海外の大学出版部関連記事
『大学出版』既刊より







 50号に至るまでの間に、『大学出版』では、その時々の関心に応じて、海外の大学出版部の動向を追った記事を掲載してきました。そのなかから、各国の特徴がわかりやすく描かれているものを、以下に紹介いたします。
 本誌の「これまで」の歩みを振り返るとともに、「これから」を読み解くための資料としてご活用ください。

 アジア

箕輪成男「東南アジアの大学出版部(上) (下)」(36号〈98冬〉・37号〈98春〉)
 「大学教科書」「学術書」「大学出版部」という三本の小見出しにそって、フィリピン・マレーシア・インドネシアの大学出版部について詳述。鋭い切り口と豊富な情報量は、『大学出版』50号の歴史のなかでも逸品。

■ 麻子英「中国の出版事業と大学出版社について」(6号〈88秋〉)
 北京大学出版社の社長が語った「中国の現実」。1987年創立当初の中国大学出版社協会の状況が報告されている。すでに81校の加盟を誇っており、あらゆる出版社はすべて国家の承認を受け、「国営」だという。

 アメリカ

渡辺勲「岐略に立つ大学出版部」(40号〈99冬〉)、
     「大学出版部と母体大学との関係」(41号〈99春〉)
 1998年度アメリカ大学出版部協会(AAUP)総会に参加した際の寄稿。大学「経営」の論理で出版「経営」を取り込むことはもともと不可能であって、出版経営の成長は大学からの自立を必然化する、という認識の裏づけとなる、AAUP傘下出版部の「1997年度経営分析」(当時110校のうち、回答率55%)が貴重。

 ヨーロッパ

■ 箕輪成男「政治のなかの大学出版部」(18号〈93夏〉) 16世紀イギリスに始まった大学出版部が、なぜイギリスで栄え、フランスでは発展をみなかったか。その両国比較から大学出版の歴史的背景を描き出す。本号特集の原点ともいえる。

■ 山本俊明・成田和男・木下正之「ヨーロッパの大学出版事情」(22号〈94夏〉)
 1994年春に「欧州主要国における大学出版事情調査と交流促進」を目的として、ベルリン・ウィーン・ナポリ・ローマ・ブダペスト・パリの5ヵ国6都市を訪問した際の報告記事。ヨーロッパの、大陸における大学出版事情についての数少ない報告である。

 総 論

■ 平川俊彦「大学出版部小史」『大学出版部協会30年の歩み』(1993年)
 数世紀の歴史を有する大学出版部の起源、そして発展のプロセス、未来への展望まで、世界・日本の歴史的流れを概観。これを一読すれば、大学出版の歴史が眺望できる。



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