アジャイルソフトウェア開発技術シリーズ・基礎編
データベース
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-501-55190-2 C3004
奥付の初版発行年月:2013年06月 / 発売日:2013年06月中旬
近年のソフトウェア開発には迅速・適応的・軽量が求められている。それに応えるべく登場したのがアジャイル手法である。すでに世界中で取り入れられ、数々の成果をあげている。本シリーズは、アジャイル開発技術を短時間で効率よく習得できるようにと考えられた実践的教科書で、基礎編と応用編から構成されている。あらゆるソフトウェア開発に必要な、プログラム言語、設計技術、開発プロセスを、全10巻の中で解説。基本的な解説、たくさんの応用例、ふんだんな演習問題と解答によって、理解が深まる。
コンピュータがわれわれの生活の中で必要不可欠なものになってから久しいが,とくにデータベースは最も身近でコンピュータが活用されている分野のひとつである。ソフトウェア開発のなかでも,データベース設計は重要なファクターであり,この設計が成功するかどうかはプロジェクトの成否にも大きく影響する。
「アジャイルソフトウェア開発」においてもデータベース設計は重要であり,とくに業務システムの分野では,扱うデータの構造を正確かつ迅速におさえることが,アジャイルソフトウェア開発の特徴である無駄を排除した開発・コミュニケーション重視の開発・変化に強いソフトウェアといったことを実現するために必要不可欠な要素となる。
本書はデータベース設計をしたことのない初心者を対象としている。本書でめざしたのは「習うより慣れろ」である。データベースを1から設計・構築し,そのデータベースにプログラムから接続するまでの方法をシンプルかつポイントを押さえて解説した。プログラミングと同様に,データベース設計も書籍を読んで勉強するより実践してみるのが習得のための早道である。
本書では,難しい設計のテクニックや用語は極力排除している。とくに「正規化」についてはあまり触れていない。多くのデータベース設計の書籍では,正規化にたくさんのページを割いているが,このことには以前から疑問に思っていた。筆者の経験上,データベース化する対象を正確に理解して概念データモデルとして表現できる能力があれば,正規化のテクニックはほとんど必要としないと考えている(はじめから第三正規形レベルのモデルが導き出せる)。つまり,正規化というテクニック自体がモデリングをしない人/できない人向け,あるいは紙の伝票などからボトムアップにデータベース設計するためのものではないかと考えている。
オブジェクト指向開発の書籍で,クラス構造を設計する際に正規化について解説していないのも同じ理由からだろう。逆に,本書で身につけたデータモデリングのテクニックは,UMLを使ったオブジェクト指向分析・設計でも応用できるものである。
ソフトウェア開発において重要なデータベース設計であるが,データベース設計が得意だという技術者には残念ながらあまり会ったことがない(プログラミングが得意な技術者にはよく出会うが)。データベース設計,とくに概念データモデリング,論理データモデリングはソフトウェア技術者にとっても大きな武器になる。本書がデータベース設計に興味をもっていただく一助となれば幸いである。
2013年4月
橋本大輔
目次
第1章 データベースの基礎
1.1 データベースとは
1.2 データを中心にしたソフトウェアの開発
1.3 データベース管理システム(DBMS)
1.4 データベースの種類
第2章 データベースの設計・構築
2.1 データベース設計の流れ
2.2 概念データ設計
2.3 論理データ設計
2.4 物理データ設計
2.5 データベースの構築
第3章 データベースの操作
3.1 データの挿入(INSERT)
3.2 データの更新(UPDATE)
3.3 データの削除(DELETE)
3.4 データの取得(SELECT)
3.5 応用的な操作
3.6 トランザクション
第4章 応用編1
4.1 データベース設計
4.2 データベースの実装に向けた設計
4.3 データベースプログラミング
第5章 応用編2
5.1 ユーザー管理とアクセス権限
5.2 フィールドの操作
5.3 ビューの操作
5.4 データベースのバックアップとリストア
解答
付録1 環境構築
1.1 DBMSのインストール
1.2 JDKのインストール
1.3 JDBCのインストール
付録2 データベースの作成
2.1 第3章で使用するデータベースの作成
2.2 第4章で使用するデータベースの作成
索引