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北海道大学図書刊行会

▼ロックモア著・奥谷浩一他訳『ハイデガー哲学とナチズム』(A5判・6800円)生涯を通じてナチズムの枠内にあったハイデガー哲学の全体系を根本から検証。彼の思索の全行程を対象に、膨大な著作・研究書を渉猟してハイデガーに内在するナチズムへの哲学的批判を加える。
▼山根正気・幾留秀一・寺山守著『南西諸島産有剣ハチ・アリ類検索図説』(B5判・25000円)南西諸島のハチ・アリ類600種を収録。インベントリーの要請に応える新タイプの図鑑。環境調査関係者必携の書。日生財団出版助成図書。
▼杉森滉一・木村和範編著『統計学の思想と方法』(A5判・3800円)統計の持つ二つの性質間の連関を探り、そこから生ずる認識論的・方法論的諸問題を批判的に検討する。21世紀における社会科学としての統計学のあり方を問う。統計と社会経済分析シリーズ第二巻。
▼阿部永著『日本産哺乳類頭骨図説』(B5判・9000円)土着種108種と帰化種13種を143頁710枚の精密図版で収録。動物学・考古学研究者はもとよりナチュラリスト必携の図鑑。


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聖学院大学出版会

▼鵜沼裕子著『近代日本キリスト者の信仰と倫理』(3600円)
 近代日本のキリスト教に関する歴史・思想史研究は、これまでキリスト教とその思想を日本の近代化の過程に位置づけ、とくにプロテスタント・キリスト教が果たした西欧近代への開明的な役割にその研究の重点を置いてきた。
 これに対して、著者は、植村正久、内村鑑三、新渡戸稲造、三谷隆正などのキリスト者たちが、日本の伝統的な「天」の観念、日本の精神的伝統、日本の他宗教、日本人の死生観などにどのように対峙し、キリスト教信仰を確立していったのかを、それぞれの「宗教的原体験」から信仰を内在的に理解しようとする。その信仰理解からかれらの生き方の根本にあった倫理を解明する。この作業を通して、本書は、近代日本におけるキリスト教の役割とその信仰の意味に新しい視点を提供する。
 著者は、現在、聖学院大学人文学部日本文化学科教授。著書に原史料から日本のキリスト教史を読み解く、『史料による日本キリスト教史』(1600円、聖学院大学出版会)などがある。


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麗澤大学出版会

▼高 巖『企業倫理のすすめ―ECS2000と倫理法令遵守の仕組』(本体600円)
 企業が倫理法令を確実に遵守するための社内の仕組みをどのように作ればよいのか? 本書はこれにわかりやすく丁寧に答えた手引書である。
 昨今の企業の不祥事が示しているように、経済のグローバル化、規則緩和が進むにつれ、企業倫理実践のための社内制度確立は企業の盛衰を左右する緊急課題となったと言っても過言ではない。
 本書は、この面で先行したアメリカ企業の経験を参照しつつ、麗澤大学経済研究センターが中心となって作成した「倫理法令遵守マネジメント・システム規格」(ECS2000)の全文と、その活用法が丁寧に解説されていて便利である。


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慶應義塾大学出版会

▼J・C・ホゥルト/森岡敬一郎訳『マグナ・カルタ』(18000円)
 英国中世史研究の泰斗ホゥルトの名著の邦訳。イギリス憲政史上の最重要文書の1つ「マグナ・カルタ」を12−13世紀の社会的・政治的構造の中で捉えた歴史学的注解の書。従来の法解釈学的アプローチを超えた画期的研究。
▼清水啓助編著 Keio UP選書『知的創造時代の知的財産』(2000円)
 デジタル化の時代の中で、特許や著作権・商標といった「知的財産」の存在が重視されてきている。国策として「知的財産」保護を明確にする米国や特許・商標への対応を重視し始める企業など知的財産をめぐる現況と課題を明らかにする。
▼綛野和子『日本文化の源流をたずねて』(3000円)
 わかりやすい話と写真で綴る民俗学からみる日本文化の手引書。折口信夫の教え子の著者が「年中行事」「歌舞伎の発生」「名字の話」など身近な例を取りあげて、日本文化の見方をやさしく語る。民俗写真家芳賀日出男氏の貴重な写真42点を挿入し、民俗学の魅力を満載した好著。


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産能大学出版部

▼『私の大学改革』野田一夫著(1500円)
 大学淘汰の時代がすぐそこに迫っている。本書は新しい大学の姿を求めて二つの大学、多摩大学及び県立宮城大学の創設に携わった著者が、改革を成し遂げていった道筋と方法及び内容を述べたものである。大学をいかに社会の要請に応えるものにするか、大学入学者数の激減に対応して経営基盤を確固たるものにするにはどうしたらよいかを著者の具体的な体験のなかから述べている。
▼『オプションマネジメント』加藤雄一著(1500円)
 パラダイムが大きく転換している今、日本のマネジメントのあり方、改革が模索されている。著者は、工業化社会の残滓ともいうべき「社員に忠誠を強いる経営」から、経営者と社員が対等の立場に立つ経営革新策を次々と打ち出してきた。そして、現在行き着いたのが、アソシエイツ制である。それは社員が自らのワークスタイルを選ぶことができるオプション制の導入である。本書では、このオプションマネジメントを具体的に述べた。


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専修大学出版局

▼カトリン・アマン著『歪む身体−現代女性作家の変身譚−』(2400円)
 離婚女性の想像妊娠を枠組みとした津島佑子『寵児』、足の親指が変形した女子学生の性の遍歴を描いた松浦理英子『親指Pの修業時代』など、変身をテーマにもつ代表的な五編の小説について、近代小説批判の立場から立論が図られている。
 筆者はオーストリア国籍をもつ女性で新進の日本文学研究者であるが、習熟した日本語を駆使しながら論述している。日本的変身譚について、女/男からの脱構築すなわちジェンダー・アイデンティティの多様化を指摘し、変身が疎外の表現ではなく現代社会批判であるとし、さらに仏教や神道の影響にもふれている。これまであまり批評家が取り上げなかった本質論にいどみ、作品内部の暗喩や隠蔽されたものに迫ろうとした意欲作である。
▼石巻専修大学開放センター編『'99開放講座 21世紀への誘い−共存をめざして−』(1400円)「物質への情熱」「人はなぜ働くのか」「ゾウリムシの不思議」「ドイツの有給休暇」ほか14編。


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玉川大学出版部

 アメリカ西部史に興味をもつ人に読んでいただきたい書物2点を刊行した。
▼G・D・ナッシュ著/朝日由紀子訳『二〇世紀のアメリカ西部−未来を映す都市オアシス文明−』(5800円)カフェテリアやスーパーマーケットはなぜ西部で生まれたのか。巨大な航空機会社、映画会社、軍事施設が西部に集中したのはなぜだろう。太平洋岸に押し寄せた高齢者のために発展した産業とは? 東部の植民地であったアメリカ西部が、やがて自立し、世界の最先端文化の発信地となっていく姿をダイナミックに描き出す。
▼R・ラム&M・マッカーシー著/井出義光・青木怜子・小塩和人訳『怒れる西部−傷つきやすい大地とその将来−』(5800円)かつて青い空、無限の地平線、豊かな自然に恵まれていたアメリカ西部は、二世紀にわたる東部(連邦政府)の権力支配と飽くなき資本家の台頭で、環境問題や社会病理に苦しむ地に変貌した。開発か自然保護か、中央政府か地方自治か、その狭間で苦悩する西部の実態をさまざまな面から描く。優れて現代的課題に挑戦する話題の書。


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中央大学出版部

▼三富明著『ワーグナーの世紀−オペラをとおして知る十九世紀の時代思潮−』(3300円)ワーグナーは彼の総合芸術作品の中で、19世紀に出現したさまざまの重要な思想や社会問題をとりあげている。例えば、ロマン主義、天才崇拝、芸術至上主義、技術革新、自然破壊、故郷喪失、革命と動乱、資本主義など。
 その範囲の広さ、とりあげ方の巧みさ、観点の多様さは他に類を見ない。本書は、『さまよえるオランダ人』以降のワーグナーの作品の解説と分析をとおして、彼の芸術の真髄に迫るとともに、十九世紀の時代思潮のエッセンスにふれようとする試みである。ワーグナーと何かと縁の深い、ショーペンハウアーやニーチェの思想、プルーストやソポクレスの作品、及びナチズムにも、折にふれて言及する。


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東海大学出版会

▼『虚数の情緒−中学生からの全方位独学法』吉田武著(4300円)
 最近、特に理工学の学力低下が社会問題にもなりつつある。一歩一歩理論を積み上げていくという、一見地道な学習過程を軽視し、学習効率という美名のもと、結果のみを重視する風潮がそこにはある。しかし、教育は効率で推し量るものではなく、いかなる場面でも応用ができる真の理解を目指すものである。
 本書は人類文化の全体的把握を目指した科目分類に拘らない「独習書」であり、歴史、文化、科学など多くの分野が、虚数を軸に悠然たる筆致で書かれている。漢字の多用、電卓の活用なども他に例のない独特のものである。


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東京大学出版会

 昨年、建国50周年を迎えた中華人民共和国は、人の一生でいえば、成熟し落ち着いた中年であるが、果たして落ち着くのだろうか。めざましい経済成長につれ、突然現れた「新興大国中国」は二一世紀にはどこへ行くのだろうか。
▼シリーズ『現代中国の構造変動』(全8巻、各3600〜3800円)は、「中国に構造変動は起こっているのか、だとすればどのような構造変動か」を中心テーマに70人の中国研究者が3年間にわたり共同研究と議論を重ねてきた成果である。1大国中国への視座(毛里和子編)、2経済−構造変動と市場化(中兼和津次編)、3ナショナリズム−歴史からの接近(西村成雄編)、4政治−中央と地方の構図(天児慧編)、5社会−国家との共棲関係(菱田雅晴編)、6環境−成長への制約となるか(小島麗逸編)、7中華世界−アイデンティティの再編(毛里和子編)、8国際関係−アジア太平洋の地域秩序(田中恭子編)
 いずれの巻も、二一世紀の中国理解へ新しいパラダイムを提供する意欲作である。


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東京電機大学出版局

 あるサービスによって料金を取るというビジネスパターンが発生すると、瞬く間に同業者が参入してくる。その競争こそが料金の低下とサービスの普及をもたらすのであるが、ビジネスモデル自体を特許で保護できないかという最新の議論もある。新しいビジネスモラルが生まれようとしているのだ。無償で提供されて爆発的に普及したLinuxも、OSの販売ではなく、普及とそれによって導かれる創造に価値を見出そうとする新しいモラルの発現なのだろう。
 日本でもまた一つ、科学・工学に有益なフリーソフトウェアが、熱心な研究者により開発された。数値解析・行列計算・数式処理を使い易く統合したMATXという統合ソフトである。従来の高額なソフトを利用していた研究者や学生にも朗報となるだろう。以下2冊は、その開発者本人が普及を目指して著した初めてにして唯一の解説書である。
▼『制御・数値解析のためのMATX』(3500円)▼『Linux・WindowsでできるMATX』(5000円)共に古賀雅伸(東工大)著、フリーソフトCD-ROM付。


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東京農業大学出版会

 『ペルー100の素顔』ペルー100の素顔編集委員会(137頁 1500円)
 最近は、国内外を問わず情報が大氾濫しています。ですから、現代人は、如何によい情報に巡り会えるか、または、いかに必要のない情報を切り捨てて行くかが問われます。
 このような世の中で、「百聞は一見に如かず」は、たとえどんなに情報網が発達しても、変わりない真理であると思います。
 「ペルー100の素顔」は、カラー写真に解説をほどこしたもので、目で見るだけでも楽しめますし、興味をそそられます。ペルーとはこんなにも世界的な遺跡が多かったのか!と驚かされますし、その反面、ペルーの人々、植物、動物、農業の素朴さを感じさせてもくれます。
 また、普通の旅行案内とは、視点が異なり、旅をより一層興味深いものにするでしょう。
 この本だけでも、ペルーを旅行したような気分が、楽しめると思います。


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法政大学出版局

▼小局では、2000年1月を期に、ウェブサイト(ホームページ)を立ち上げました。近刊・新刊のご案内だけの、まことにささやかなサイトですが、これまで新刊案内をお送りできなかった方々に、一人でも多く小局の刊行物を知っていただければ幸いです。毎月末に更新いたしますので、ぜひ、ご注目ください。
 また、各出版部ならびに関係諸団体のサイト管理者の皆様には、リンクして下さいますよう、お願いする次第です。
http://www.terra.dti.net.jp/~hosei-up/


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放送大学教育振興会

▼放送大学は放送教材と印刷教材を使用して授業を行う通信制大学であり、その印刷教材の編集・発行が放送大学教育振興会の主要業務の一つである。平成12年度の新刊は76点(学校図書館司書教諭講習の教材を除く)、放送大学の第一期に開設される科目は310。
▼放送大学は平成12年度第1学期より教育訓練給付制度労働大臣指定講座を開講する。この制度は、受講資格を有する方が当該講座を修了した場合、入学料・授業料の八割がハローワークから教育訓練給付金として支給されるものである。「教養学部企業会計」コースなど4コースが設置され、16科目が対象となる。
▼平成10年に大学設置基準が改正され、多様なメディアを高度に利用した授業が制度上も位置付けられることになった。これからは、通信手段を活用した双方向性の授業・講義が可能となり、放送大学キャンパス・ネットワーク委員会では大学等の間を衛星通信回線で結ぶスペース・コラボレーション・システム(SCS)の活用について検討を始め、「SCS双方向クラス」の試行を行っている。


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明星大学出版部

▼神辺靖光著『教育史散策』。四十年余の教育史研究とともに、中・高・大学で教鞭をとってきた筆者の、世に訴えようとする思いをまとめた珠玉の書。
 大学院在籍中、学資を得るために杉並区にあった私立城右中学・高等学校の講師となった筆者は、戦後のアメリカ化一辺倒の時流の中で、威武に屈することなく、孔孟の道を説いた河野通禰太校長に傾倒。河野校長との明治の私塾・私学の反骨、独立精神についての談論が、生涯をかけた教育史研究の端緒となる。昭和42年、大学教員のまま財団法人日本私学教育研究所の兼任研究員となり、教育史研究の中で最も手薄だった中等教育史を専攻。昭和戦前期の旧制中学校を舞台としたドラマ「はっさい先生」(NHK放映)の監修者となって全国に紹介される。なお、私立東京文化高等学校の主事として、卒業生や父母を前にした講演や朝礼での訓話、私立中学・高等学校教員のための講演「中等教育史と慶應義塾」「近代日本の学校と私学」も収録。日本の教育を知るうえに手軽な書になっている。


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早稲田大学出版部

▼〈内田満政治学論集(全3巻)〉の刊行を開始した。第1巻『日本政治学の一源流』(4700円)は、政治学とは何か、という観点に立ち、日本政治学の形成に寄与した早稲田政治学の再評価を試みる。
▼『詩画集 死よ 墓より語れ』(ブレア詩、ブレイク挿画/出口保夫訳、5000円)死に直面した人間の恐怖を描き、魂の不滅を謳う。ブレイクの銅版画収録。
▼『漱石の東京(II)』(武田勝彦、2800円)は、好評を得た『漱石の東京』(同、2800円)の続編、門、こころ、明暗等の舞台となった明治の東京を再現。
▼『ルターの政治思想−その生成と構造』(木部尚志、4700円)教会権力と世俗権力を論じ続けたルター。その政治思想が体系化される過程を考察する。


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名古屋大学出版会

▼S・クレスゲ他編/嶋津格訳『ハイエク、ハイエクを語る』(3200円)激動の世紀を生き、自由主義の意味を考え抜いた今世紀最大の経済学者=社会哲学者ハイエクの、興味尽きない回想録。
▼西村周三著『保険と年金の経済学』(3200円)リスクについての考え方を中心に、保険と年金の経済学の基礎を新鮮かつ平易に解説。急激な制度の展開を根本から考えるために必読の一冊。
▼籠谷直人著『アジア国際通商秩序と近代日本』(6500円)幕末の開港はアジアへの開港でもあった。華僑や印僑らが織りなすアジア通商網との相互作用から、日本の近代史を捉え直した労作。
▼下川潔著『ジョン・ロックの自由主義政治哲学』(6000円)ロック自由主義の諸原理を核心部分において抽出し、その古典的価値を明確に示すとともに、批判的継承を試みる。
▼岩坂泰信編『北極圏の大気科学−エアロゾルの挙動と地球環境−』(6500円)北極の大気では何が起こっているのか。成層圏オゾンの破壊に関わるエアロゾルの動態と役割を明らかにする。


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京都大学学術出版会

▼『東アジア諸言語の研究I−巨大言語群=シナ・チベット語族の展望−』西田龍雄著・9000円/民族の興亡と移動の歴史とともに、多様な言語の分布をはげしく変化させてきた東アジア。本書は、壮大な構想のもとに周到な分析を重ね、断代と分域の観点から言語群相互の関係を解明しようとする、西田言語学の集大成である。言語学研究者の必読書。
▼『脳とワーキングメモリ』苧阪直行編・7000円/たとえば――買い物をする。四則演算などの知識と、初めて目にする商品の値段と手に持った金という一時的な記憶を同時に動員して、釣り銭を計算する。この、複数の情報を統合し、現在進行形で処理する記憶の仕組みに迫る。神経科学・実験心理学の最新の成果。
▼『森の記憶−飛弾・荘川村六厩の森林史−』生態学ライブラリー5・小見山章著・2100円/森林は季節とともに変化し、また歳月を経て変遷していく。著者のホームグラウンドである岐阜県山間部の落葉広葉樹林を中心に、亜高山帯林との比較も交えながら、森が人々の暮らしと関わりつつ移ろいゆく様を描き出す。


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大阪経済法科大学出版部

▼監修 村川行弘『7・8世紀の東アジア−東アジアにおける文化交流の再検討−』(A5判・2600円)北京大学で開催された歴史部会シンポジウムの諸報告を中国・朝鮮・渤海・日本の4編に編集し、7・8世紀の東アジア各地の遺跡発掘調査報告と文化交流の解明。チベット古墳群・龍泉府遺跡・黒塚古墳等の発掘報告も収録。
▼監修 南 正院『東北アジアにおける経済開発と環境保全』(A5判・2600円)延辺大学で開催された環境部会シンポジウムでの環境・経済・生物学等多岐にわたる諸報告を再編集。とりわけ、国連開発計画に指定されている豆満江流域開発計画への政策提言や環境問題・自然保護を求める報告多数収録。
▼《刊行予定》監修 能塚正義『東アジア経済の発展と展望』90年代後半、東アジア各国を襲った経済金融危機の分析と新たな経済発展に向けた各国の経済政策と展望の報告。
▼伍 躍著『明清時代の徭役制度と地方行政』徭役制度の解明により国家の地方統括の財政的・行政的システムの全体像を解明する。


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大阪大学出版会

 科研費補助金研究成果公開促進費を得て、博士論文を〈研究書〉にまで高められた格調ある書が3点できた。
▼萱のり子『書芸術の地平−その歴史と解釈−』B5・316頁・8000円。
 文字を書くという行為から書の美しさを分析した、書道家ならではの芸術論。伝統的作品の中に漢字をかなに変容させていく手の運びを見、また漢文・和歌・近代の書も対象として、筆をもつ人の心の動きを読み解いていく。ワープロが席巻する現代、書かなくなって失うものを私たちに示してくれる。
▼多田望『国際民事証拠共助法の研究』A5・250頁・6000円。
 証拠が外国に所在するとき、複数国の裁判所間における証拠収集のための協力についての国際司法論。包括的な研究書として貴重な基礎的文献となろう。
▼川森博司『日本昔話の構造と語り手』A5・290頁・6800円。
 昔ばなしの「語り」で地域おこしをする岩手県遠野の実践例。日本昔話と韓国民話の比較分析。この二つの方向から地域社会の深層とその変貌を探る。


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関西大学出版部

▼小川正著『教育新生への視座』(2500円)教育新生に向けての視座は、多方面にわたって解明する必要があるが、本書においては、教育現象解析の基底にある根本問題、つまり、「知」の問題に限定して探求を進める。西田・三木・九鬼・上田・中村各氏らの哲学から学びつつ、「近代知」を補い超える「臨床の知」「モザイク的人間観の克服」など、20の視座を明らかにする。
▼坂出祥伸著『中国思想研究』(7000円)中国思想の根底は「気」の観念であり、感応と修練を特徴とすると説く著者30年間の多方面にわたる思索の集大成。時代は秦・漢時代の出土資料から明・清時代に至るまで、分野は医療、養生、煉丹、宇宙構造論などの自然認識を包括し、晋の葛洪、梁の陶弘景、唐の孫思■(しんにょう+貌)、宋の沈括、清初の方以智などの思想が縦横に論じられている。
▼網干善教著『日本古代史稿』(3500円)日本古代史考、飛鳥文化史考、大和風土誌考の三部から構成される。古代大和をめぐる課題に対する模索と試考と見解について記述する。


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九州大学出版会

▼ジャン・マビヨン/宮松浩憲訳『ヨーロッパ中世古文書学』(B5判・762頁・14000円)。中世ヨーロッパに関する文書史料について、真正文書を偽文書から区別する手続きが、歴史学にとって不可欠の前提となる。著者は材質、書体、文体、下署、印章、日付事項から両者を区別する合理的方法を提示する。西洋古文書学の金字塔、世界初の現代語訳。
▼西村重雄・児玉寛編『日本民法典と西欧法伝統−日本民法典百年記念国際シンポジウム−』(A5判・564頁・8500円)。わが国の民法は、ローマ法以来の長い法伝統の受継と変容の中でそれぞれ成立したフランス民法、ドイツ民法草案の影響の下で編纂された。日本民法の条文とこれら諸民法典との関係を明らかにし、日本民法の条文の歴史的位置を理解する、日独仏17名の報告者による比較私法史的研究。
▼第20回日本生命財団出版助成図書。(1)金宅圭著『日韓民俗文化比較論』(A5判・370頁・8000円)。(2)秋坂真史編著『男性百歳の研究』(B5判・304頁・6000円)。


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東北大学出版会

▼『種痘法に見る医の倫理』(小田泰子著・218頁・2500円)牛痘法が発見される以前に、天然痘の膿をそのまま人間に植える人痘法が発見されていた。人痘法は医学的に有効か、膿を植えて人為的に病気を与えるとは創造主の意図に反するのではないかと、欧米では約一世紀、激しい論争が繰り返された。本書で再現されたこれらの論争は、現在の新しい医療、臓器移植、出生前遺伝子診断・クーロン技術の人への応用等についての論争と多くの類似点を見い出せる。
▼『心の科学史−西洋心理学の源流と実験心理学の誕生』(高橋澪子著、305頁、5000円)本書は、今日の、いわゆる“科学的”心理学を支えている方法論と認識論の歴史的な成立経過を描き出している。
▼『聖書の鉱物誌』(島田■(日+立)郎著、203頁、1900円)聖書には様々な鉱物ばかりでなく、地球外物質として天から降ってきた隕石、地下資源の探鉱・精錬、地震にまつわる話など鉱物学、地質学、地球科学に関わる記事、物語が記述されている。聖書を地球科学から親しむという視点から綴られた書。


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流通経済大学出版会

▼復刻版『文字之教』【全3巻】(和綴製本箱入・12000円・分売不可)
 本書は、小学読本として作られたもので、『第一文字之教 全』、『第二文字之教 全』及び『文字之教附録 手紙之文 全』の三巻で一揃えである。
 前二巻には、それぞれ四十教程、三三教程、『附録』には二七教程が収録されている。各教程は、漢字を大文字で示し、その漢字を用いた例文を掲げるという構成になっている。しかも、教程が進むに従ってそれ以前の教程で学んだ漢字を例文の中で繰り返し使っており、子供の理解力を高めるための工夫がなされている。
 福澤は本書を作った意図について、端書の中で次のように言っている。「唯字ヲ素読スルヨリモ文章ノ義ヲ解ス■ニ心ヲ用ヒザル可ラス即チ此書ハ子供ヲシテ文章ノ義ヲ解サシメンガタメノ趣向ニテ作タルモノナリ」と。
 本書は、原本を出来る限り忠実に復刻したもので、全国の図書館常備、福澤研究者必携の一書であるとともに、国語教育に携わる人にも一読を勧めたい。


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三重大学出版会

▼『近代初等国語科教育成立の条件−ロシヤ共和国の場合−』(藤原和好著・377頁・本体5000円)本書は、前近代的な初等国語科教育が近代的初等国語科教育に発展するためにはどのような条件が必要か?人間観・子供観、母国語の文学理論・言語理論等の状況は、成立する国語科教育の性格にどのような影響を与えるか?等をロシヤ共和国について検討したものである。特に1840年代から1910年代までの約80年間におけるラズビーチエ・リエチ(言語能力育成)理念の成立過程を近代国語教育の指標として段階的に明らかにすると共に、国語科教育の各領域に関して分析している。入手が非常に困難なロシヤ革命前の資料を丹念に収集し、国民学校等の教師達からトルストイにいたるまで、様々な理論や実践の記録を駆使して解明されている。そのほか、ロシアにおける近代以前の国語教育、ロシヤ革命後における言語能力育成理念の研究史、ロシヤと日本の初等国語教育比較研究、等についても分析されており、比較国語教育、国語科教育法、等を学ぶ者には必読書である。


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