大学出版部協会

 

中国農業史

中国農業史

菊判 880ページ
価格:9,900円 (消費税:900円)
ISBN978-4-87698-690-3 C3022
奥付の初版発行年月:2007年02月 / 発売日:2007年02月中旬

内容紹介

中国文明の科学・技術の集大成,ジョゼフ・ニーダムの『中国の科学と文明』シリーズのうち「中国農業技術史」の本邦初訳.多様な地理的環境の下に形成発展してきた中国農業の鳥瞰図を,汎アジア的視野に立ちながら描く.中国,日本,ヨーロッパの膨大な文献の渉猟にもとづき,中国農業史を世界に開かれた視野から取り上げた名著.●平成19年度JAGRA(社)日本印刷産業連合会会長賞受賞

著者プロフィール

フランチェスカ・ブレイ(ブレイ,F.(フランチェスカ))

ケンブリッジ大学卒業。中国農業史。マレーシアの緑の革命を取り上げて研究生活を開始。パリの国立科学研究所、カリフォルニア大学サンタバーバラ校人類学部を経て、現在エディンバラ大学社会人類学部教授。技術史学会(Society for the History of Technology)常任理事、『東アジア科学技術研究』誌(台湾)の編集委員。これまで中国、台湾、マレーシア、カリフォルニアで現地調査。
著書:The Rice Economies: Technology and Development in Asian Societies, Oxford University Press, 1986,Technology and Gender: Fabrics of Power in Late Imperial China, University of California Press, 1997,Technology and Society in Ming China, 1368-1644, AHA, 2000.2007年にはBrillから中国の技術挿絵に関してThe Warp and the Weft を出版の予定。

古川 久雄(フルカワ ヒサオ)

1940年神戸生まれ。1963年京都大学農学部農芸化学科卒業。1968年京都大学大学院農学研究科中退、京都大学農学部助手、1978年京都大学東南アジア研究センター助教授、1988年同教授、1998年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授。2003年退職。京都大学農学博士、同名誉教授。現在、NPO 法人平和環境もやいネット理事長。
著書:『インドネシアの低湿地』(1992年勁草書房)、『中国先史・古代農耕関係資料集成』(渡部武と共編著、1993年京都大学東南アジア研究センター)、Coastal Wetlands of Indonesia: Environment, Subsistence and Exploitation, Kyoto University Press, 1994、『事典東南アジア:風土・生態・環境』(共編著、1997年弘文堂)、『植民地支配と環境破壊』(2001年弘文堂)、Ecological Destruction, Health, and Development: Advancing Asian Paradigms, co-edited, Kyoto University Press- Trans Pacific Press, 2004,
『民族生態—從金沙江到紅河』(尹紹亭と共編著、2003年雲南教育出版社)。
訳書:『西側による国家テロ』(アレクサンダー・ジョージ編著、大木昌と共訳、2003年勉誠出版)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

図版のリスト
表のリスト
凡例
著者の序

第1章 序  論
1 中国農業の全般的特徴
2 農業地域区分
(i)トウモロコシ−ミレット−大豆地域
(ii)春小麦地域
(iii)冬小麦−ミレット地域
(iv)冬小麦−ソルガム地域
(v)揚子江の稲−小麦地域
(vi)稲−茶地域
(vii)四川の稲地域
(viii)稲二期作地域
(xi)西南の稲地域
3 中国農業の起源
(i)農業開始への刺激
(ii)農業起源の一般的仮説
(iii)中国の農業起源

第2章 文献資料
1 『月令』,すなわち農業暦
2 農書
(i)『齊民要術』
(ii)王禎の『農書』
(iii)『農政全書』
3 官撰編纂書
(i)『農桑揖要』
(ii)『授時通考』
4 専門書
5 補足資料
6 中国資料の性格と歴史解釈の際の問題
7 ヨーロッパの伝統との比較

第3章 農地体系
1 開墾と開拓
2 移動焼畑耕作
3 永年耕地
(i)華北
(ii)華南
(iii)特異な農地
干拓地
浮き田
塩鹹地の開拓
テラス耕地
ピット栽培

第4章 耕作体系——農具と農法
1 耕耘具
(i)犂
古代中国の犂
戦国時代の犂
漢代の犂
漢代以後の発展
犂付属品
(ii)手耕具−鍬,根切り鍬,鋤
(iii)平滑化と均平化−槌,レーキ,ハロー,ローラー
2 播種
(i)作付け暦と播種日の選定
(ii)種子の準備
(iii)播種法
散播
条播
点播,移植
(iv)播種量
(v)結論
3 施肥
4 除草と耕作
(i)旱地農業
(ii)馬鍬中耕農業
(iii)灌漑農業
5 収穫,脱穀,風選
(i)収穫
収穫ナイフ
鎌と大鎌
機械収穫
(ii)脱穀
脱穀床,桶,筵
足踏み脱穀,脱穀杖
打穀,殻竿
千歯扱きと脱穀機
(iii)風選
籠,盆,篩
フォーク,シャベル
風選用扇
6 穀物貯蔵
(i)貯蔵法の重要性−資料に見る位置づけ
(ii)貯蔵技術
(iii)貯蔵施設
籠,陶壺,木箱
地下貯蔵穴
穀倉建築
円形穀倉
方形穀倉
(iv)官営穀倉
収税穀物
常平倉
飢饉救済−「義倉」と「社倉」

第5章 作物体系
1 作物輪作
2 ミレット,ソルガム,トウモロコシ
(i)アワとキビ
(ii)高粱(ソルガム)
(iii)トウモロコシ
3 小麦と大麦
4 稲
(i)アジアの栽培稲起源
(ii)中国の稲品種群と名称
(iii)栽培法
5 豆類
6 油糧作物
7 根菜作物
8 繊維作物
9 蔬菜と果実

第6章 結論農業の変化と社会——停滞か革命か?
1 中国はヨーロッパの農業革命に寄与したか?
(i)ヨーロッパ前近代の農業技術
(ii)ヨーロッパが探索したアジアの農業技術
(iii)ヨーロッパ農業の変貌
播種ドリル
曲面鉄製犂へら
(iv)ヨーロッパ農業革命へのアジアの寄与
2 中国に農業革命はあったか?
(i)漢代華北の農業発展と農地制度の変化
土地への人口圧
小農経済の崩壊
大農場の成長
固有の矛盾
(ii)華南の‘緑の革命’
農業発展への小農の対応
社会変化と経済変化の関係
水稲耕作社会の安定性
些少商品生産の役割
3 発展か変化か?

訳者解説
参考文献


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。