アンデス高地
価格:5,720円 (消費税:520円)
ISBN978-4-87698-704-7 C1025
奥付の初版発行年月:2007年03月 / 発売日:2007年04月上旬
赤道をまたいで南北に伸び,日本の本州の6〜8倍の長さに相当するアンデス高地.幅広い緯度と高度差のもとで,その環境は多様をきわめ,ジャガイモやアルパカなどの特異な動植物は今や世界中で利用されている.その豊かな自然と人々の暮らしを,地誌・農耕牧畜・民族誌などから包括的に集成した,アンデス事典とも呼ぶべき待望の一冊.
山本 紀夫(ヤマモト ノリオ)
1943年生まれ。京都大学大学院博士課程修了、農学博士。現在、国立民族学博物館教授、総合研究大学院大学併任教授。専門は民族学、民族植物学、山岳人類学。1968年よりアンデス、アマゾン、ヒマラヤ、チベット、アフリカ高地などで主として先住民による環境利用の調査研究に従事。1984〜87年にはペルー、リマ市に本部をもつ国際ポテトセンター社会科学部門客員研究員。主な著書に『インカの末裔たち』(日本放送出版協会、1992年)、『ジャガイモとインカ帝国』(東京大学出版会、2004年)、『ラテンアメリカ楽器紀行』(山川出版社、2005年)、『雲の上で暮らす——アンデス・ヒマラヤ高地民族の世界』(ナカニシヤ出版、2006年)、編著に『世界の食文化——中南米』(農産漁村文化協会、2007年)。アンデス・ヒマラヤにおける高地民族の山岳人類学的研究により今年(平成18年)度の秩父宮記念山岳賞などを受賞。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに[山本紀夫]
第一章 アンデス高地とはどのようなところか
一節 八〇〇〇キロメートルの大山脈——その多様な環境[山本紀夫]
二節 アンデス山脈の地域区分[山本紀夫・苅谷愛彦・岩田修二]
三節 高地でも人が暮らす中央アンデス[山本紀夫]
四節 山岳文明を生んだアンデス高地[山本紀夫]
第二章 高地に花ひらいた農耕文化
一節 栽培植物の故郷[山本紀夫]
二節 毒抜きから食料貯蔵へ——中央アンデス高地の食品加工技術[山本紀夫・大山修一]
三節 ジャガイモと糞との不思議な関係[大山修一]
四節 知られざるアンデス高地の雑穀——キヌアとカニワ[藤倉雄司・本江昭夫・山本紀夫]
五節 現代に生きるインカの農具——踏み鋤をめぐって[山本紀夫]
六節 中央アンデス根栽農耕文化論[山本紀夫]
七節 チチャ酒の系譜——アンデスにおける酒造りの方法をめぐって[山本紀夫]
第三章 特異な牧畜文化
一節 旧大陸の常識をくつがえすアンデス牧畜の特色[稲村哲也]
二節 野生動物ビクーニャの捕獲と毛刈り——インカの追い込み猟「チャク」とその復活[稲村哲也]
三節 アンデス発の牧畜起源論[稲村哲也]
四節 アンデス高地でラクダ科動物が生き残った理由[本江昭夫・藤倉雄司]
五節 ラクダ科野生動物ビクーニャの生態と保護[大山修一]
六節 家畜の起源に関する遺伝学からのアプローチ[川本芳]
七節 ラクダ科動物の毛を利用した染織文化[鳥居恵美子]
第四章 アンデス高地の民族誌
一節 ティティカカ湖に生きる——採集漁撈民の暮らし[山本紀夫]
二節 農牧複合民の暮らし——食糧の生産と消費を中心に[山本紀夫]
三節 アンデスの牧民の社会と暮らし[稲村哲也]
四節 商業民族オタバロの暮らし[千代勇一]
五節 アイマラ族の信仰と生活[J. M.アロアロ・藤倉雄司・本江昭夫・鳥居恵美子]
終章 アンデス高地の諸相
一節 アンデスにおける高地文明の生態史観——ヒマラヤ・チベットとの比較[山本紀夫・稲村哲也]
二節 アンデス社会の変容[稲村哲也・山本紀夫]
三節 アンデスのエコツーリズム[山田勇]
索引
執筆者紹介