、快と不快、美感的なものと共通感覚などの近代的概念は、超越論的反省のなかで道徳や倫理といかなる関係を結んだのか。晩年のリオタールが、難解で知られる「崇高の分析論」の諸節に焦点をあて、三批判書とともに徹底読解したスリリングな講義録。
ジャン=フランソワ・リオタール(リオタール ジャン フランソワ)
ジャン=フランソワ・リオタール(Jean-François Lyotard)
1924年、ヴェルサイユに生まれる。現象学とマルクス(そして後にフロイト)を思想的源泉とし、それらの批判的再検討を通じて政治、経済、哲学、美学など多方面にわたる理論的・実践的活動を展開、20世紀後半のフランスを代表する思想家・哲学者として広く知られる。G.ドゥルーズやF.シャトレとともにパリ第八大学教授を務め、J.デリダとともに国際哲学院を設立し、学院長も務めた。1998年4月死去。邦訳された著書に、『現象学』(白水社)、『ポスト・モダンの条件──知・社会・言語ゲーム』、『聞こえない部屋──マルローの反美学』(以上、水声社)、『こどもたちに語るポストモダン』(ちくま学芸文庫)、『インファンス読解』(未來社)、『リオタール寓話集』、『ハイデガーと「ユダヤ人」』(以上、藤原書店)、『言説、形象(ディスクール、フィギュール)』、『リビドー経済』、『震える物語』、『異教入門──中心なき周辺を求めて』、『文の抗争』、『知識人の終焉』、『熱狂──カントの歴史批判』、『非人間的なもの──時間についての講話』、『遍歴──法、形式、出来事』、『なぜ哲学するのか?』(以上、法政大学出版局)などがある。
星野 太(ホシノ フトシ)
1983年生まれ。専攻は美学、表象文化論。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、早稲田大学社会科学総合学術院専任講師。著書に『崇高の修辞学』(月曜社)、共編著にThe Sublime and the Uncanny(UTCP)、共著に『ことばを紡ぐための哲学』(白水社)、共訳書にメイヤスー『有限性の後で』(人文書院)ほか。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
凡 例
はじめに
略 号
第一章 美感的反省
1 体系と感情
2 トーテゴリーとしての感覚
3 「主観的な」もの
4 美感的な時間性
5 発見的なもの
6 想 起
7 理論的および実践的領域における反省とカテゴリー
8 美感的な領土における反省とカテゴリー
第二章 崇高と趣味の比較
1 なぜ〈崇高の分析論〉なのか
2 判断の質および量による美と崇高の比較
3 活性化
4 判断の関係(合目的性)および様相による美と崇高の比較
5 美と崇高の連続性および非連続性
第三章 崇高のカテゴリー的検証
1 量と大きさ
2 量から関係を経由して様相へ
3 数学的なものと力学的なもの
4 質、ふたたび
第四章 数学的総合としての崇高
1 「総括」は「測定」される
2 「合成」は無限である
3 無限は全体として「総括」されない──恐怖
4 無限は全体として思考可能である──感激
第五章 力学的総合としての崇高
1 倫理的媒介による抗争の解消の試み
2 「弁証法」による抗争の解消の試み
3 原因と条件づけられたものの力学的総合
4 崇高な感情における諸感覚の総合の必然性
5 崇高な総合における時間の諸感覚の異質性
第六章 異質性の複数のしるし
1 抵 抗
2 否定的表出
3 熱 狂
4 単純さ
第七章 美と崇高における美感的なものと倫理的なもの
1 適 意
2 美、善なるものの象徴
3 論理的な観点から見た美と善の類比
4 目的論的論証の根幹
5 能力における関心と実践的なものの優位
6 崇高なるもののファミリー・ロマンス
7 美と崇高における目的論
8 崇高なる犠牲
第八章 趣味の伝達
1 普遍的伝達の要求
2 必然的伝達の要求
3 要求への躊躇
4 要求を基礎づける原理の位置画定
5 趣味のアンチノミーの解決
6 限界‐理念
7 超感性的基体
8 伝達の手続き
第九章 崇高な感情の伝達
1 媒介された伝達
2 異なる感情
3 異なる対象
4 道徳的判断が喚起する美感的感情
訳 註
訳者解説
索 引