自然史文献リスト





〈ア行〉



青木淳一・奥谷喬司・松浦啓一編著
『虫の名,貝の名,魚の名─和名にまつわる話題』
A5変型判・260頁・2940円・東海大学出版会

本書は,生物の名前のうち,虫(昆虫,クモ,ダニなど),貝,イカ・タコ,エビ・カニ,魚などの生物名に関するおもしろい話,命名に関するエピソード,役立つ話から標準和名に関する様々な問題などを,わが国を代表する生物分類学者が解説する.



天児和暢訳/C. ドーベル
『レーベンフックの手紙』
A5判・456頁・3990円・九州大学出版会

17世紀に細菌を発見したレーベンフックがロンドン王立協会へ送った多数の手紙を,原虫学者C. Dobellが出版した本の邦訳.レーベンフックが使用した顕微鏡,観察法,住居など,彼の生涯に関する詳細な研究成果がまとめられている.



天野哲也・増田隆一・間野勉編著
『ヒグマ学入門─自然史・文化・現代社会』
A5判・294頁・2940円・北海道大学出版会

生物としてのヒグマ,ヒグマと人との関わり,現代社会におけるヒグマを巡る諸問題を考える.分野を超えた総合的学問「ヒグマ学」初めての提唱.北海道大学総合博物館で開講されている,全学共通科目「ヒグマ学入門」のテキスト.



有田正光編著
『水圏の環境』
A5判・420頁・3780円・東京電機大学出版局

水圏における環境問題について,水質の基礎知識から,湖沼・河川・海岸・海洋などを化学・生物学的分野も含めて解説.重要項目や関連するキーワードの解説コーナーを数多く掲載して,理解の充実をはかることができる.



有田正光編著
『大気圏の環境』
A5判・276頁・2940円・東京電機大学出版局

大気圏における環境問題は,煙突の煙の拡散のように局所的な問題から,フロンガスによるオゾン層の破壊など地球規模の問題まで広範囲に及ぶ.これらの諸問題について,基礎事項から最近の知見を含めた動向までを平易に解説.



池原健二著
『GADV仮説─生命起源を問い直す』学術選書10
四六判・191頁・1575円・京都大学学術出版会

化学的に容易に合成される簡単なアミノ酸からなるタンパク質こそ,生命の起源だ─生命起源説の主流とされる「RNAワールド仮説」に真っ向から異を唱え,既存諸説の矛盾点を説明する「GADVタンパク質仮説」.生命起源論の新しい展開.



池谷仙之・北里洋著
『地球生物学─地球と生命の進化』
A5判・240頁・3150円・東京大学出版会

地球と生命のシンフォニー─地球はどのような歴史を歩んできたのだろうか.生命は変動する地球環境のなかでどのような進化の道筋をたどってきたのだろうか.地球科学と生物科学の2つの視座からダイナミックにとらえる地球生命史.



石崎宏矩著
『サナギから蛾へ─カイコの脳ホルモンを究める』
四六判・256頁・3360円・名古屋大学出版会

のべ3000万個の蛾の頭をすり潰し,数々の苦難の末に,カイコの変態を司るホルモンの本体をついに突き止めた一人の科学者と,ともに研究に携わった多くの人々.その解明への道筋を,昆虫内分泌学の知見とともに記した波瀾万丈の科学ドキュメント.



糸魚川淳二著
『日本の自然史博物館』Natural History Series
A5判・240頁・4200円・東京大学出版会

自然史博物館の基本的な要素と機能についてわかりやすく解説.さまざまな博物館の特徴と問題点を抽出し,さらに日本の自然史博物館の未来像を探る.多くの自然史博物館を紹介しながら,読者をナチュラルヒストリーの世界へ誘う.



伊藤智夫訳/K. v. フリッシュ
『ミツバチの不思議 第2版〈改装版〉』
四六判・208頁・2100円・法政大学出版局

ミツバチの言葉・色覚・化学感覚等,行動学に貴重な成果をもたらした発見に至る実験・観察記録.1973年度ノーベル医学・生理学賞受賞者フリッシュ博士の主著.



今井弘著
『四十六億年の進化─元素の生成からヒトの誕生まで』
A5判・248頁・2835円・関西大学出版部

地球の進化について,自然・人文・社会科学の立場から平易に解説.まず,宇宙の創生と地球の誕生,そして生成した元素から生命誕生の経緯について述べたのち,微生物からヒトの誕生までの過程を広領域にわたって記述したユニークな書である.



今西錦司著/石田英實編
『今西錦司フィールドノート─採集日記加茂川1935』
A4変型判・163頁・3990円・京都大学学術出版会

生誕100周年事業の行なわれた2001年,今西錦司の貴重な業績を裏づけるノートを発見.のちに「棲み分け論」を論証する個体となったカゲロウの採集日記である.この歴史的資料を,詳細な注と解説を付して翻刻.



岩坂泰信編著
『北極圏の大気科学─エアロゾルの挙動と地球環境』
B5判・238頁・6825円・名古屋大学出版会

南極でのオゾンホール発見以降,北極でも本格的な大気観測が開始された.本書は,独自のライダーや気球を使った北極での観測成果に基づき,極地大気のオゾンの現状やエアロゾルの動態を明らかにし,地球環境問題への今後の取り組みを展望する.



岩槻邦男著
『日本の植物園』Natural History Series
A5判・264頁・3990円・東京大学出版会

植物園とはなにか─東京大学植物園長として植物園のあるべき姿を考え,国際植物園連合総裁として国際的な視点から日本の植物園をみつめてきた植物学者が,植物園のあるべき姿について熱く語る.日本や世界の植物園を写真入りで多数紹介.



上嶋英機・中原紘之・野邑奉弘・村田武一郎・山口克人著
『海と陸との環境共生学─海陸一体都市をめざして』
A5判・260頁・2940円・大阪大学出版会

海陸相互の受益関係の均衡が崩壊している沿岸地域環境改善のため,市民,行政,研究者は今何をすべきか.具体的な取組みの成果を基に,アメニティが高く,かつ生物・生態系の持続性が確保された海陸一体都市づくりを提言.



上田哲行編著
『トンボと自然観』
A5・504頁・5985円・京都大学学術出版会

様々な自然環境や文化的伝統の下で形作られた自然観には,生物としてのヒトに普遍的な部分から個人に特有の部分まで,多様なレベルで独特さと共通性が積み重なっている.虫と人の関わりを多角的に検討することで,現代人の重層的自然観を浮彫にする.



梅沢俊著
『新北海道の花』
四六変型判・464頁・2940円・北海道大学出版会

花の名前を知るための,花の色で引く図鑑.永年にわたり多くの読者に愛用されてきた前著『北海道の花』を全面的に見直し,前著を大幅に上回る1900種を収録した完全新版として編集,装いも新たに刊行.北海道植物入門図鑑の決定版.



榎本知郎著
『ヒト 家をつくるサル』学術選書11
四六判・193頁・1575円・京都大学学術出版会

家がなければ,寄生体に悩むことも,トイレの心配もしなくていい.ヒトを除くサルはみな巣をもたず,自由に移動する.なのにヒトはなぜわざわざ家をつくるのか.人類学の新しい知見から描き出す,ヒトの進化と苦闘の物語.



江原昭善著
『稜線に立つホモ・サピエンス─自然人類学を超えて』
A5判・271頁・3675円・京都大学学術出版会

戦争,殺人,いじめ,……もはや「病理」とも言えなくなった現代社会の暗黒面のルーツをヒトの祖先─サルや類人猿,化石人類にまで遡って考察する一方,そうした暗黒を乗り越える力も,ヒトが元来持っていることを解き明かす.



江原幸雄編著
『中国大陸の火山・地熱・温泉─フィールド調査から見た自然の一断面』KUARO叢書2
新書・204頁・1050円・九州大学出版会

大平原を埋め尽くす広大な溶岩原.標高4300mの高地に湧き出る温泉.200万年以上に亘って成長を続ける巨大な玄武岩質火山.10年間にわたる日中両国研究者による共同研究の成果を,フィールド調査の苦労を交えながら生き生きと紹介する.



遠藤秀紀著
『哺乳類の進化』Natural History Series
A5判・400頁・5250円・東京大学出版会

地球史を飾る動物たち─2億年前の萌芽から長い繁栄を経てダイナミックに展開される哺乳類の系譜.進化史の成功者であるかれらの〈歴史性〉に,形態学,古生物学,遺伝学,生態学などさまざまなデータを駆使してナチュラルヒストリーが挑む.



及川武久監訳/地球フロンティア責任企画/Beerling, D. J. and Woodward, F. I.
『植生と大気の4億年─陸域炭素循環のモデリング』
菊判・454頁・6300円・京都大学学術出版会

4億年前陸上に進出し環境に大きな影響を与えた植物.太古の気候と植物分布をクロスさせると,環境─生物の根元的な関係が明らかになる.古生物学と地質学の拡がりの中で生命を捉えることで,進化,保全といった関心に斬新な視点を与える.



大井徹著
『獣たちの森』日本の森林/多様性の生物学 第3巻
A5判・256頁・3360円・東海大学出版会

本書は,日本の森林における哺乳類の生態を多様性,適応,同種個体同士の相互作用と種間相互作用をキーワードに,哺乳類の森林利用と森林生態系の要素としてどのように機能しているかなどを解説する「日本の森林の哺乳類学」である.



大阪大学地球総合工学入門編集委員会
『地球総合工学入門─地球と調和する生活空間をめざして』
B5判・256頁・3675円・大阪大学出版会

地球総合工学とは,地球の自然の営みを乱すことなく,調和して共生する道を見出すため,従来の船舶・土木・建築・環境などの工学の分野が共同して総合的に取り組んでいる学問領域である.本書はそのための入門書である.



太田保夫著
『共生農業─微生物の知恵を生かし自然が蘇る』
A5判・144頁・1680円・東京農業大学出版会

化学肥料や農薬に頼った農業ではなく,自然環境を保全した農産物生産を目指す人に,微生物の働きを伝えている.微生物進化の歴史や動植物と微生物の共生,微生物農法の特徴を盛り込んでいる.共生稲作・共生畑作など,事例を収録してある.



大場達之・宮田昌彦著
『日本海草図譜』
A3判・128頁・25200円・北海道大学出版会

日本沿岸の5科10属30種を収録した,初の海草(うみくさ)専門図鑑.スキャノグラフィ法と水中透過撮影法により海草の生時の色と形を再現.1種ごとの全形・部分拡大・生態および解剖写真と全種の検索表付き.群落や人との関わりにも言及した.



大林延夫・新里達也編著
『日本産カミキリムシ』
B5判・842頁・35700円・東海大学出版会

日本産カミキリムシ,全945種(亜種を含む)について,標本写真・生態写真,図解検索により亜科や族,属,亜種レベルへの体系的な検索が可能である.また,カミキリを総合的に理解できるように,形態,生態,分布,系統,保全などを解説する.



岡田一次著
『ニホンミツバチ誌』
B5判・88頁・2625円・玉川大学出版部

自然環境の悪化や,20万群を超えるセイヨウミツバチとの激しい生存戦争のもとで生き抜いているニホンミツバチ.北は青森県下北半島,南は鹿児島県大隈・薩摩両半島に分布する野生の生態や,日本各地の在来飼育などの詳細を,貴重な写真で解説.



緒方一夫ほか編著
『昆虫たちのアジア─多様化・進化・人との関わり』九大アジア叢書7
新書・216頁・1050円・九州大学出版会

圧倒的な多様性を誇る昆虫を通じてアジアの自然史を紹介する.熱帯アジアのチョウ類,中央アジアのハナバチ類等に関連した多様性と進化の観点からの話題と,害虫とその天敵による防除などの人々の暮らしについての話題を取り上げる.



岡本博司著
『環境科学の基礎』
A5判・176頁・1995円・東京電機大学出版局

環境問題の科学的側面をバランスよく取り上げ,幅広い関心がもてるように多くのエッセンスを解説.特に地球上の人類の位置づけをグローバルかつ地球史的な観点から考えられるように項目を精選した.見開き2ページで1項目を解説.



奥谷喬司著
『軟体動物二十面相』
新書判・182頁・1680円・東海大学出版会

この書名は,編集者と著者の洒落でつけたわけではない.ある進化学者は,軟体動物は「どのような形にもなり得る素材」であるという.「怪人二十面相」ならぬ,なかなか素顔の見えない軟体動物の真実を紹介する.



〈カ行〉



梶光一・宮木雅美・宇野裕之編著
『エゾシカの保全と管理』
B5判・266頁・4725円・北海道大学出版会

農林業に甚大な被害を及ぼしているエゾシカの爆発的な増加.増加によるエゾシカ自身の生物学的な変化と農林業被害の実態を解明し,植生保全を含めた生態系管理のあり方を,食用利用も含め具体的に提言.研究者・学生・行政担当者など,待望の書.



金関丈夫著
『日本民族の起源』
四六判・406頁・3360円・法政大学出版局

弥生人骨の発掘調査と日本人の形質人類学的研究をもとに,弥生時代における大陸系種族の渡来・混合を想定して民族起源論に新たな問題を提起した先駆的業績を集成.(解説=池田次郎)



金関丈夫著
『南方文化誌』
四六判・302頁・1680円・法政大学出版局

台湾・海南島をはじめ,南方各地の民俗に親しく接しつつ折々に誌された人類学的・民俗学的エッセイを集成.風俗や民具への愛着,人々との出会いをのびやかに綴る.(解説=国分直一)



金関丈夫著
『形質人類誌』
四六判・392頁・2625円・法政大学出版局

台湾居住民族を中心とした東亜諸民族の形質人類学的研究によってわが国人類学界に多大の成果をもたらした著者の人類学論集.東亜諸地方の人体計測値一覧を付す.(解説=永井昌文)



金子之史著
『ネズミの分類学─生物地理学の視点』Natural History Series
A5判・320頁・5250円・東京大学出版会

生物地理学の視点で始まった野ネズミの研究は,日本からやがてアジア大陸へ,そしてヨーロッパへと広がっていった.ネズミの分類学的研究の集大成として,さらに自然史研究のひとつのモデルとして,野生動物に関心をもつ人たちへ贈るモノグラフ.



神谷敏郎著
『川に生きるイルカたち』
四六判・224頁・2730円・東京大学出版会

長江の妖精バイジーをはじめ,アジアや南米の大河に暮らすイルカたちはいま,絶滅の危機に立たされている.「日本雪男学術探検隊」に始まる調査研究の軌跡をたどりながら,「生きている化石」といわれるカワイルカと私たちの共生の道をさぐる.



木下修一・吉岡伸也著
“Structural Colors in Biologocal Systems: Principles and Aplications”
菊判・352頁・8400円・大阪大学出版会

モルフォチョウ,クジャク,タマムシなど生き物が持つ構造色の仕組み,構造色の物理的な基礎,構造色を利用した応用製品など,構造色に関する研究を幅広くカバーした初の本.国内外の第一線構造色研究者が執筆.



木野田君公著
『札幌の昆虫』
四六判・416頁・2520円・北海道大学出版会

よく見かける虫でも,その名前を調べるとなると意外と大変.札幌周辺の1600種を超える虫を3300枚を超えるカラー写真で収録した,手軽に楽しく調べられる昆虫図鑑.漢字にはふりがなを付け,小学生にも使いやすく配慮されている.



木村眞人編著
『土壌圏と地球環境問題』
A5判・288頁・5250円・名古屋大学出版会

土壌生態系は,陸域における地球環境汚染物質の最大の浄化の場であるが,土壌荒廃に伴い,その地球環境浄化機能が世界各地で急速に低下している.本書は土壌圏の地球環境問題における役割を訴え,その機能保全のための基礎的なデータを提供する.



木村眞人・波多野隆介編著
『土壌圏と地球温暖化』
A5判・260頁・5250円・名古屋大学出版会

陸域最大の炭素貯蔵庫である土壌が,大気中の温室効果ガス濃度を制御する様子について,全地球規模および土地利用形態別の実例に基づき記述.地球温暖化問題における土壌の重要な役割を解説し,その管理の必要性を訴える.



木村李花子著
『野生馬を追う─ウマのフィールド・サイエンス』(仮)近刊
A5判・224頁・東京大学出版会

野に伏して馬を待つ─フィールド・ワーカーはなにを考え,悦び,そして悩みながら動物たちと対峙しているのか.野生に生きるウマたちの生態を鮮やかに描く.動物学と民族学の境界を彷徨いながら,ウマとヒトの共生をテーマに紡がれた動物記.



久馬一剛編著
『熱帯土壌学』
A5判・454頁・6090円・名古屋大学出版会

熱帯は,熱帯雨林から砂漠まで,多様な環境をその内に含んでいる.本書は,そのように変異に富む環境中の土壌の特性について,わが国第一線の研究者らが初めて包括的に論じたものであり,熱帯での農業開発と環境保全の調和のための道すじを探る.



京都大学フィールド科学教育研究センター編・山下洋監修
『森里海連環学─森から海までの統合的管理を目指して』
A5判・364頁・2940円・京都大学学術出版会

森を扱うのは森林学,海なら海洋学,河は河川工学.細分化された枠組が真の環境理解を妨げている.しかし森と海は川と里によって繋がっているのだ.生物と水を媒介した万物の循環を科学し,環境の統合的管理を目指す.



倉谷滋著
『動物進化形態学』Natural History Series
A5判・632頁・7560円・東京大学出版会

脊椎動物のかたちの進化─「バウプラン」「発生拘束」「相同性」などの概念を読み解き,進化発生学の視点から,この深遠なテーマに総合的に迫る.形態学と発生学の統合により展開される新しいナチュラルヒストリー.



倉光成紀・増井良治・中川紀子著
『生物学が変わる!─ポストゲノム時代の原子生物学』大阪大学新世紀セミナー
A5判・96頁・1050円・大阪大学出版会

生命の情報はたった一つの細胞で読める.ヒトゲノムという,ヒトが生きるしくみの基となる情報がほぼ解明された.そのしくみとは何か.将来ヒトは健康のために生物学をどう応用できるのか.先端科学をわかり易く解説する.



小池裕子・松井正文編著
『保全遺伝学』
A5判・320頁・3570円・東京大学出版会

遺伝子のレベルで生物多様性の保全を考える保全遺伝学.その論理,方法,そして実践について,さまざまな野生動物の保全に携わる研究者たちが書き下ろす.絶滅危惧種や希少種ばかりでなく普通種をも守るために,われわれ人類がなすべきことはなにか.



国分直一・木村伸義訳/F. E. ゾイナー
『家畜の歴史』
A5判・670頁・6090円・法政大学出版局

野生動物が人間と共生しつつ馴化され,家畜として人類文化の担い手となった経緯を,古生物学,考古学,動物学の知見を総合し,東西の資料を渉猟して世界史的に展望.



国立科学博物館編
『日本の博物図譜─十九世紀から現代まで』国立科学博物館叢書(1)
B5判・128頁・2730円・東海大学出版会

国立科学博物館企画展[日本の博物図譜─十九世紀から現代まで]の展示品である『禽譜』『本草図譜』『グラバー図譜』などの多くの博物図譜を紹介し,日本の博物図譜の系譜について解説.博物図譜を描いた人たちにまつわるエピソードなども収録する.



国立科学博物館編/重田康成著
『アンモナイト学─絶滅生物の知・形・美』国立科学博物館叢書(2)
B5判・164頁・2100円・東海大学出版会

国立科学博物館の展示,資料,研究成果など様々な活動を紹介するシリーズ.本書は,アンモナイトの語源をはじめ,その殻の作りや進化,アンモナイト採取の方法,最新の研究成果までを扱った,日本初の本格的な解説書.



国立科学博物館編
『標本学─自然史標本の収集と管理』国立科学博物館叢書(3)
B5判・260頁・2940円・東海大学出版会

本書では動植物をはじめ,菌類,化石,岩石,鉱物など自然史標本のほぼ全域の標本について,その収集方法,作製法,保存,管理,自然史標本のデータベース,標本利用の方法までを総合的に解説する.自然史を学ぶための必携書.



国立科学博物館編
『日本列島の自然史』国立科学博物館叢書(4)
B5判・352頁・2940円・東海大学出版会

国立科学博物館・調査研究プロジェクト「日本列島の自然史科学的総合研究」,35年間の成果を基に国立科学博物館の地学,動物,植物,人類研究部の研究者らが,日本列島のナチュラルヒストリーに関するそれぞれのテーマをわかりやすく解説する.



国立科学博物館編/松原聰・宮脇律郎著
『日本産鉱物型録』国立科学博物館業書(5)
B5判・168頁・2520円・東海大学出版会

日本産鉱物,1139種の最新情報を掲載したカラー日本産鉱物カタログ.



国立科学博物館編
『相模湾動物誌』国立科学博物館叢書(6)
B5判・224頁・3340円・東海大学出版会

明治期に日本を訪れた西洋の生物学者ドフライン,デーデールラインなどの相模湾生物調査の足跡を,最新の分類学的な知識をもって解明する.世界でも有数の多種多様な海産動物が生息する相模湾130年の生物相調査.



御勢久右衛門編著
『和州吉野郡群山記─その踏査路と生物相』
B5判・292頁・10500円・東海大学出版会

紀州藩本草学者・畔田翠山による『和州吉野郡群山記』は江戸期吉野地方の動物相・植物相を知る貴重な記録である.著者らは,翠山記載の古道を50年の歳月をかけてたどり,150年という時空を超えて吉野古道の生物相を現代に蘇らせる.



小林快次・久保田克博著
『モンゴル大恐竜─ゴビ砂漠の大型恐竜と鳥類の進化』
A4判・64頁・950円・北海道大学出版会

世界有数の恐竜化石産出国モンゴルのゴビ砂漠から発掘された,巨大草食恐竜サウロロフスや肉食恐竜タルボサウルスを中心に,約8000万年前のモンゴルがどのような動物に支配されていたのか,オールカラーで詳しく紹介.



駒村正治著
『水と地域と農の連携』
A5判・160頁・1995円・東京農業大学出版会

日本の稲作は2000年の歴史があり弥生時代から続く.近年畑作にも水が導入された.雄川堰や利根川堆積低地と水・酒匂川の左岸の水・火山灰と水田土壌等を研究.クリーク地域の灌漑揚水技術発展と地域保全も述懐.



小山幸子著
『ヤマガラの芸─文化史と行動学の視点から』
四六判・220頁・2415円・法政大学出版局

おみくじ引きをはじめとするヤマガラ芸の歴史をたずね,そのしくみと調教の方法を行動学的に明らかにしつつ,見世物の本質,日本人の動物観や笑いの構造におよぶ.



〈サ行〉



酒井聡樹著
『植物のかたち─その適応的意義を探る』生態学ライブラリー19
四六判・258頁・2415円・京都大学学術出版会

様々な形,様々な生活様式の植物たち.何がそのような多様性をもたらすのだろう? 失敗談や有望な仮説を考え出す過程など,研究成果発表の場にはあらわれない試行錯誤の様子まで描きながら「研究する人生」の楽しみを紹介する.



酒井治孝著
『地球学入門─惑星地球と大気・海洋のシステム』
A5判・300頁・2940円・東海大学出版会

本書は,プレートテクトニクス,火山,地震,エルニーニョとモンスーン,津波など,地球に関する様々な現象から宇宙までの地球科学に関する情報をまとめたものである.まさに,地球を探る,地球の謎を解く,私たちの住む地球を学ぶためのテキスト.



堺正紘編著
『森林資源管理の社会化』
A5判・372頁・5460円・九州大学出版会

拡大しつつある再造林放棄の実態と背景を調査,分析し,さらに新たな森林資源管理のあり方を,森林資源所有の社会化,整備費用負担の社会化,合意形成の社会化という3つの視点から,森林資源管理の「社会化」について多角的に考察する.



坂下浩司訳/アリストテレス
『動物部分論・動物運動論・動物進行論』西洋古典叢書
四六判変型・578頁・4725円・京都大学学術出版会

動物の生態系を冷静な科学者の眼で考察し,これに基づいた自然観を構築している本書は,人間と動物との新しい共生を模索する現代にとって光明となることが期待される.近年の研究成果を反映した新訳を提供.



坂本充・熊谷道夫編著
『東アジアモンスーン域の湖沼と流域─水源環境保全のために』
A5判・374頁・5040円・名古屋大学出版会

東アジアモンスーン気候帯に位置する琵琶湖と中国雲南省の高原湖沼との比較研究を軸に,地球温暖化による気候変動や人間活動が,湖沼・流域環境に与える影響について,地理学,生態学,陸水学,水文学などの幅広い視野から検討し,保全策を探る.



佐藤謙著
『北海道高山植生誌』
B5判・708頁・21000円・北海道大学出版会

北海道の高山植生を初めて網羅的にまとめたモノグラフ.その成立を,植物相と群落の両者を植物地理学的に分析する手法により,地史的背景と生態的特性の両面から考察した.400枚を超えるカラーの植生写真130頁収録.



志賀美英著
『鉱物資源論』
B5判・310頁・4725円・九州大学出版会

人類が鉱物資源を持続的に確保していくために解決しなければならない「枯渇」,「環境」,「利害対立」の3つの資源問題について,それぞれ社会的,歴史的背景や原因などを究明し,問題解決のために世界が取り組むべき目標を具体的に提示する.



柴田叡弌・富樫一巳編著
『樹の中の虫の不思議な生活─穿孔性昆虫研究への招待』
A5変型判・308頁・2940円・東海大学出版会

カミキリムシやクワガタムシなどの穿孔性昆虫の知られざる生活を紹介し,穿孔性昆虫と寄主である樹木との興味深い関係を提起する.



島袋敬一編著
『琉球列島維管束植物集覧[改訂版]』
B5判・860頁・18900円・九州大学出版会

琉球列島の植物を近代植物学の場に供した人々の著作に記された学名を考訂.学名原記載出典,属名の出典,タイプおよび性についても明らかにし,染色体数も示した.また,それと同時に漢字表記や,その由来も探った.



清水浩・塩谷捨明訳/G. N. ステファノポーラス
『代謝工学─原理と方法論』
B5判・578頁・8190円・東京電機大学出版局

代謝工学とは,生物の高度に組織化された代謝ネットワークの解析・応用に重点をおき,特定物質の生産を目的として生まれた科学である.新薬開発や環境修復への応用などの可能性を秘めている.本書はその基本原理から具体的方法論までを解説した.



周達生著
『民族動物学─アジアのフィールドから』Natural History Series
A5判・240頁・3780円・東京大学出版会

セミ捕り,トンボ捕りからブタオザルのヤシの実採りやカワウソ漁にいたるまで,中国をはじめとするアジア各地での精力的なフィールドワークにもとづいて描き上げたヒトと動物たちをめぐるナチュラルヒストリー.



正山征洋著
『アジアの英知と自然─薬草に魅せられて』KUARO叢書1
新書・136頁・1260円・九州大学出版会

今や全世界へ影響を及ぼすアジアの文化的遺産の中から薬用植物をとりあげ,歴史的背景,植物学的認識,著者の研究結果等を交えて,医薬学的問題点などを分かり易く解説する.漢方薬,薬草による砂漠緑化,お茶の薬効など,興味深いテーマを扱う.



正山征洋編著
『薬草の散歩道』
菊判・204頁・2310円・九州大学出版会

薬草の「いろは」から実際に薬草を服用する場合の使い方,適用する病名を詳しく解説.また,薬草について植物学的な記述も詳細にされており,教材としての使用にも適している.薬酒,浴湯料や重要な薬草についてのコラムも興味深い.



曽田貞滋著
『オサムシの春夏秋冬─生活史の進化と種多様性』生態学ライブラリー8
四六判・248頁・2205円・京都大学学術出版会

「歩く宝石」ともいわれるオサムシ類が,種によって季節の変化にどのように異なった応答をしているか考えることで,生活様式の違いがかれらの進化と分布拡大に果たした役割を解き明かす.



〈タ行〉



高槻成紀著
『シカの生態誌』Natural History Series
A5判・496頁・8190円・東京大学出版会

日本列島に生きるシカたち─動物生態学と植物生態学の2つの座標軸から,その生態をいきいきと描く.およそ30年にわたるフィールドワークにもとづいて語られるかれらの生きざまは,私たちと野生動物の未来に重要なヒントを与えてくれるだろう.



高橋景一訳/M. バートン
『動物の第六感』
四六判・270頁・2415円・法政大学出版局

コウモリによる超音波の利用,ある種の魚による電気感覚の利用など,動物の〈超能力〉を明らかにして,人間の〈五感〉により限定された自然への認識を新たにする.



高橋正道著
『被子植物の起源と初期進化』
A5判・526頁・8925円・北海道大学出版会

陸上植物の進化の歴史をふまえ,被子植物の起源と初期進化について最新の研究成果をもとに解説.花粉や植物化石という視点から解き明かされつつある,白亜紀の被子植物始原群の進化過程を,分類群ごとに丁寧に紹介する.



竹中修企画/村山美穂・渡邊邦夫・竹中晃子編
『遺伝子の窓から見た動物たち─フィールドと実験室をつないで』
A5判・450頁・3990円・京都大学学術出版会

マクロな観察を旨とする生態学や動物行動学.しかし,観察・解析だけでは父子判定や進化系統の解析等,個体間,個体群間,種間の関係は分からない.ミクロな方法とマクロな方法の融合が開く,新しいフィールド科学の可能性を示す動物学必携の書.



立花直美編/立花直美・渋江桂子・高間三郎・市田則孝著
『環境論』
A5判・204頁・2065円・武蔵野美術大学出版局

健康な環境を回復するには? 生態学基礎,地球温暖化と人間環境,エネルギー問題,自然保護を4人の著者がそれぞれの専門領域から述べる.わたしたちが今,しなければならないこと,できることは何か.



田中正明著
『日本湖沼誌II─プランクトンから見た富栄養化の現状』
B5判・402頁・15750円・名古屋大学出版会

好評を博した『日本湖沼誌』に未収録のわが国の湖沼のうち,陸水学的,陸水生物学的に注目されるもの,および従来の知見に乏しいものについて,水質・プランクトン相などを著者自らの手で調査した記録.全国929湖沼の形態一覧表も収録.



田中万里子著
『森林情報学入門─森林情報の管理とITの活用』
B5判・136頁・1470円・東京農業大学出版会

地表で人手にたよれないという森林研究の弱点を克服する為森林情報を入手するに必要な最新鋭の衛星技術であるGIS・GPSを用いて森林の枯渇等を知るに必要な現代の技術を駆使した方法を紹介.モア,スポット同様日本の衛星モスが活躍.



淡輪俊編著
『バオバブの木の下で─マダガスカルの自然と人と15年』
A4変型判・150頁・4200円・東京農業大学出版会

マダガスカル島の自然保護の一貫としてのバオバブ,アロエ,植生林保護育成を現地で実践した15年に亘るボランテイア活動を紹介する.マダガスカルはアフリカ大陸対岸の島,日本の1.6倍の面積,アジア風.5世紀頃稲作文化導入.



千葉とき子・斎藤靖二著
『かわらの小石の図鑑─日本列島の生い立ちを考える』
A5変型判・170頁・2625円・東海大学出版会

日本列島がどのように誕生し,どのようにして現在の姿になったのか.その生い立ちは誰もが関心をもっている.本書は,上流の山地の地質を代表している岩石標本のような“かわらの小石”を観察,解説することにより日本列島の生い立ちを考える.



手塚泰彦訳/A. J. ホーン・C. R. ゴールドマン
『陸水学[原著第2版]』
B5判・646頁・8190円・京都大学学術出版会

河川や湖沼など陸の中水『陸水』は,飲料水や産業用水など様々な面で人間の生活に密接だが,その世界を体系立てた書物は皆無であった.世界的に評価の高い本書の邦訳は水環境に関心をもつものにとって待望久しかったものである.



土肥昭夫・岩本俊孝・三浦慎悟・池田啓著
『哺乳類の生態学』Natural History Series
A5判・272頁・3990円・東京大学出版会

フィールドに動物たちを追い続ける生態学者が描き上げた躍動感あふれる野生動物の世界.食肉類,有蹄類,霊長類などを対象としたさまざまな研究をとおして,哺乳類の行動と生態をさぐる.哺乳類学を学ぶために必読のテキスト.



東京情報大学編
『宇宙から見た日本・東アジア─NASA衛星MODIS画像集』
A5判・36頁・315円・東京農業大学出版会

極軌道衛星であるテラとアクアに搭載されたモーデイスから送信されたデータをパラボラアンテナによって千葉市の東京情報大学で受信し画像として写真印刷されたものを多数紹介.台風,植生分布,プランクトン,海面温度,流氷分布を学ぶ.



〈ナ行〉



内藤正敏著
『東北の聖と賤』
四六判・340頁・3675円・法政大学出版局

科学技術と民間信仰の新視点を導入して,オシラサマ,カマド神,金属神,鉱山伝説などのテーマにわたり,歴史の闇に閉ざされてきた東北の民俗の深層を照射する.



内藤正敏著
『鬼と修験のフォークロア』
四六判・360頁・3675円・法政大学出版局

鬼と修験にまつわる東北各地の祭りや神事を独自の視点から精査し,東北の修正会は鬼を祓うのではなく,鬼を神に変換させる祭であることなど歴史と風土に育まれた東北文化の特異な様相を探る.



内藤正敏著
『江戸・王権のコスモロジー』
四六判・350頁・3675円・法政大学出版局

江戸・徳川政権は家康を東照大権現という神に祀り上げることによって宗教的権威を生み出し,その威光の下に特異な祝祭政治を展開した.江戸の大権現信仰が近代天皇制の「御真影」として蘇る経緯を解き明かす.



中尾佐助著/佐々木高明解説
『照葉樹林文化論』中尾佐助著作集第VI巻
A5判・916頁・14700円・北海道大学出版会

アジアの文化史に迫る独創的発想と徹底的な実証研究に満ちた著述を「未完の大仮説」として集大成.「中尾佐助著作集」全6巻の完結編.既刊書に『農耕の起源と栽培植物』『料理の起源と食文化』『探検博物学』『景観と花文化』『分類の発想』.



中川尚史著
『サバンナを駆けるサル─パタスモンキーの生態と社会』生態学ライブラリー16
四六判・260頁・2415円・京都大学学術出版会

霊長類には珍しくサバンナに暮らすパタスモンキーの乾燥地に適応したユニークな生活を,やはりサバンナで独自な形質を身につけた人類の進化も考えながら紹介していく.



永澤正好著
『四万十川I─山行き』田辺竹治翁聞書
四六判・358頁・3360円・法政大学出版局

前世紀までの流域の暮らしを隅々まで知る数少ない証人である翁は日本一の腕前を誇る猪猟を中心に,狩りにまつわる興趣つきない話を縦横に語る.狩りと動物の物語.



永澤正好著
『四万十川 II ─川行き』田辺竹治翁聞書
四六判・368頁・3780円・法政大学出版局

幼少の頃から鮎や鰻やゴリたちと知恵比べをしながら川魚漁に親しんできた翁の語りは,流域の魚の生態,この一世紀間の川と魚の世界の大変化をまざまざと証言する.



永澤正好著
『四万十川 III 』田辺竹治翁聞書
四六判・380頁・3780円・法政大学出版局

流域100年の自然と文化を体現する翁の語りで綴るシリーズの完結篇.自らを「百姓」と称し,あらゆる仕事に従事しつつ村の運営にも中心的役割を果たした翁の証言.



中橋孝博・李民昌編
Ancient People in the Jiangnan Region, China-Anthropological Study on the Origin of the Yayoi People in Northern Kyushu
B5判・206頁・6720円・九州大学出版会

日本人の形成に重要な役割を果たした渡来系弥生人のルーツを求めて,稲作文化の源郷,長江下流域で実施された古人骨研究の論文・データ集成.広範な研究により,渡来系弥生人に酷似した集団の存在が初めて浮かび上がってくる.



中村桂子監訳/J. D. ワトソン
『ワトソン遺伝子の分子生物学 第5版』
A4変型判・816頁・9975円・東京電機大学出版局

ノーベル賞を受賞したワトソンの生命科学のさきがけをなした名著.生命現象をゲノムの働きで理解するという姿勢を明確に打ち出し,「ゲノムの分子生物学」と呼ぶべき教科書である.600点に及ぶフルカラー図版.便利な翻訳・言語索引付.



西田睦監訳・遠藤圭子訳/N. レーン
『生と死の自然史─進化を統べる酸素』
四六判・576頁・3990円・東海大学出版会

酸素はほとんどの生物にとって必要不可欠な物質であると同時に,非常に有害で老化や病気の原因物質でもある.酸素と生命の関係が有する大きな矛盾を手掛かりに,地球上の生命の進化,性の存在理由,加齢・老化・病気の意味などについて考える.



西田睦・鹿谷法一・諸喜田茂充編著
『琉球列島の陸水生物』
B5判・556頁・7875円・東海大学出版会

琉球列島(大隅諸島〜八重山諸島)の,上流域から河口域までの河川,池沼,地下水域などの陸水域に生息する生物を対象に,そのすべての種が査定できることを目指した水辺の生物の検索書.日本の陸水生物とその環境の理解には不可欠の書である.



日本直翅類学会編
『バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑』
A4判・728頁・52500円・北海道大学出版会

447種25亜種を雌雄・地域変異など4500枚以上の生時の色彩によるカラー標本写真(背面・側面・必要に応じて顔面)で収録.多数の形質図を収録した検索表や都道府県別分布表,127種の鳴き声入りCD付き.



紀宮清子編/ジョン・グールド
『鳥類図譜 総覧』
B5判・288頁・21000円・玉川大学出版部

19世紀の画家であり,鳥類学者でもあるグールドが制作した「鳥類図譜」全巻の鳥名リストを作成し,現在の学名・英名・和名を対応させたもの.口絵に各図譜の代表作80点を掲げ,索引を充実させた.清子内親王殿下の研究成果.



〈ハ行〉



花里孝幸著
『ミジンコ─その生態と湖沼環境問題』
A5判・238頁・4515円・名古屋大学出版会

湖の食物連鎖の中で重要な役割を担うミジンコとその他の生物達は,複雑な生物間相互作用を保ちながら湖沼生態系を維持している.本書は人為的な環境改変の影響が微細なミジンコを介して生態系全体に及ぶ過程を解説する.



疋田努著
『爬虫類の進化』Natural History Series
A5判・248頁・4200円・東京大学出版会

大地を這うものたち─水から解放された爬虫類は,さらに大空をめざして鳥類への道を歩み始めた.トカゲ,ヘビ,カメ,ワニ…….多様な爬虫類の自然史を気鋭のトカゲ学者がさまざまな視点から描写.巻末に日本産爬虫類のリストを付す.



樋口広芳編著
『保全生物学』
A5判・264頁・3360円・東京大学出版会

「生物の多様性」とはなにか─その意味,仕組,進化を明らかにし,多様性の保全を進めるために基礎となる理論と方法を示す.さらに野生生物の保全のあり方について,希少種と普通種のさまざまな事例をまじえながらわかりやすく解説する.



日高敏隆監修/日本ICIPE協会編
『アフリカ昆虫学への招待』
A5判・290頁・3000円・京都大学学術出版会

熱帯雨林やサバンナ,砂漠など,多彩な環境がひしめくアフリカには,思いもよらぬ虫たちがすんでいる.一度いくと癖になる「野生の宝庫・アフリカ」の,日本とはまったく異なる風土に暮らす昆虫たちの魅力に迫る.



平光●司訳/A. S. ローマー・T. S. パーソンズ
『脊椎動物のからだ─その比較解剖学』
B5判・650頁・26250円・法政大学出版局

脊椎動物が進化発展過程の間に獲得してきた様々な形態と,その変化にともなう機能の推移を考察.動物の生活とその自然界における位置を学ぶために必須の文献.



広木詔三編著
『里山の生態学─その成り立ちと保全のあり方』
A5判・354頁・3990円・名古屋大学出版会

今日急速に失われつつある里山は,人間活動と密接に関わりながら,地域ごとに独自の発展を遂げてきた.本書は地史的考察や植生の研究,環境指標生物群の調査等を通じ,多角的に里山の全体像に迫り,その保全に向けた提言を行う.



福本和夫著
『フクロウ─私の探梟記』
四六判・394頁・3360円・法政大学出版局

ミネルバの使いたる理知の鳥か,悪霊を呼ぶ凶鳥か,東西のフクロウ観を博捜し,その鳴声の聞き方と呼称に民俗的意味を尋ねつつフクロウと人間の交流の歴史を綴る.



藤間一美著
『原子と光』
A5判・156頁・2065円・武蔵野美術大学出版局

どのように自然を理解し,表現し,さらにそれを自分の中で再構築してゆくか.あるときは数式を,あるときは図表をつかいながら,あざやかな科学者の手のうちを披露した自然科学入門.



堀道雄監訳/M. ベゴン・J. L. ハーバー・C. R. タウンゼント
『生態学[原著第三版]─個体・個体群・群集の科学』
B5判・1304頁・12600円・京都大学学術出版会

病害虫の防除や生物資源の保全,汚染の防止─現代の諸課題は,個体から群集に到る基礎的な問いと切り離しては解決できない.それを明らかにする現代生態学の理論と方法を残さず紹介しながら,地球環境の保全にまで迫る,世界的成書.



〈マ行〉



松井正文著
『両生類の進化』Natural History Series
A5判・312頁・5040円・東京大学出版会

両生類は脊椎動物のなかで最初に陸上に進出した動物群である.脊椎動物の歴史を知るうえできわめて重要な位置を占める両生類の自然史を,その系統や進化にスポットをあてながら描き上げる.日本で初めての意欲的な両生類学のテキスト.



松浦啓一編著
『魚の形を考える』
A5変型判・296頁・2940円・東海大学出版会

魚の形は実に多種多様である.魚の姿は,彼らの歩んできた進化の道筋,暮らし振りにより様々に変化してきた.本書では,多様性に富み千変万化の「魚の形」を,化石,発生,系統と分類,稚魚などの様々な角度から紹介する.



松岡未紗著
『衣(ころも)風土記I』
四六判・246頁・2625円・法政大学出版局

衣服の素材となる植物や蚕を育て,糸を紡ぎ,布を織り,それを染めた人々の技と心をたずねた旅の記録.本巻には,北海道・青森・岩手・宮城・秋田篇を収録する.



松岡未紗著
『衣(ころも)風土記 II 』
四六判・254頁・2625円・法政大学出版局

本巻は紅花大尽・鈴木清風の男伊達,信夫の里のもぢずり石の伝説など,山形・福島・山梨・長野の衣服にかかわる歴史と神話・伝説を紹介し,ゆかりの寺社をめぐる.



松岡未紗著
『衣(ころも)風土記 III 』
四六判・268頁・2625円・法政大学出版局

今に残る越後宿の雪ざらし,秋山郷の編衣,佐渡のシナ布,父の故郷・金沢で生涯を終えた友禅斎など,本巻には新潟・富山・石川・福井・岐阜・静岡・愛知篇を収録.



松岡未紗著
『衣(ころも)風土記 IV 』
四六判・250頁・2625円・法政大学出版局

織物王国西陣の成立,新羅から渡来し,わが国に養蚕機織りを伝えた秦氏の系譜,十三詣りと母親の想いなど,三重・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山篇を収録.



松永俊男著
『ダーウィン前夜の進化論争』
A5判・292頁・4410円・名古屋大学出版会

『種の起源』に先だつ1844年,一冊の書物がイギリス社会を揺さぶった.このベストセラーの何が問題だったのか.論争の丹念な分析を通して,進化論の争点と受容の過程を示すとともに,専門領域として確立しつつあった当時の科学のあり方に迫る.



松本栄寿・小浜清子訳/A. ヘンダーソン・A. L. ケプラー編
『スミソニアンは何を展示してきたか』
A5判・312頁・4410円・玉川大学出版部

1億4000万点のコレクションを所蔵するスミソニアンの博物館群.スタッフがどのような課題に挑戦し,何をどう展示したかを語る.収集や展示に伴う社会的・文化的問題や,生きた展示にするための取り組み方について解説.



丸山宗利編著
『森と水辺の甲虫誌』
A5判変型・326頁・3360円・東海大学出版会

本書は,群を抜いて種多様性の高い甲虫という材料を使った分類,系統,生理,生態,群集,種分化,化石,環境指標を扱う甲虫学入門の14編.



馬渡峻輔著
『動物分類学の論理─多様性を認識する方法』Natural History Series
A5判・248頁・3465円・東京大学出版会

分類学は生物界の多様性を読み解く鍵である.はたして分類学はどのような論理にもとづいて生物をわけ,またまとめているのだろうか.誰もが知りたがっていた「分類することの論理」について,気鋭の分類学者が明快に語る.



満井喬著
『生物学─環境と植物』
A5判・168頁・2065円・武蔵野美術大学出版局

4億年もの長い時間の地球規模での環境問題を考えるには,環境変化の実態を把握し,自然についての理解を深めることが必要である.生態系の中心となる樹林,植物を中心に,生態系の構築,環境適応のメカニズムを科学的に探る.



三中信宏著
『生物系統学』Natural History Series
A5判・480頁・5880円・東京大学出版会

生物がたどってきた進化史の復元─より精度の高い系統樹を求め,分子レベルから形態レベルまであらゆるデータをとりこんで繰り広げられる現代の系統学.これまでの系統学の歴史をたどりながら,分岐学に基づき展開される系統推定論の世界をみる.



宮入慶之助記念誌編纂委員会編
『住血吸虫症と宮入慶之助─ミヤイリガイ発見から90年』
B5判・292頁・5775円・九州大学出版会

住血吸虫症の研究史,感染病理,ミヤイリガイの日本における根絶を紹介するとともに,中間宿主ミヤイリガイの発見者宮入慶之助の編年記,エピソード,写真集なども収録し,かつてノーベル賞候補に推薦された宮入のインパクトと人物を概観する.



〈ヤ行〉



矢内秋生著
『風土的環境観の調査研究とその理論─科学的環境観から風土的環境観へ』武蔵野大学シリーズ2
A5判・210頁・2625円・武蔵野大学出版会

日本列島と朝鮮半島に囲まれた環日本海沿岸地域の気象海象に関する実態調査から,各地の風土的環境観を抽出し,それが災害リスクを軽減することを立証しようとする.閉ざされた海域・日本海を対象に文化伝承と自然現象を結びつけた調査研究である.



山岸哲編著
『アカオオハシモズの社会』
A5判・264頁・3570円・京都大学学術出版会

ヘルパーによる協同繁殖,混群の中での独特の位置など,遺伝や社会進化,群集形成といった生物学の謎を解く上で重要な鳥アカオオハシモズ.その生態を,マダガスカルの魅力あふれる自然と共に,親しみやすい文章で綴る.トリ学はサル学を越えたか?



山岸哲監修/江崎保男・和田岳編
『近畿地区・鳥類レッドデータブック』
B5判・225頁・5250円・京都大学学術出版会

啓蒙資料として意義あるレッドデータブックだが,必ずしもその判定は科学的になされてはいない.観察者の主観的な生息情報をいかに客観的可視的なデータに置き換え判定するか? 具体的な方法と共に,豊富な図版を用いて近畿の鳥の危急状況を示す.



山岸哲監修/(財)山階鳥類研究所編
『保全鳥類学』
A5判・350頁・3675円・京都大学学術出版会

移動性が大きく多様な食性を示す鳥類は,森林や河川・湖沼,農地など多様な環境のなかで,物質循環に大きな役割を果たしている.鳥類の個体数や多様性は,環境の健全さの指標の一つとなる.



山極寿一著
『ゴリラ』
四六判・264頁・2625円・東京大学出版会

人類を超えた動物たち─重厚な気品と迫力を秘めたゴリラは,私たちに「人間とはなにか」を問いかける.人類はかれらと共存可能な世界を創造できるのか.およそ30年にわたるフィールドワークにもとづいて描かれた新しいゴリラの動物記.



山田梅芳・時村宗春・堀川博史・中坊徹次著
『東シナ海・黄海の魚類誌』
B5判・1340頁・18900円・東海大学出版会

東シナ海・黄海に生息する漁業上の重要種をはじめ480数種の魚類について,長年の調査に基づき,形態,分布,回遊,生息環境,年齢と成長,成熟,卵・仔魚,食性,漁獲量,利用について詳述する.



山本紀夫編著
『アンデス高地』
A5判・600頁・5040円・京都大学学術出版会

赤道をまたいで南北に伸び,本州の6〜8倍の長さに相当するアンデス高地.自然環境は多様をきわめ,特異な動植物は世界中で利用されている.その豊かな自然と人々の暮らしを包括的に集成した,読むアンデス事典.



吉田忠晴著
『ニホンミツバチの社会をさぐる』
四六判・148頁・1575円・玉川大学出版部

日本の在来種であるニホンミツバチは,家畜化が進んだセイヨウミツバチと違い,野生の性質を多く残している.ミツバチの特徴的な生態からその利用法までをわかりやすく語る,ニホンミツバチの世界への入門書.写真多数掲載.



〈ラ行〉



琉球大学21世紀COEプログラム編集委員会編
『美ら島の自然史─サンゴ礁島嶼系の生物多様性』
A5判・448頁・3780円・東海大学出版会

多分野の研究者がそれぞれの分野の手法を駆使・連携し,琉球列島の島々とそれを取り巻くサンゴ礁における生物多様性の進化と維持機構を研究テーマとした21世紀CEOプログラムの成果.サンゴ礁島嶼系の生物多様性を総合的に解説する.



〈ワ行〉



鷲谷いづみ・鬼頭秀一編著
『自然再生のための生物多様性モニタリング』
A5判・240頁・2520円・東京大学出版会

自然再生時代の生物多様性─地域生態系の健全性を維持するために重要な指標となる生物多様性のモニタリングについて,市民と研究者による協働調査の豊富な実践例にもとづいて解説.里山やため池など身近な自然に〈元気な生態系〉を取り戻そう!



和田恵次著
『干潟の自然史─砂と泥に生きる動物たち』生態学ライブラリー11
四六判・206頁・2310円・京都大学学術出版会

生き物が複雑な生態系を織りなす干潟は,太古から人々に身近な存在であった.水質の浄化や水産資源の維持などに干潟が果たす役割の重要性に注目するとともに,カニのユニークなダンスなど,干潟を観察することそのもののわくわくする魅力を紹介する.



渡邊定元著
『樹木社会学』Natural History Series
A5判・464頁・5880円・東京大学出版会

高度に発達し多様性に富んだ陸上生態系─森林.その主役である樹木の営みを通して社会として森林をとらえ,ダイナミックな姿を浮き彫りにする.永年にわたり森林を見つめてきた著者が描き上げる森林と樹木の壮大な自然史.日本林学会賞受賞.



渡辺弘之著
『熱帯林の恵み』学術選書21
四六判・280頁・2310円・京都大学学術出版会

様々な熱帯林の産物を,現地で撮影した豊富なカラー写真を交えながら紹介する.籐椅子に腰掛けて紅茶を飲みながら,それらのふるさとである熱帯林に思いをはせるもよし.本書を片手に東南アジアを旅するもよし.



Don L. Anderson
“New Theory of the Earth. 2nd Edition.”
408頁・USD 70.00・ケンブリッジ大学出版局

1989年に出版されたアンダーソンの“Theory of Earth”のアップデート版.地球内部の起源,組成,地球内部の進化をまとめた大学院用テキスト.トモグラフィーや地質構造に対する新しいアプローチを扱うセクションが加わった.



Edward Grant
“A History of Natural Philosophy: From the Ancient World to the Nineteenth Century.”
376頁・USD 24.99・ケンブリッジ大学出版局

物理的世界のすべての自然現象を取り巻いている自然哲学と数学科学の融合が,いかに17世紀の科学革命を可能にし,19世紀までに現代科学の基礎を創ることとなったかをまとめている.アラブやイスラム圏の自然哲学の伝統にも触れている.



Nicholas Stern
“The Economics of Climate Change: The Stern Review.”
712頁・USD 50.00・ケンブリッジ大学出版局

スターン・レビューは,ニコラス・スターン博士が英国政府の委託で,温暖化が世界経済へ与える影響を包括的にまとめた世界初の報告書.科学的側面から気候変動の影響を評価するIPCC報告書(次期報告書は2007年夏以降出版予定)もお勧め.



Robert L. Evans
“Fueling Our Future: An Introduction to Sustainable Energy.”
208頁・USD 24.99・ケンブリッジ大学出版局

現在のエネルギーの需要供給についての概要と,人々が化石燃料に依存する生活を今後どのように改善していくことができるかを簡潔にまとめている.科学者のみならず一般の方にもお勧めの一冊です.



Roger del Moral, Lawrence R. Walker
“Environmental Disasters, Natural Recovery and Human Responses.”
220頁・USD 48.00・ケンブリッジ大学出版局

年々,自然災害が物を破壊し,人の命を絶つ回数が増える今,自然災害がどのように人々を崩壊に導くのか,またどのように人は災害に立ち向かうのかを包括的にまとめている.生態学者をはじめ自然界,自然災害に興味のある方にお勧めです.




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