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 「障害」で学びを拡げる知のバリアフリー

知のバリアフリー 「障害」で学びを拡げる

A5判 286ページ 並製
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-87698-542-5 C0037
奥付の初版発行年月:2014年12月 / 発売日:2014年12月上旬

内容紹介

ようやく制度として大学に根付きつつある障害者支援。その最前線を担う当事者の報告と問題提起から見えてくるのは,「健常者」基準で成り立つ学問そのものの限界だった。「障害」を切り口にして初めて見えてくる新たな知が,人間の可能性を大きく拡張する。大学での障害を通じた学びの過去・現在から未来を見据え,新たな知のあり方を発信する。

著者プロフィール

嶺重 慎(ミネシゲ シン)

京都大学大学院理学研究科教授。神戸市出身、1986年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、理学博士。専門は宇宙物理学、特にブラックホール天文学。一般向け講演や一般書執筆に加え、バリアフリー学習教材(点字版や手話版)製作にも力を入れている。2007年井上学術賞、2008年日本天文学会林忠四郎賞、2012年京都新聞教育社会賞受賞。主な著書に、『天文学入門—星・銀河と私たち』(共編著、岩波書店、2005年)、『さわっておどろく!』(共著、岩波書店、2012年)、『宇宙と生命の起源2—素粒子から細胞へ』(共編著、岩波書店、2014年)など。

広瀬 浩二郎(ヒロセ コウジロウ)

国立民族学博物館民族文化研究部准教授。1967年東京都生まれ。13歳の時に失明。筑波大学附属盲学校(現在は視覚特別支援学校)から京都大学に進学。2000年同大学院にて文学博士号取得。専門は日本宗教史、触文化論。2001年より国立民族学博物館に勤務。主な著書に、『障害者の宗教民俗学』(明石書店、1997年)、『さわる文化への招待』(世界思想社、2009年)、『さわって楽しむ博物館—ユニバーサル・ミュージアムの可能性』(編著、青弓社、2012年)、『世界をさわる—新たな身体知の探究』(編著、文理閣、2014年)など

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

「さわる口絵」について
はじめに[嶺重 慎]

第1部 障害学生支援の理論と実践

序——障害学生支援から始まる「知のバリアフリー」[広瀬浩二郎]
   来る者は拒まず/不代替物になれ/「たいへんでしたね」/大学とは自分で
   勉強する所/しかたなしの極楽

第1章 高等教育のユニバーサルデザイン化を目指して [佐野(藤田)眞理子]
 1.誰もが疎外されない高等教育とは何か?
 2.多様なニーズとアクセシビリティ
   多様化する大学生/障害学生支援の変化
 3.「合理的配慮」とユニバーサルデザイン
    授業における「合理的配慮」/閉じられたケア/開かれたケア
 4.持続可能な全学的支援システムの構築
    規則の制定/組織の整備/学生の視点に立った点検評価/支援の拠点の設置
 5.教育の一環としての人材育成
 6.共に学び、競いあうためのユニバーサルデザイン
Column 1 疎外から共生へ——障害者ソーシャルワークの現場から[植戸貴子]

第2章 支援の場から学びのコミュニティへ——京都大学の障害学生支援[村田 淳]
 1.京都大学における障害学生支援
    専門窓口の設置/二つの特徴/支援ニーズの拡大と変化
 2.学生たちのキャンパスライフ [岡森祐太、橋詰健太、桑原暢弘、安井絢子]
 3.発達障害のある学生への支援
    支援が必要な学生の顕在化/必要に応じた修学支援/社会を見据えた支援の必要性
 4.支援と学び
Column 2 大学の相談室から[山本 斎]

第3章 障害学生支援と障害者政策[石川 准]
 1.障害学生支援の理念と現状
    障害学生支援に関する政策提言と政府の基本計画/お願いから権利へ
 2.障害者差別解消法と障害者の権利条約——障害者支援の未来
    障害者差別解消法(2013)の意義/障害者の権利条約——障害当事者による政策の監視
 3.障害学生支援の環境整備としての情報アクセシビリティ
    アクセシビリティとは/情報アクセシビリティ整備を支えたアメリカ国内法/読みたい本を読む自由
 4.アクセシビリティは人をエンパワーする
Column 3 「思いやり」から「常識」へ ——DO-ITJapanの挑戦[近藤武夫]
    DO-ITJapanの取り組み/今なおバリアは残る/法改正がもたらすもの/
    新しい価値観を目指して

第4章 聴覚障害学生支援の最先端——音声認識による字幕付与技術[河原達也]
 1.話し言葉の音声認識
    関連する研究開発の動向/音声認識の原理
 2.講演・講義映像への字幕付与——オフライン字幕付与
    字幕付与の現状/私たちの取り組み
 3.講義におけるノートテイク支援——リアルタイム字幕付与
    ノートテイクの現状/私たちの取り組み/音声認識を用いたノートテイク実験
 4.実用化にむけた展望
Column 4 障害という「資本」を活かす[岩隈美穂]
    2014年年始——夢ノート/障害という「資本」を意識する/「人と違うレンズを持つ」/
    「固有文化」の発見/これから——だからこそできること

第2部 障害学習発信の課題と展望

序——障害の学びあいを目指して[嶺重 慎]
    障害を切り口にした学びの実例/障害学習を発信する

第5章 学びあいと支えあいの原点——京大点訳サークルの誕生[新納 泉]
 1.京大点訳サークルの結成
    初期の点訳サークル/関西スチューデントライブラリー
 2.点訳サークルの活動
    11月祭の取り組み/仏和辞典の点訳/京都大学附属図書館の新営
 3.理想と現実
    当時、心がけていたこと/学生ボランティアの「生き方」/歩み続けよう、点訳サークル
Column 5 点訳サークルの今[橋本雄馬]

第 6章 盲学校における視覚障害者の学習——感光器、点字プリンタ、ポリドロン[遠藤利三]
 1.新しい技術と素晴らしい人たちとの出会い
    アマチュア無線にのめりこむ——1960年代/盲学校での出会い
 2.学習支援の技術史と私——感光器からパソコン点訳まで
    感光器を作る——1963年/電子計算機と点字プリンタの衝撃——1964年/
    盲学校における電子計算機の利用——1973年〜1975年/プログラム電卓の
    指導から点字 BASICの実験——1978年/ブレールマスターからパソコン点訳へ
 3.学びあいが学びを変える
    和光小学校での教育実習/視覚障害教育の重要性/短期記憶の重要性/
    ポリドロン/触図について/見取り図について/目的が明確になれば消
    えるバリア/入学試験問題の点訳/盲教育を支える力
Column 6 サークル活動がライフワークに![岡田 弥]

第7章 博物館とバリアフリー[大野照文]
 1.つながりでバリアを超える
    『京大日食展』でのバリア克服記/つながりでバリアを超える
 2.教材が拓く学びあい
    視覚に障害をもつ人たち向けの学習教材作り/博物館で学びの起こるとき/
    触察プログラムの開発——ヒントは盲学校の生徒さんから/ぬいぐるみ模型を
    作る/「サワッテ ミル カイ」誌上体験/バリアを超えると共有できるもの
 3.対話を通じてバリアを超える
Column 7 バリアフリーからユニバーサルデザインへ[尾関 育三]
    教育・研究のバリアを取り除く/点訳と対面朗読/漢字のバリア/障害者と
    健常者のためのユニバーサルデザインを目指して

第8章 触って楽しむ天文学——宇宙を感じる試み[嶺重 慎]
 1.眼で見えないものを探究する
    現代天文学の課題/きっかけ?/プロジェクトの始動/天文学習教材—— 3つの
    プロジェクト/盲学校で出前授業
 2.点図と手話がひらく宇宙の姿
    宇宙点図の実例/点図の難しさとおもしろさ/手話をベースにした教材づくり
 3.プロジェクトの今後

終章 共活社会を創る[広瀬浩二郎]
 1.「共活」とは何か
 2.現在の教科書と視覚障害者
 3.戦前の教科書との比較
 4.障害者史=情報保障の追求
 5.盲人史=情報変換の可能性
 6.21世紀型「共活」理論の実践に向けて

おわりに——“知”のバリアフリーが始まる!
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