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北海道大学図書刊行会

▼馬渡峻輔・木村純編著『21世紀・新しい「いのち」像』(四六判・1800円) 現代科学と技術との関わりの中で、今、変わりつつある「いのち」の意味を探る。
▼中村健之介・中村喜和・安井亮平・長縄光男編訳『宣教師ニコライの日記抄』(四六判・6500円) 宣教師ニコライによる明治初期から日露戦争に至る日本滞在日記。宣教の傍ら観察した日本人の暮らし、日露戦争と日比谷事件、ロシア五年革命の気運等、興味深い史実の数々が記されている。
▼山口二郎編『自治と政策』(A5判・4800円) 6人の第一線の研究者が大変化が起こった90年代の地方分権・行政改革の主要なトピックについて分析し、次代の課題と展望を提言。
▼ヘレロ著/嶋田みどり・大山卓悠訳/日本クマネットワーク解説『ベア・アタックスI、II』(四六判・各2400円) 北米におけるグリズリーやブラックベアを対象とした長年の研究成果を集大成。多数の実例を詳述。「クマはなぜ人を襲うか」の原因を分析し回避方法と対策を提案。補章・「星野道夫の死」。我が国の現状を日本の研究者が解説。


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聖学院大学出版会

▼聖学院大学では、2000年度から「聖学院大学研究叢書」を刊行することになった。それは「学術書の刊行が非常に困難になっている状況の中で、聖学院大学における学術研究の成果を公開し、研究を促進するため」に設けられた助成制度による。年間、2点の学術書に200万円の助成が予算化される。今年度は、研究叢書の審査委員会の審議を経て、次の2点が聖学院大学出版会から刊行されることが決定された。
▼梅津順一著『「文明日本」と「市民的主体」――諭吉・蘇峰・鑑三』は、開国と明治維新において日本は世界に向かって日本の政治体制、人民の生き方、国際社会での自国の位置づけを説明する必要に迫られたが、この課題に答えようとした福沢諭吉、徳富蘇峰、内村鑑三の思想を取り上げ、彼らの語った「新しい日本の構想」を明らかにする。
▼安酸敏眞著『歴史と探求――レッシング・トレルチ・ニーバー』は、歴史の意味と格闘した3人の思想とその連関性を考察し、著者の宗教哲学的立場から、偶然的な歴史的真理と必然的な規範的真理の関係性を論ずる。


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麗澤大学出版会

▼大山正・丸山康則編『ヒューマンエラーの心理学 医療・交通・原子力事故はなぜ起こるのか』(2200円)
 医療事故、交通事故は言うをまたず、原子力事故さえも、われわれの日常生活をいつ襲うかもしれぬ脅威となっている。しかも、これらの事故の主たる原因は、「人間の犯すエラー」にあるという。
 たしかに、誰もが間違いを犯す。むしろ、エラーは人間の本性に根ざしていると言ってよい。ならば、エラーを犯す人間の本質に迫ることで、エラーを減少・軽減させ、事故へとつながる連鎖を断ち切ることは可能だろう。――本書では、8人の心理学者が各々の専門分野から、エラーに至る人間心理の「謎」に迫り、実践可能な安全対策を提言している。
 専門家、関係者はもちろん、一般読者にも読んでいただきたい好著である。


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慶應義塾大学出版会

▼福澤諭吉著/富田正文校注『福翁自伝』(1500円) 今年2001年は、福澤諭吉没後百年にあたる。これを機に、新世紀の指針となる必読の名著「福翁自伝」を新装版で刊行した。常用漢字・現代かなづかいで読みやすく、充実した注・解説・年表を収録。自伝文学最高傑作の決定版。
▼〈日韓共同研究叢書〉(1)野副伸一・朴英哲編『東アジア経済協力の現状と可能性』(3400円)、(2)宮嶋博史・金容徳編『近代交流史と相互認識I』(3800円) これからの日韓研究に欠かせない全7巻の刊行開始。本叢書は、日韓の研究者で構成された「日韓共同研究フォーラム」の成果を収録する。今回の2冊はそれぞれ「経済」と「歴史」の分科会の研究成果。
▼スタン・ナイト著/高宮利行訳『西洋書体の歴史 古典時代からルネサンスへ』(6500円) 西洋書体の変遷を、各書体につき、見開きで、写本の一頁大・拡大・実寸の図版と解説で構成して紹介。カリグラファー、デザイン・美術関係者、書誌学研究者必携。


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産能大学出版部

本多正久著『経営のための需要の分析と予測』(3800円)
 コンピュータの目覚しい進歩によって、企業の販売・需要予測に関するデータ収集・整備、モデル構築が行えるようになった。
 しかし的確な予測を行うためには、予測対象の需要構造や関連要因に関する豊富で適切な知識が不可欠である。さらに、予測の目的や対象の特徴に合わせた適切なモデル・手法の選択が重要となる。
 本書は、数字に不慣れな方にも予測の設計構築ができるように、その事例として「電力需要の予測」を取り上げ、予測の実際的な方法、改善や再分析が可能な科学的方法論による予測や基礎的な理論、数値計算方法をわかりやすく解説する。
 経営計画や販売計画のために予測を必要としている実務家、あるいは経営・経済系学部や大学院修士課程のテキストとして最適な書である。
 同書で展開されている重回帰分析やボックス・ジェンキンズ法などの分析が手軽にできる〔需要予測パッケージソフトFDH〕を別売り。


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専修大学出版局

▼専修大学今村法律研究室編『今村力三郎訴訟記録30 大逆事件(一)』(4175円) 1910年の日本は政治レベルでは没落する藩閥政府の危機感と日露戦後の財政逼迫があり、そのなかで自由主義的な新興勢力の芽が胎動していた。第二次桂内閣はそれらへの統制を強め、5月から大逆事件の検挙が始まり、幸徳秋水も湯河原駅で拘引された。11月予審、12月一審、翌1月に死刑判決、一週間後に執行という性急苛酷な裁判が当時の世に与えた影響は大きい。本書には裁判の弁護士をつとめた今村の所持資料から、予審の意見書、秋水の直筆による獄中陳弁書、裁判の判決書などを掲載した。
▼坂本重雄『社会保障の立法政策』(6800円) 少子・高齢社会が急速に迫りくる中で、国民の切実な要求と期待にもかかわらず、日本の社会保障の将来像は未だ政府によっても明確には提示されていない。本書では、理念・学説・裁判などを歴史的に検証し、後半は21世紀における年金・医療・介護保険・雇用保険・公的扶助等、社会保障のあらゆる分野での抜本的改革の提言をおこなっている。


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玉川大学出版部

2000年度を総括する▼1983年3月にスタートした「高等教育シリーズ」が9月刊の天野郁夫編『学長 大学改革への挑戦』にて100点目に到達した。以降、今年度中に、パーマー/吉永契一郎訳『大学授業の自己改善』(3200円)、黒羽亮一『新版 戦後大学政策の展開』(3600円)、喜多村和之『現代大学の変革と政策』(4500円)、京都大学高等教育教授システム開発センター編『大学授業のフィールドワーク』(3600円)、池田輝政・戸田山和久・近田政博・中井俊樹『成長するティップス先生』(1400円)を続刊。引きつづき、小部の出版活動の大きな柱の一つになっている。
▼高津紘一『能面の彩色』(19000円)を刊行した。かつての名工たちの能面九面を座右に置き、それぞれの造形と彩色を再現。個々の制作工程のすべてを写真映像により迫り、その技法を解説している。
▼日本教育経営学会編「シリーズ 教育の経営」全6巻(各6400円、セット価格38400円)を刊行。精鋭120人の執筆陣による日本教育経営学会創立40周年記念出版。


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中央大学出版部

▼細野助博著『スマートコミュニティ――都市の再生から日本の再生へ』(2500円)
 日本と、日本の先行指標とも言われる米国の「都市づくり」を実際に体験、研究した成果を掲げた一冊。街づくりが「実は人づくりである」ことから説き進める実践的都市論は、情報インフラも含めて「誰もが自立できうる社会的インフラが整備されるコミュニティ」づくりと、それを活かす「人」づくりを目指す。
 永田町が選挙民にアピールしてきた一見温情的な地域政策や、長期的に見れば地方に中央依存体質を植え付けるだけの利益誘導型政策を打破できるように、といった骨太な物言いがエッセイスタイルで語られ、専門家以外でも興をそがれない構成となっている。


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東海大学出版会

▼『日本近海産貝類図鑑』奥谷喬司編著(38000円)
 貝類図鑑として日本最大の5126種を和英文で解説するカラー図鑑である。貝類のみでなく、ウミウシ類、イカ・タコ類など軟体動物全綱を網羅。多くの生態写真を併用し、貝殻の特徴だけでなく軟体の形態や色彩がわかる。
▼『日本産魚類検索第二版』中坊徹次編(28000円)
 魚類の分類に関する最新知見と情報からなる最新魚類検索。日本産魚類352科3863種を収録し、日本産魚類の全種がこの第二版で検索同定できる。
▼『多足類読本――ムカデとヤスデの生物学』田辺力(2800円)
 多足類とはなんだろう。気持ちが悪いといわれているムカデやヤスデの分類から生態、採集法、飼育法などを解説する。入門ゲジゲジマニア。
▼『ハエ学――多様な生活と謎を探る』篠永哲・嶌洪編著(3500円)
 ハエとはなんだろう。本書では、忌み嫌われる昆虫であるハエ類の多様な生活、地理的分布を取り上げる。


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東京大学出版会

 言語の世紀といわれた20世紀を終えて、ことばの知を新しく切り拓くシリーズの刊行を開始します。
▼「シリーズ言語態」全六巻(A5判・平均344頁・3800円)/山中桂一・石田英敬編『言語態の問い』第一巻。
 構造主義、ポスト構造主義などに見られたように、現代の言語研究は知の中心的な役割を果たしてきました。その中でも、文学、文化、社会制度、メディアなどを構成する言語を対象として、例えば詩学、記号論、精神分析、言語哲学などと交錯しながら、多様なフィールドを広げてきた領域があります。
 「言語態」とは、この新たに展開した領域が主に扱ってきたテクスト、ディスクール、物語、文体などと呼ばれるものを総称し、「ことばの生存の様態」として捉えるものです。
 「言語態」という概念から、今日いかなるアプローチが可能か。シリーズは、『創発的言語態』『書物の言語態』『記憶と記録』『社会の言語態』『間文化の言語態』と続きます。


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東京電機大学出版局

 待たれていた「聖典」、完全訳で登場!
 コンピュータ音楽の起源から今日までの様々な試みと歴史的背景、合成や信号処理などの理論的基礎と、音楽家インタフェースやMIDIといった実際の応用、そして音楽心理学までを、詳細な記述と約650点の図表で多元的に著した“The Computer Music Tutorial”の完訳が遂に刊行された。欧米ではデジタルオーディオの「聖典」として、よく参照・引用の対象となる。1996年の原著刊行以来、日本でも技術者や情報処理研究者、また実際の演奏家やアマチュア音楽家の間で、その邦訳が待たれていた。『コンピュータ音楽――歴史・テクノロジー・アート』Curtis Roads著/青柳・小坂・平田・堀内 訳・監修/B5判1074頁/1万2800円(税別)


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東京農業大学出版会

<シリーズ実学の森>
祖庭 長岡安平
  わが国近代公園の先駆者
長岡安平顕彰事業実行委員会編
 我が国近代公園の先駆者・長岡安平の業績をたどる、公園発達史でもある。公園をはじめとする緑とのふれあいを求める市民の声はますます高まっている。長岡の心を学ぶことにより、よりよいまちづくり、環境づくりの足がかりがえられる。『横井時敬と東京農大』『沙漠よ緑に甦れ』『都市、緑と農』に次ぐ、シリーズ四集である。平成12年10月刊/B6判/142頁/本体価格800円

<カラー写真集100シリーズ>
桜 さくら サクラ100の素顔
東京農業大学生活科学研究所編
 東京農大短大部創立50周年記念出版。日本人の文化や生活に深くかかわってきた「桜」に焦点を当て、専門分野の教員が様々な視点からアプローチしたもの。100項目に桜の新しい一面を発見されるに違いない。平成12年11月刊/B6判/145頁/本体価格1600円


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法政大学出版局

▼福井貞子著『野良着(のらぎ)』
 《ものと人間の文化史 95》2900円
朝日新聞=おおらかかつ絶妙な衣の生活文化を探究(松山巌氏) 讀賣新聞=分身にほかならぬ長年まとった着物(木下直之氏) 日本経済新聞=女の思い連綿と紡ぐ(文化欄) 東京新聞・中日新聞=忘れ去られつつある日本のリサイクルの文化を掘り起こす 同・読書日記=文学に負けない感動(岩阪恵子氏) 赤旗=虚飾のない固有の美を伝える(森南海子氏) 週刊読書人=「枯骨の美」を作る針とこころ(林佳恵氏) 他に、日本農業新聞・内外タイムス・出版ニュース・日本海新聞・家の光・學鐙などで紹介され、NHKラジオ「生き生き倶楽部」での著者インタビューは大きな反響を呼びました。


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放送大学教育振興会

▼放送大学は放送教材と印刷教材を使用して授業を行う通信制大学であり、その印刷教材の編集・発行が放送大学教育振興会の主要業務の一つである。平成13年度の新刊は65点、放送大学の第一学期に開設される科目は304(学校図書館司書教諭講習を除く)。
▼放送大学基幹科目「科学の思想と論理」(山田晃弘・杉本大一郎編著)…自然科学は個々の事象の集積で、それぞれ専門化されたものと思われていることが、しばしばある。しかしその原理とリテラシーには壮大な体系がある。これは科学の思想や科学的世界観として興味深いものである。それが身につけばミクロからマクロの世界まで、物質・生命界から宇宙までを通して専門を超えて自然界の全容が見えてくる。
▼放送大学主題科目「現代社会とスポーツ」(渡辺融編著)…世界各国でスポーツの振興が社会発展計画の一環として取り上げられている状況、日本におけるスポーツ実践の様相、現代スポーツの一方の特徴である産業化・科学化の状況等を概観し、その問題点・在り方を考える。


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明星大学出版部

▼塚田紘一著『子どもの発達と環境――児童心理学序説』近世に至るまで、子どもは「大人の小さい者」と考えられていた。しかしながら、ルソー(Rousseau,J−J.)の子どもを中心にすえた児童観によって児童は研究対象になる。ルソーは「エミール」の中で「子どもは大人と違ったもの」であり、不完全な大人としてではなく、子どもとして理解されなければならない存在である」と提言した。大人はかつて子どもだったために子どもの心をあたかも知り尽くしていると誤解していた。その誤解を解き、児童の心理が科学的に研究され始めたのは、わずか百余年前に過ぎない。それから児童心理学は日進月歩に発達する。本書では児童心理の最新情報を解説。
(目次―抜粋―)第一章 発達の基本的理解、第二章 児童研究の方法、第三章 発達初期の展開、第四章 身体と運動機能の発達、第五章 認知発達、第六章 知能と創造性、第七章 情緒・動機、第八章遊び、第九章 社会性、第十章 自己意識、自己概念、第十一章 親の児童観と教師=生徒間の信頼関係。


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早稲田大学出版部

▼〈アジア太平洋研究選書〉の刊行を開始した。第一巻『インドネシア―揺らぐ群島国家』(後藤乾一編/2800円)は、東ティモール独立問題や経済開発の是非で揺れ動くインドネシアの現状を、現地調査による最新情報をもとに論じる。
▼『都市と車の共生』(尾島俊雄・高橋信之、早大理工総研シリーズ(17)/2000円)人と車が共存するにはどのようにしたらよいのか。パリやミラノなど世界主要都市における様々な試みを紹介し、共生への可能性をさぐる。
▼『ハムレットへの旅立ち』(大井邦雄編/2800円)時代ごとに新しい顔をみせる『ハムレット』。舞台・映画・絵画・心理学・受容史などをテーマに、12人の執筆者が魅力と謎に迫る。


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名古屋大学出版会

▼イヴ・K・セジウィック著『男同士の絆――イギリス文学とホモソーシャルな欲望』上原早苗他訳(3800円)
▼藤井淑禎著『小説の考古学へ――心理学・映画から見た小説技法史』(3200円)
▼谷田博幸著『極北の迷宮――北極探検とヴィクトリア朝文化』(3800円)
▼エリック・リーヴィー著『第三帝国の音楽』望田幸男監訳(3800円)
▼近藤孝弘著『自国史の行方――オーストリアの歴史政策』(3200円)
▼広田照幸著『教育言説の歴史社会学』(3800円)
▼末廣 昭著『キャッチアップ型工業化論――アジア経済の軌跡と展望』(3500円)
▼ロジャー・メイソン著『顕示的消費の経済学』鈴木信雄・高哲男・橋本努訳(3600円)
▼高橋一彦著『帝政ロシア司法制度史研究――司法改革とその時代』(9000円)
▼市原 周著『乳腺病理学――細胞・組織・画像』(4800円)


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京都大学学術出版会

▼『トマス・ピンチョン――無政府主義的奇跡の宇宙』木原善彦著・3400円/『V.』以来『重力の虹』まで複雑かつ難解な作品世界で、多くの読者を魅了してきたピンチョン。彼は自らの代表作を超えられないのか、それとも、彼自身が変化したのか? 作品の変遷を詳細に分析しながら作家の軌跡を追う。
▼『西洋近代文明と中華世界――京都大学人文科学研究所70周年記念シンポジウム論集』狭間直樹編・5200円/アヘン戦争後、西洋近代文明はいかにして中華世界を変容させたかを、「文化」に焦点をあてて解き明かす。〈文明史〉〈言語史〉〈文化史〉〈学術史〉〈科学史〉の五分野22人の研究者が、その「変容の節目」の事例や人物をとりあげて論究する。
▼『実験心理学の誕生と展開――実験機器と史料からたどる日本心理学史』苧阪直行編著・5600円/明治中期、草創期の心理学者たちはさまざまな試行錯誤を重ね、独創的な心理実験機器を作っていった。100年の歳月を超えて現存する古典機器の分析と、先駆者たちの評伝によって日本実験心理学の源流を探る。


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大阪経済法科大学出版部

▼99年に刊行した『満州事変前夜における在間島日本総領事館文書(上)』は現在下巻の編集作業が進んでいる。原資料は、中国各地の領事館に勤務した外務書記生・伊地知吉次の収集したものである。
▼彼の略歴は、1913年東亜同文書院(上海)卒業、17年青島守備軍民生部鉄道属勤務。21年ワシントン国際会議に全権委員付として出席。22年より、孫文・蒋介石らの活動拠点たる広東・重慶の華南各地の領事館に勤務。本省勤務後29年より、鉄嶺事件・間島朝鮮人武装蜂起等の激動の地−鉄嶺・間島領事館に満州事変前夜まで勤務する。
▼彼は実務担当者として、「事件」のあるごとに、通訳なり交渉者として、その現場に立ち会い、双方の当事者から直接事情を聞き、また当地の経済的諸問題の処理にあたる等して、日中関係を最も肌身に感じる立場にあった。
▼公務として現地新聞の切り抜き等の情報収集・調査報告書・方針草案・機密公電公信の素案を作成する一方、その写しやコピーを収集していたのである。
▼伊地知という興味のある人物が持ちかえったのが原資料である。


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大阪大学出版会

▼21世紀の始まりと共に、大阪大学は創立七十周年を迎えた。これを記念した多くの事業のひとつとして〈大阪大学新世紀セミナー〉の刊行がある。ブックレット風のA5判・ソフトカバー・96頁・本体1000円の叢書で、全31点を予定。本年2月から毎月配本予定。
 大阪大学でなされている話題性豊かな最先端の研究を、学生、一般社会人、異分野の研究者を対象に、平易に、狭く深く、読みやすく解説。2月刊=渥美公秀『ボランティアの知』、宮原秀夫・村田正幸『インターネットがもたらすマルチメディア社会』、3月刊=白井良明・浅田稔『身近になるロボット』、大竹文雄『雇用問題を考える』。以下続刊。
▼米田該典『洪庵のくすり箱』(1500円)蘭方医緒方洪庵が愛用した薬箱をとおしてみた幕末頃の薬の保存技術、薬学と化学の水準や、薬の流通事情。
▼宮西正宜・畑田耕一編『科学技術と人間のかかわり(II)』(2200円)IT革命、遺伝子治療、環境ホルモン、食糧問題…21世紀の科学・技術を研究者らと一緒に考えるために。


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関西大学出版部

▼奥純著『アラン・ロブ=グリエの小説』(3600円)ヌーヴォー・ロマンの巨匠アラン・ロブ=グリエの全体像を総合的に論じた本邦初の研究書。トドロフやジュネット、バトルなどの最新の文芸理論や物語論の手法を駆使しながら、世界各国の文学的形象との比較を通じて、その実像に迫る。
▼鶴嶋雪嶺著『豆満江地域開発』(5000円)図們江地域開発をUNDP中心の国際共同開発、中国延辺朝鮮族自治州開発、北朝鮮羅津・先鋒経済貿易地域開発と網羅して検討し、中国朝鮮族のように、国境の向こう側にも同民族が集居する跨境民族の居住地域の開発について考察した研究書。
▼坂本武著『ローレンス・スターン論集』(6000円)18世紀の英国小説『トリストラム・シャンディ』や、旅行記の名作『センチメンタル・ジャーニィ』を著した作家について、著者が過去30年間に考察を重ねてきた論考の集成本。作家研究の歴史を概観する序文は書き下ろし。五部十三章と附論三篇、年表・書誌・索引から成る総合的研究書である。


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九州大学出版会

▼馬場金太郎・平嶋義宏編『新版 昆虫採集学』(A5・844頁・8800円)品切れとなっていた『昆虫採集学』を全面的に改訂。昆虫の習性・採り方ばかりでなく、その扱い方、標本の作り方、標本の価値ほかを詳述。プロとアマを問わず、昆虫学と応用昆虫学の研究者必携。
▼ジャン・パウル/恒吉法海・嶋崎順子訳『ジーベンケース』(A5・594頁・9400円)ジーベンケースは友人ライプゲーバーと瓜二つで名前を交換している。しかしそのために遺産を相続できない。不如意な友の生活を救うためにライプゲーバーは仮死という手段を思いつき……。ドッペルゲンガーと仮死の物語。形式内容共に近代の成立を告げる書。
▼ジャン・マビヨン/宮松浩憲訳『ヨーロッパ中世古文書学』(B5・762頁・14000円、2000年2月刊)によって、日本翻訳家協会第36回日本翻訳出版文化賞を受賞。
▼戸島信一著『家族農業経営の再生産機構』(A5・204頁・4000円、2000年1月刊)平成12年度九州農業経済学会・学術賞を受賞。


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東北大学出版会

「家族」と「個人」の相克――平等再考 樋口晟子著(A5判・上製・300頁・3000円)
 この本の主題は、家族との関わりにおける男女の平等の在り方を問うことにある。人間の平等が謳われてから既に二世紀を経過したが、それが男女の平等を含まなかったため、女性は平等を主張することを余儀なくされ、今日に及んでいる。一定の進歩はあるものの、男女の平等の確立は未だ十分とは言い難い。加えて、この問題は、家族との関わりにおいて根深いものとなる。家庭内の女性の仕事は、外で富を生み出す男性のいわば公的な仕事に対する私的な奉仕活動となり、一段と低い地位に位置づけられることとなった。これに対し、様々な観点から主婦論争が展開されているが、それらに対して著者は疑問を抱く。「社会に生きる人間として平等を考えるとき、全てが同じであることに依る平等ではなく、社会的人間として個々人の尊厳を守ることにおいて平等であることが求められなければならないと考える。」ジェンダー問題に関心を持つ人々の必読の書である。


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流通経済大学出版会

▼岡野・J・ロビン『IT'S YOUR LIFE AND OTHER STORIES FOR DISCUSSION AND PRESENTATION』(A5判 1500円)
 本書は、英語をまなぶ日本人が英語で考え、自分の意見を生きた英語で表現できる力を身に付けるための教科書である。
 近年、「読み書きの英語」から「使える英語」へと英語教育の見直し論議が盛んである。小渕前首相の私的諮問機関「二十一世紀日本の構想」懇談会の報告書に英語の第二公用語化が盛り込まれて以降、一段と喧しくなった。
 確かに、英語が言葉である以上それを使ってスムーズなコミュニケーションが出来なければならない事は論を俟たない。
 しかし、その事は流暢に英語を操る事とは必ずしも同じではあるまい。言葉は文化である。技術に走る前に自他の文化についての理解を深めると共に確りした自分の意見を持つ事が肝要であろう。
 本書は、この視点で書かれた数少ない教科書である。大学の英語教科書として或いはカルチャーセンターや公民館等での英語教室でテキストとして採用されるようお勧めする次第である。


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三重大学出版会

 ジミー・ウォーカー著、松岡典子訳『戦争捕虜二九一号の回想―タイメン鉄道から南紀イルカへ』(A5判・256頁・1200円)第二次世界大戦中、英国より出征してきた兵士たちは、シンガポール到着後わずか10日で捕虜となりタイメン鉄道建設の重労働に就かされる。その後さらに300名の英国兵士が、日本は三重県の山中「イルカ」村に送られ、銅山採掘に従事させられる。1年4か月の労働の後終戦を迎え、彼らはイルカに16名の墓碑を残し、無事英国へ帰還した。それから47年。共に銅山採掘をした南紀のかつての中学生たちに日本へ招かれた元英兵たちは……。
 ウォーカー氏は一介の兵士であり、彼の回想記は、彼の身の回りの出来事を書き綴ったものに過ぎない。だが物不足の兵営で文案を練り、記録を綴り、ニュースを発行する彼を見て、英国民なら「ハレルヤ」というだろう。過酷な体験を良識化できる人に幸い有れ、というわけだ。その回想記を読むと、戦争が反面、非常に個人的な体験をもたらすものであることを痛感する。


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関西学院大学出版会

▼圓田浩二『誰が誰に何を売るのか――援助交際にみる現代社会の性・愛・コミュニケーション』(四六判上製・320頁・3800円)
 援助交際とは何か。男と女の間でほんとうは何が交換されているのか?
 現代社会における性・愛・コミュニケーションを綿密なフィールドワークに基づいて検証する。
第一章 援助交際とは何か?
第二章 援助交際の女性たち
第三書 援助交際の男たち
第四章 メディアと援助交際
第五章 援助交際におけるジェンダー構造
第六章 匿名的な親密さと援助交際
第七章 援助交際の時空間

近刊予告
▼林忠良編 村上陽一郎・中村桂子・森岡正博他
『生命科学と倫理』
▼ジム・コンセディーン/ヘレン・ボーエン  前野育三監訳
『修復的司法』


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