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北海道大学図書刊行会

▼佐々木馨著『北海道仏教史の研究』(A5判・10000円)北海道における仏教の伝播と展開の歴史を中世から現代まで通観する。〈広域的、「開教=開拓」、比較宗教史、民衆史〉の4つの視点から纏めた著者の長年にわたる研究成果の集大成。
▼伊藤孝著『ニュージャージー・スタンダード石油会社の史的研究』(A5判・9500円)1920〜60年代までの事業活動の歴史を、緻密な実証分析に基づき解明する。現代において主要なエネルギー供給の役割を担う石油産業の構造と現代経済に占める位置を明らかにし、その将来像を展望する。
▼冨田康之著『海音と近松』(A5判・6000円)紀海音は近松門左衛門と比較して語られることが多く、評価のほとんどは近松に劣るとされている。本書は新たな角度から海音作品を分析し、今後の海音研究に一石を投じる意欲作。
▼森島啓子編著『野生イネの自然史』(A5判・3000円)美しい花も良い香りもなく地味ではあるが、われわれ日本人にとってもっとも身近な植物である「稲」の祖先種について、その多様な適応戦略をさぐる。


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東北大学出版会

▼尾坂芳夫著『風土が育む日本の技術知―地球社会的知への止揚』(A5判、254頁、1900円)科学技術は、高度に発達して人類に豊かさをもたらしているが、近年は、環境の悪化、殺戮兵器の先鋭化などの大きな問題を突きつけている。このような困難を抑制しながら、全民族の反映につながる秩序を探るときに、日本の風土に育まれた、自然調和的で感性豊かな心性と技術知が本質的な役割を果たす。この観点から、日本の技術知の本性を歴史の中に探り、科学精神の根源に遡った教育を行うための方法理念を説く。
▼平川直弘・岩崎智彦著『原子炉物理学入門』(B5判、340頁、2500円)原子炉の設計に於いて現実に用いられている計算コード手法の基礎である「原子炉物理」についての理解と知識の習得を目的とした入門書である。本書では特に、原子炉物理の根幹をなす中性子と原子核の相互作用と計算手法の結びつきが明確になるよう解説している。また、原子炉主任技術者試験受験者の便宜を図るため、過去の原子炉主任技術者試験の問題から全ての演習問題を選んだ。


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流通経済大学出版会

平安女学院大学教授 安福恵美子著
『ツーリズムと文化体験』
 グローバルな現象としてのツーリズムは、レジャーを目的として移動するツーリストが、そのプロダクトの一部となるという特性をもつ。したがって、ツーリズム・プロダクトのプロセスを問うことは、社会的に構築されるツーリズムという〈場〉に織り込まれる諸要素の関係性をみることである。
 本書においては、新たなツーリズム形態の創出、さらには従来のツーリズム形態の持続に関わる「経験のマネジメント」を文化生産として捉えることによって、異なる〈場〉に存在するコードがプロダクトの創出にいかに関わるかについて分析を行っている。そして、ツーリストとその経験を提供する人々の経験という位相の異なる経験が創られる〈場〉において、プロダクトを変化させるインタラクションというプロセスを生じさせるためのさまざまなセッティングをツーリズム構造として捉える。それによって、ツーリズムという〈場〉を語るための視点を示している。


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聖学院大学出版会

▼マックス・スタックハウス著・深井智朗訳『公共神学と経済』(四六判・近刊)。
 現代において、宗教の機能とは、個人の敬虔の問題であると矮小化して考える一般的傾向がある。また宗教とは、だれにでも与えられている真理の問題として拡散する理解がある。このような理解に対して、著者はキリスト教神学の伝統の中から「スチュワードシップ」「コーポレーション」(会社)などの概念を吟味し、キリスト教信仰は、個人の敬虔にとどまるものではなく、公的領域に関わり、現代の政治経済の複雑な課題に対しても、「解釈的で規範的なガイドラインを提供する」ことを論じる。
 本書は、キリスト教神学に止まらず、現代の経済を中心としたグローバル化の中で、国家を越えた公共性のビジョンを構想し、また私的な利害を越えた共同性を形成していく緊急の課題に示唆を与えるものである。
 著者のマックス・スタックハウスはプリンストン神学大学院のキリスト教倫理学教授である。


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麗澤大学出版会

▼大島清著『大島清の「快老」学』(四六判上製・1400円)「快老」とは耳なれない言葉に違いない。しかし、読んで字の如し。身心ともに壮健で、積極的に社会に働きかける気力旺盛、適度な「快感」の好循環を実現して溌剌たる老齢期を生きる――快老する――には、何をし、何を心がけるべきか。少子高齢化時代のとば口に立つ誰にとっても、重要なテーマだ。著者は京都大学名誉教授。
▼小林道憲・安田喜憲『対論 文明のこころを問う』(四六判上製・1600円)ハンチントンの『文明の衝突』を待つまでもなく、21世紀の地球文明は重大な岐路にある。本書は、東西文明を俯瞰しつつ、9・11テロ後の文明の現状・未来を政治、社会、科学技術、倫理、宗教など様々な角度から考察し、卓説・新説を展開した「生きた」比較文明学講義だ。


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慶應義塾大学出版会

▼国分良成著『現代中国の政治と官僚制』(3400円)計画経済を支えた官僚機構の頂点たる国家計画委員会の歴史を分析し、一党支配の構造的問題点を浮き彫りにした、第一人者ならではの研究。
▼赤木完爾編著 慶應義塾大学東アジア研究所叢書『朝鮮戦争―休戦五〇周年の検証・半島の内と外から』(4800円)関係各国(韓朝米中ソ)の一次資料を駆使。
▼辻村和佑編『資金循環分析の軌跡と展望』(3000円)慶應義塾大学産業研究所が誇る当該分野初の先行研究論文集。
▼白井厚・浅羽久美子・翠川紀子編、慶大経済学部白井ゼミナール調査『証言 太平洋戦争下の慶應義塾』(2400円)オーラルヒストリーという手法で綴った「太平洋戦争当時の大学」の貴重な記録。
▼河北展生・佐志傳著『「福翁自傳」の研究(本文編・注釈編)』(27000円)
自伝文学の世界的名著を詳細に検証した画期的研究書。(本文編)速記者による口述筆記に福澤自身が加筆修正した原稿を二色刷で忠実に復元。(注釈編)歴史的資料等との比較により、内容の意義をあらためて厳密に考証し、詳細に注解。


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産能大学出版部

厚生労働省実施「ホワイトカラー職務能力評価試験」テキストとして最適な1冊
▼細井和昭他編著『経理実務』(2000円)
 本書は経理実務を体系的に整理し、経理担当者が身に付けるべき知識を理解しやすいようにまとめている。経理・財務担当者の職務能力、専門的能力向上に役立つ実務書。
▼土屋裕・中神芳夫共著『価値追求の基礎』『価値追求の実践1』『価値追求の実践2』『価値追求の管理』(各1300円)
 VEプログラムラーニングシリーズ全4巻。
 企業の誰もがVEに通じてもらうことを主眼において、理論から実践、管理にいたるまでの過程を、プログラム学習の形式で簡単に習得できるように編集。
これからVEを研究する人にとって有効なだけでなく、すでに手がけたことのある人にとっても再レビューに役立てることができます。


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専修大学出版局

▼小島直、他『天然ガス産業の挑戦』(2800円)90年代以降、世界各国はエネルギー供給安全保障、環境保全など困難な課題に直面して一次エネルギーの選択を改めて問われている。その中にあって、天然ガスは21世紀の重要なエネルギーとして注目されている。天然ガスをめぐる各国の産業と歴史、利用技術の進展などを包括的に検証し、天然ガス産業の未来を展望する。
▼岡田好史『サイバー犯罪とその刑事法的規制―コンピュータ情報の不正入手・漏示に対する法的対応をめぐって』(2800円)インターネットの脆弱性につけこむ犯罪にどう対処すべきか。本書は最新の技術動向に基づき、人的・技術的対策と法律がカバーすべき領域を検討し、セキュリティ問題を考察する。
▼遠藤郁子『佐藤春夫作品研究―大正期を中心として』(2400円)発表時の時代背景を視座として多彩な作品を読み解き、時代を批評し続ける先鋭的な存在としての佐藤作品のあり方を明らかにする。西班牙犬の家、美しい町、佐藤春夫の〈失恋もの〉、など。


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大正大学出版会

▼「梵蔵漢対照『維摩経』『智光明荘厳経』」(16年3月刊行予定)
 大正大学は、仏教を建学の精神として創立された。当初より仏教学研究には歴史があり、今日までその成果が蓄積されている。仏教文献学においても聖語学研究室が設けられ(後に梵文学研究室)、研究が進められている。今回、チベット自治区ポタラ宮に所蔵されている梵文(サンスクリット語)写本を中心とした文献調査で、これまでに見ることのできなかった『維摩経』『智光明荘厳経』の梵文写本(貝葉本)を発見した。
 本書は、この新出の梵文写本を全文翻刻し、さらにチベット訳、漢訳を対照させ、別冊で両経典の解説、参考文献等を付して刊行する。
 『維摩経』『智光明荘厳経』ともにチッベト訳、漢訳は存在したが、完全な形での梵文写本は初めてであり、今後の仏教研究にとって貴重な資料である。
▼『グローバル時代の宗教間対話』(星川啓慈・山梨有希子編)、『家族の物語』(伊藤淑子著)等も近日中に刊行予定である。


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玉川大学出版部

▼玉川学園創立75周年記念出版『金田一春彦著作集』全12巻(各8500円)別巻(5000円)音韻・アクセント研究の金字塔「日本語音韻の研究」「国語アクセントの史的研究」など代表作を網羅。滋味溢れる随筆集も収録。編集委員=秋永一枝/上野和昭/上参郷祐康/倉島節尚/桜井茂治/(代表)芳賀綏/南不二男。
(1)国語学編一=日本人の言語表現/話し言葉の技術/日本語の表現(2)同二=新日本語論/日本語への希望/日本語の使い方(3)同三=日本語のしくみ/国語動詞の一分類/日本語の特質(4)同四=日本語/日本語の歩み(5)同五=四座講式の研究(6)同六=日本語音韻の研究/連濁の解(7)同七=国語アクセントの史的研究/日本の方言(8)同八=日本語方言の研究/アクセントの分布と変遷(9)論文拾遺=埼玉県下に分布する特殊アクセントの研究/日本四声古義(10)童謡・唱歌編=童謡・唱歌の世界/十五夜お月さん(11)随筆編一=ことばの四季/ことばの歳時記/方言の世界(12)同二=父京助を語る/ケヤキ横町の住人/わが青春の記(別巻)=年譜/著作目録/総索引。(1)(2)(3)は既刊。


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中央大学出版部

▼日本比較法研究所翻訳叢書51 フリッツ・シュルツ著/眞田芳憲・森光訳『ローマ法の原理』(4100円)ローマ人の法や正義に対する基本的な考え方を明らかにし、ローマ法の構造とその特徴ある制度の理解に学問的息吹を与える。
▼三浦信孝編著『フランスの誘惑・日本の誘惑』(2100円)日本の文学者・知識人は明治以来フランスに何を学んだか。日仏の文学交流の百年を振り返り、21世紀の新しい知的対話の条件を探る。
▼金谷千慧子著『企業を変える女性のキャリア・マネージメント』(1600円)「人を活かす、組織を活かす、女性の能力を拓く」を理念に立ち上げた「女性と仕事研究所」10年の活動から、女性と企業のために熱いメッセージを届ける。
▼金田昌司著『地域再生と国際化への政策形成』(2700円)地域やまちは人々が学び、仕事し、家庭を営む舞台であり、トータルにいえば「生活空間」である。経済・行政・文化等の知見をもとに創意工夫と新視点に立脚しながら地域の問題の解決とより良い生活空間づくりへの途を考察する。


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東京大学出版会

 地球環境問題解決のためには、開発と環境保全との葛藤が凝集される「地域」を理解しないことにははじまらない。なかでも、環境問題がもっとも深刻にあらわれる、国家の周辺部を理解する必要がある。2004年1月より刊行が開始されるシリーズ『島の生活世界と開発』(大塚柳太郎・篠原徹・松井健編、全4巻、各巻3800円)では、21世紀の環境問題を考えるときに重要なアジア地域とその東に隣接するオセアニアに焦点をあて、熱帯林伐採の最後の最前線ともいえる「ソロモン諸島」(第1巻)、急速に開放経済に移行している「中国・海南島」(第2巻)、そして日本の最南端に位置し独特な道を歩んできた「沖縄列島」(第3巻)を取り上げ、国家の周辺部、あるいは世界システムの末端に位置するこれらの島世界で、開発と環境保全に揺れながらもしたたかな暮らしを営む人びとの現実を紹介し、地域社会をとおしてみえてきた、環境問題への理解とその解決への糸口(「生活世界からみる新たな人間−環境系」(第4巻))を提供する。


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東京電機大学出版局

 これまでジャーナリズムは、新聞社、出版社、テレビ局などのマスメディアのものであった。しかし、インターネットが急速に普及し、誰もが容易に情報発信できるようになったことで、新たに誕生したメディア企業や多くの個人の手によるニュースが配信され、掲示板では様々な議論が行われている。いまジャーナリズムは、市民の手によるサイバージャーナリズムの時代へと変化しつつある。
 ウェブを利用したジャーナリズムの利点として、速報性、インタラクティブ性などがあるが、一方、情報の信頼性の問題やウェブ上の匿名性による人権侵害、デジタル化されたデータが流通することによる著作権侵害といった問題点も見過ごすことはできない。
▼前川徹・中野潔著『サイバージャーナリズム論―インターネットによって変容する報道―』(3000円)インターネットによって変容しつつあるジャーナリズムの現状と問題点を、ビジネスモデル、既存メディアとの相違点、広告との関係、法律との関係、ジャーナリズムへの影響など、様々な観点から論評した一冊。


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東京農業大学出版会

〈カラー写真集100の素顔シリーズ〉
▼『西富士100の素顔―もうひとつのガイドブック―』西富士100の素顔編集委員会編
 葛飾北斎の「富嶽三十六景」はよく知られている。四季の「西富士」一帯の自然と動植物のありさま、富士にまつわる歴史・文化を西富士で暮らす人たちの視点で紹介している。この西富士には「東京農大富士畜産農場」がある。
 平成15年10月/B6判/164頁/本体価格1600円
▼『大根踊り人生論』加藤日出男著
 東京農大のあの「大根踊り」の発案者が、その時代をかたる。さすが、「若いねっこの会」のリーダーである。いままでの活動、さまざまな人々との交流の世界が生きている。前向きなこころに引き込まれる。今に生きる62冊目の人生論。
 平成15年10月/B6判/225頁/本体価格1200円


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法政大学出版局

▼『森嘉兵衞著作集』全10巻完結!
(最終回配本=発売中)
第十巻『岩手近代史の諸問題』
 東北の社会経済史・生活史・文化史研究に捧げた森史学の足跡を集大成。本巻は岩手近代百年の歩みと問題を展望。全巻の索引・著作目録を付す。8500円
【既刊一覧――――内容見本呈】
第一巻『奥羽社会経済史の研究/平泉文化論』9800円
第二巻『無尽金融史論』6800円
第三巻『陸奥鉄産業の研究』8500円
第四巻『奥羽農業経営論』8800円
第五巻『奥羽名子制度の研究』9000円
第六巻『近世農業労働構成論』14000円
第七巻『南部藩百姓一揆の研究』9700円
第八九巻『日本僻地の史的研究・上下』
 各22000円(下はオンデマンド版)


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放送大学教育振興会

 平成16年4月より開講する放送大学の授業科目から主なものを紹介する。
▼学部開設科目
『岐路に立つ大学』(舘昭・岩永雅也編著)…世界の大学は変革の時代を迎えており日本の大学も例外ではない。世の中の知識社会化、グローバル化、情報化、少子高齢化などと深く関連するこの状況をさまざまな視点から把握し理解する。
『世界の産業再編成』(森谷正規編著)…グローバル化が進む世界の産業列国の熾烈な競争の中で起きている再編成の波の現状と課題を把握し将来を展望する。
『国際共生と健康』(新福尚隆ほか編著)…世界人口の増加と経済発展は、地球温暖化・自然災害の増加と相俟って人類の健康被害の増加を招いている。地球のエコシステムを守り、人類と環境が地球で共生していくための方策を考える。
▼大学院開設科目
『技術社会関係論』(森谷正規著)…われわれが獲得した科学技術は、向後「社会」にいかに活用すべきか。環境・交通・防災・福祉・教育等の問題との関わりを具体的多角的に論じる。


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明星大学出版部

 年々増加する不登校や学級崩壊、そして学力低下など教育の危機が深刻な社会問題となって久しい。教育行政機関、学校、家庭でその打開策を模索しているが、明るい兆しはまだ見えていないと言わざるを得ない。このような状況に対処するための出発点として最も大切なことは、その実態を科学的に認識することであると説く『教育調査』(1997年刊行)の著者・高島秀樹は、今世紀に入って前書を改訂して『教育調査〔改訂2版〕』(1995円)を刊行。実態をとらえるには調査が肝要であることは当然だが、本来、調査とは科学的な研究の一方法であって、実態に関する情報を広く収集し、そこから論理的に矛盾のない思考によって因果関係を明らかにしようとするものであるが、そのための方法を本書は広く提示している。危機を声高に叫び、恣意的な改革方法を提示するのではなく、本書が示す方法にもとづく冷静な認識を基礎として考えていくことが大切であろう。調査を試みる者たちへの推薦の書である。


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早稲田大学出版部

▼『ドイツ史の終焉―東西ドイツの歴史と政治』(仲井斌/3800円)東西ドイツはどんな歴史認識の下に国家を築いてきたか。政治と歴史の葛藤を捉える。
▼『インドネシア民族主義の源流―イワ・クスマ・スマントリ自伝』(後藤乾一訳/6000円)波瀾に満ちた歴史を描く。「民族主義者イワ・クスマ・スマントリの政治的肖像」(訳者)を新収録。新版。
▼『感性をみがく教育論』(渡辺重範/2000円)教育をめぐる声高な議論は有効か。幅広い話題のなかに生きる意味を探り、創造的教育について考える。
▼『乳がんの政治学』(M・H・カサマユウ、久塚純一監訳/2800円)アメリカの女性たちは乳がんとどう闘っているのか。大統領や議会を動かし、乳がん研究費を勝ち取る経緯を克明に描く。


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東海大学出版会

▼ヴァルター・ハンゼン著/小林俊明・金井英一訳『アスガルドの秘密―北欧神話紀行』(A5判/350頁/3500円)
 アイスランドに残る北欧神話『エッダ』は、神々の滅亡と再生が綴られる最終章の「神々の黄昏」によって知られる。特にゲルマン文化圏のドイツあるいはイギリスではさまざまな物語にこの主題が用いられてきた。ワーグナーの楽劇「リング」、トールキンの「指輪物語」(映画「ロード・オブ・ザ・リング」の原作)が有名である。また、テレビゲームや劇画にも北欧神話をもとにしたものがある。
 今まで北欧神話に描かれた世界は、多くの研究者によって想像上のものとされてきた。しかし、本書の著者ハンゼンはギリシャ神話などと同じようにアイスランドの土地や風景の中に「神々の世界アスガルド」や「女神ヘルの支配する黄泉の国」が存在すると仮定し、膨大な文献渉猟を行いながら地学的見地を加え、神話の土地を読み解き、四輪駆動車を駆って北欧神話の舞台を荒涼としたアイスランドの風景の中に探り当てていく。


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名古屋大学出版会

▼田中貴子著『『渓嵐拾葉集』の世界』(5500円)天台宗の「百科全書」とも言われる同書の作者・諸本・成立背景等を明らかにするとともに、説話の場に光をあて中世文化の豊饒な宇宙に迫る。
▼山本有造編『帝国の研究−原理・類型・関係−』(5500円)帝国の多様な歴史を貫く原理とは何か? 大英帝国をはじめ、史上に現れた諸帝国の歴史的理解に新たな地平を拓く画期的成果。
▼山本有造著『「満洲国」経済史研究』(5500円)日本帝国圏において満洲国経済はいかなる位置を占めたのか? 数量経済史的分析により、満洲国経済の全体像を輪郭鮮やかに描き出す。
▼小林傳司著『誰が科学技術について考えるのか−コンセンサス会議という実験−』(3600円)社会の中の科学技術のあり方をめぐって専門家と市民の対話は成り立つのか? その実際を紹介。
▼成田善弘著『贈り物の心理学』(2800円)日常生活におけるプレゼントから臓器移植まで、人間社会のさまざまな場面で登場する贈り物の意味と、背後に働く心の世界を解き明かす。


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三重大学出版会

川口元一著『お話電気学−電気の物理と回路−』A4、113頁(2000円+税)
第1章 はじめに
第2章 電荷とクーロン力
第3章 電界と電位
第4章 導体・誘電体・半導体
第5章 電力
第6章 電流に働く力と磁界
第7章 電磁誘導とインダクタンス
第8章 電磁波
第9章 キルヒホッフの法則
第10章 交流回路
第11章 フェーサ記号法による回路の扱い
第12章 簡単な過度現象
 著者は三重大学の工学部電気電子工学科から教育学部技術科に移り「高校で物理を選択しなかった人にも電気の基本的理解が進む」ような「電気工学概論」の授業を工夫してきた。その集大成である本著は「電波はどのように生まれ、どのように伝わっていけるのでしょうか。私たちの脳などの複雑な神経系では、どんなふうに情報が伝達できるのでしょう。電線や半導体の中を電流はどうして流れ得るのでしょう。発電所で生じた電気エネルギーがどんなふうに家庭にやってきて電気洗濯機を回せるのでしょう。蛍光灯はどのようにして目に都合のいい可視光線を出してくれるのでしょうか。…」という書き出しで始まる。


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京都大学学術出版会

▼高岸輝著『室町王権と絵画』菊判・520頁・7400円/朝廷の地、京都に武家政権を成立させた足利将軍家がその支配を確立するには、武力や政治力を強化するだけでは、足りなかった。公家文化を吸収することで、その権威を荘厳する必要があったのである。肖像で権力の所在を示し、その正当性の由来を合戦図で語る、あるいは非公開の絵画コレクションを収集しそれを巷間に宣伝することで、権威を神秘づける――文化の争奪戦において、やまと絵は重要な役割を果たし、そうした中で土佐派と呼ばれる絵師集団が育っていった。土佐派は将軍家をパトロンとし、将軍家はパトロンであることで、朝廷を睥睨したのである。時代が室町から戦国へと移行する過程でも同様であった。応仁の乱直後に描かれた土佐派の重要な作品の注文主は、細川政元だったのである。「武家による文化の接収」の様相を鮮やかに浮き上がらせ、政治史としての美術史を本格的に切り拓く。国華賞受賞論文「当麻寺奥院所蔵「十界図屏風」の研究」も収録。


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大阪経済法科大学出版部

▼向井喜典監訳/岩村等・大田潔他訳
『フランス現代史 人民戦線期以後の政府と民衆一九三六―一九九六年』(近刊)
本書は1936年から60年にわたるフランスでの人民と政府と物質的変化の相互作用の歴史を探求している。フランスでの研究はフランスを孤立して扱う傾向にある。多くの研究者が出版している中で、どの程度フランスに固有のものでどの程度までヨーロッパ全体の傾向を反映しているかを考察するものはほとんどない。これらの不足を補うため、フランスの変化する盛衰を比較的・国際的文脈の中に置き、フランスの実績をドイツ、イタリア、イギリスと併置して論述している。本書は多くの有益な統計資料を使って、従来とは違った観点から古い問題にアプローチを行い、内容に明瞭さと新鮮さを与え、専門書を扱う研究者にも全体史を扱う研究者にも高く評価されている。フランスの政治と社会の性格を理解するうえでも、また日本の民主的統治制度の類似性と異質性をみつめるうえでも役に立つ。1936年からのフランス史を論じた文献で、権威ある労作。


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大阪大学出版会

▼横田睦子著『渡米移民の教育―栞で読む日本人移民社会―』A5判・208頁5800円/渡米移民に対し生活の心得や排日期の対処法を伝授した民間諸団体発行のリーフレット「栞」を丹念に収集分析し、斬新な視点で、移民の日常生活から日米移民交渉史まで考察した現代版「栞(道しるべ)」。
▼柏木隆雄他編『エクリチュ―ルの冒険
―新編・フランス文学史―』A5判・300頁・2000円/フランス文学の千年を一冊にまとめた教科書シリーズ。大阪大学フランス語研究室の若手研究者も加えた21人が執筆する。中世から現代まで文化的変遷の中で、その表現や作品に常に新しさを求めた文学者たちを追う。
▼松岡博著『[新版]国際私法・国際取引法判例研』A5判・306頁・2000円/27件の重要判例の全てに事実の概要、判旨、評釈を掲載するとともに、関連判例も丹念に引用した判例評釈書。この分野で最もわかり易いと好評の初版をさらに充実。教科書・実務書に最適。
▼『現代英語の等位構造―その形式と意味機能―』岡田禎之著/本年度市河賞。


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関西大学出版部

▼井上 宏著『大阪の文化と笑い』(1300円)人間が元気に生き、社会生活をする上で「笑い」がいかに大事な営みであるか。笑いを大事と心得て「笑いの文化」を育てた大阪はどんな街なのか。今も人気のある「お笑い」も、その背景に「大阪の文化」が生きておればこそであり、「笑いのない大阪なんて考えられない」大阪の文化について論じる。
▼栗田和彦著『アマルフィ海法研究試論』(3500円)アマルフィ海法は、その写本発見から一世紀半以上経た今も、多くの謎を秘めている。本書は、序論で街の歴史を素描したのち、本論で写本発見・公開に至る経緯、編纂時期及び主要規制対象のコロンナ契約に関する紹介・分析・検討を行い、資料編での全条文の試訳などにより、総合的・多角的に同法の真相に迫る。
▼高橋誠一著『琉球の都市と村落』(5500円)琉球時代に建設された都市や村落は、風水思想と琉球独自の伝統的地理観がみごとに融合している。本書は、新旧集落、格子状集落などを景観復原することにより、その実態を解明する。


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関西学院大学出版会

▼木ノ脇悦郎著
『エラスムスの思想的境地』
エラスムスの思想を宗教改革の只中にあったヨーロッパという空間的広がりの中に位置づけて論じる。
(A5上製・144頁・3800円)
▼澤利政著
『学びを豊かにする学校図書館』
著者が学校図書館とともに歩んだ教職五十年の集大成。司書教諭・学校司書に最適のハンドブック。
(A5並製・224頁・2300円)
近刊
▼後藤明・松原好次・塩谷亨編
『ハワイ研究への招待|イメージを越えて』(仮題)
若い世代の研究者を中心にした各フィールドからの論考は一般的なハワイ・イメージをうち破りハワイの面白さを再認識させてくれる。
(A5並製・340頁・予価2800円)
▼関西学院大学キリスト教と文化研究デンター編
『民族と宗教』(仮題)
(A5並製・270頁・予価2600円)


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九州大学出版会

▼C・ドーベル/天児和暢訳『レーベンフックの手紙』(A5判・456頁・3800円)細菌の発見者レーベンフックがロンドン王立協会へ送った多数のオランダ語の手紙を英訳して、彼の生涯の詳細な研究を付した、イギリスの原虫学者C・ドーベルの貴重な書物の初の全訳。
▼M・J・デ・プラダ=ヴィセンテ著『日本文学の本質と運命―『古事記』から川端康成まで―』(A5判・436頁・7000円)神話の再構築としての日本文学を徹底分析した力作。
▼篠原清昭著『中華人民共和国教育法に関する研究』(A5判・424頁・7500円、2001年10月刊)は2003年日本教育行政学会学会賞を受賞した。
▼深川博史著『市場開放下の韓国農業』(A5判・428頁・6200円、2002年9月刊)は2003年九州農業経済学会学術賞を受賞した。
▼飯田武郎編『The Reception of D. H. Lawrence Around the World』(菊判・322頁・7200円、1999年刊)は2003年北米ロレンス協会学会賞「H・T・ムアー賞」を受賞した。


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