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青年君主昭和天皇と元老西園寺

青年君主昭和天皇と元老西園寺

A5判 544ページ
価格:4,840円 (消費税:440円)
ISBN978-4-87698-614-9(4-87698-614-2) C3021
奥付の初版発行年月:2003年07月 / 発売日:2003年06月上旬

内容紹介

近年,新資料の発掘などにより昭和天皇論が内外で相次いでいる.とりわけ,戦争責任を含めてその「親政」の実態解明に焦点が注がれている.本書は,摂政時代から即位後数年の青年君主昭和天皇に焦点をあて,天皇と元老以下の宮中グループ対内閣という構図の下,天皇と政党政治の関わりを,田中内閣総辞織を頂点に解明する.

著者プロフィール

永井 和(ナガイ カズ)

京都大学大学院文学研究科教授
1951年 大阪市生まれ。
1979年 京都大学大学院文学研究科博士課程(後期)退学。
1979年 京都大学文学部助手。
1985年 富山大学教養部助教授。
1989年 立命館大学文学部助教授、教授を経て
1995年より現職。
主な著訳書
『近代日本の軍部と政治』(思文閣出版、1993)
『西園寺公望傳』第四巻(共著、岩波書店、1996)ほか

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第一章 裕仁親王、摂政となる
 はじめに
 一、大正天皇の病状公表と公務制限
 二、皇后と皇太子の公務代行
 三、公務制限後の「万機親裁」
 四、皇太子の外遊問題と結婚問題
 五、牧野伸顕の宮内大臣就任
 六、皇后の婚約遂行反対論
 七、宮内省の摂政問題検討作業
 八、宮内省の方針転換と第四回病状発表
 九、皇太子の摂政就任
 おわりに
第二章 摂政、久邇宮を訓戒する
 はじめに――宮中問題と元老――
 一、久邇宮朝融王と酒井菊子
 二、久邇宮婚約解消を望む
 三、牧野宮相の婚約解消反対
 四、水野直の仲介工作
 五、新聞のスクープ
 六、徳川頼倫の婚約辞退工作
 七、摂政の訓戒
 八、二つの伝説――久邇宮家と酒井家――
 九、元老西園寺の役割
第三章 西園寺公望、最後の元老となる
 はじめに
 一、御下問範囲拡張問題
 二、摂政政治の新例
 三、元老は園公で打止
 四、内大臣の交代
 五、西園寺「最後の元老」となる
 六、牧野の枢密院改造論と一九二六年一〇月上奏の増補
 七、「元老・内大臣協議」から「元老・内大臣・重臣協議」へ
 おわりに
第四章 昭和天皇、田中内閣を倒す
 はじめに
 一、田中内閣の成立
 二、官僚人事、文官任用令改正問題
 三、専任外相設置問題・外交刷新御内旨問題
 四、衆議院の再解散問題  五、久原入閣・水野文相優諚・上山台湾総督更迭問題
 六、「聖旨」三ヶ条
 七、小選挙区制案と下問二ヶ条
 八、満州某重大事件
 九、田中内閣の倒壊
 おわりに
 附、倉富枢密院議長と元老西園寺の対話
第五章 張作霖爆殺事件と田中義一首相の上奏
    ――粟屋憲太郎氏の所見への疑問――
 はじめに  
 一、「内奏写」と「上奏案」〔「上聞案」〕
 二、粟屋説批判1
 三、粟屋説批判2
 四、三月二七日の陸相内奏
 おわりに
第六章 昭和天皇は統帥権の運用を誤ったか
    ――大江志乃夫著『張作霖爆殺』を評す――
 はじめに
 一、「統帥権運用の誤り」はあったのか
 二、事件の処置はどのようになされたのか
 三、事件の処置は統帥か国務か
 四、昭和天皇は田中の何を叱責したのか
 おわりに  
第七章 「輔弼」をめぐる論争
     ――家永三郎・永井和往復書簡――
 はじめに
 一、第一回目の論争
 二、第二回目の論争

 あとがき
 索 引


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