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絵画と私的世界の表象

変容する親密圏/公共圏3
絵画と私的世界の表象

A5判 上製
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-87698-578-4 C3371
奥付の初版発行年月:2012年01月 / 発売日:2012年02月上旬

内容紹介

美術における親密圏、すなわち、家族、母子、家庭のイメージを読むという課題設定のもと、さまざまな切り口によって、西洋と日本の近世美術、アジアの近現代美術の諸作品を考察している。子供、家族、家庭という伝統的な主題に絞り、親密圏をめぐる人間の関係性を主題とした美術作品が、どのように解釈できるかを明らかにする。

著者プロフィール

中村 俊春(ナカムラ トシハル)

1955年生まれ,京都大学文学研究科教授
主要論文・著書:『ペーテル・パウル・ルーベンス—絵画と政治の間で』(三元社,2006年),展覧会カタログ『フェルメール《牛乳を注ぐ女》とオランダ風俗画展』(監修,国立新美術館,2007年),「近世ヨーロッパにおける平和と戦争のイメージ—80年戦争の時代のネーデルラントを中心に」(紀平英作編『グローバル化時代の人文学』下,京都大学学術出版会,2007年),「《ファン・ロイエン花鳥画》の作者再考」(『京都美学美術史学』9,2010年),「ルーベンス工房のヴァン・ダイク」(『京都美学美術史学』10,2011年)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第1章 家族,母子,家庭のイメージ読解のための序論[中村 俊春]
はじめに
1 ゴンクールと歌麿の描いた母子
2 久隅守景作「夕顔棚納涼図」の解釈をめぐって
3 17世紀オランダ肖像画に見る夫婦の関係
4 17世紀オランダの家庭と女性
5 虚構としての一族の肖像画
6 本書の内容に関して

第2章 聖なるもの,家族,政治—クラーナハ作「聖親族祭壇画」をめぐって[平川 佳世]
はじめに—聖なる家族の表象
1 クラーナハの描く「聖親族」
2 15,16世紀の北方ヨーロッパにおける「聖親族」の流行
3 「聖親族祭壇画」に見るザクセン選帝侯家の政治的思惑

第3章 家庭は至福の場か—17世紀オランダ風俗画における家族と家庭のイメージ[ジョン・ラフマン(深谷訓子訳)]
1 家庭内を描いた風俗画の流行とその背景
2 描かれた家庭場面の虚構と誇張
3 実像に迫る—家庭内の様子,各部屋の機能や調度
4 イメージ操作の方向性—作り出された「至福の場」

第4章 変容する幼年時代のイメージ—ネーデルラント美術における子供の肖像画とその影響[ミルヤム・ノイマイスター(吉田朋子訳)]
はじめに—17世紀ネーデルラントの風俗画に描かれた子供たちに託された意味
1 17世紀ネーデルラントの子供の肖像画—身分の誇示と愛情の表現
2 描かれた画家の子供たち—ルーベンスの場合
3 ヴァン・ダイクによる子供の肖像画
4 イギリスにおける子供の肖像画の展開—規範としてのヴァン・ダイク

第5章 伊勢物語絵に見る「男」と「女」—17世紀前半の作例における場面選択に関連して[安田 篤生]
はじめに—伊勢物語絵と「親密圏」
1 近世初期伊勢物語絵に描かれた二条の后—伝宗達筆伊勢物語図色紙「芥川」を中心に
2 伊勢物語絵の場面選択—絵と社会的背景
むすびにかえて

第6章 唐子遊図をめぐって[田島 達也]
1 日本絵画の中の子供たちと唐子
2 唐子の「かわいらしさ」
3 唐子の表される画題
4 唐子の受容された場
5 寺院と唐子図—天球院と霊鑑寺

第7章 絵画に見る雛祭の発展—江戸時代の家族の動向に注目して[宮崎 もも] 
はじめに
1 上巳の節句行事の変遷
2 雛祭図に見る雛祭の発展
3 雛図に見る雛祭の発展
おわりに

第8章 家庭こそメディアの場所である—家庭内メディアの考古学[エルキ・フータモ(太田純貴訳)]
はじめに
1 視覚的なメディアと家庭内での設置
2 覗く習慣の諸様式
3 幻灯機(マジックランタン),影絵芝居と巻き取り式絵巻
4 家族を楽しませる少年興行師
5 最初の,真に家庭的なメディア機械
おわりに

第9章 台湾近代美術に描かれた子供たち—時局との関連に注目して[李 淑珠] 
はじめに
1 1927~36年の子供描写
2 1937~45年の子供描写
3 子供群像に隠された公的イメージ
むすびに

第10章 1950年代韓国における家族イメージ—「安息」のメタファーとしての家族[金 伊順(鄭 賢娥訳)]
はじめに
1 朝鮮戦争以前の家族イメージ
2 朝鮮戦争以後の家族イメージ
おわりに

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文献目録
あとがき
人名索引
著者紹介


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