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有機体としての言語フンボルトの言語研究

フンボルトの言語研究 有機体としての言語

A5判 314ページ
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-87698-412-1(4-87698-412-3) C3010
奥付の初版発行年月:2001年03月 / 発売日:2001年03月下旬

内容紹介

「言語はすなわち生命である」.19 世紀に一世を風靡した「言語有機体論」の熱心な提唱者であるヴィルヘルム・v・フンボルト.その思想を詳細に検討しながら,言語を精神の制作物と見なす彼の発想自体が実はさまざまに揺らぎ,その変遷の軌跡に隠された彼の思惟の核心が,最新の言語学・言語哲学研究に少なからず示唆を与えることを示す.


目次

第1章 序 論
§1 有機体としての言語?
§2 カントからフンボルトへ
§3 言語と精神

第2章 フンボルト言語論の基本構造
2-1.基本概念
2-1-a.民族・言語・精神
§4 比較言語研究のプログラム
§5 第三項としての精神
§6 民族的精神
2-1-b.内的・外的
§7 還元不能性
§8 不透明性
§9 事後性
2-1-c.形式・質料
§10 形式の優位
§11 階層構造
§12 内的言語形式
2-2.有機体と言語類型論
§13 有機体概念の意義
§14 最終審級か可変的原理か
§15 言語類型論
§16 没落と発展
§17 歴史的考察への移行

第3章 言語=有機体論の歴史的背景
3-1.言語起源論争
3-1-a.ヘルダー『言語起源論』
§18 言語は誰が作ったのか?
§19 論争前史:言語神授説
§20 「ライプニッツ美学のヴェール」
§21 言語起源論証の分析
§22 段階1:感覚言語論
§23 段階2:可聴的メルクマール論
§24 段階3:共通感官論
§25 ライプニッツ・ヴォルフ学派
§26 「言語人間起源説」の問題性
3-1-b.ハーマンのヘルダー批判
§27 『博言学的随想と疑問』
§28 「プラトン主義的証明」
§29 第一の問題:言語起源の魂への回収
§30 第二の問題:人間の特権的地位
§31 積極的部分と消極的部分
§32 「あたかも神がいないかのように」
3-2.カントにおける有機体の概念
§33 前成説・vs・・後成説 
§34 規定的判断力と反省的判断力
§35 統制的概念としての自然目的
3-3.言語=有機体論
§36 フンボルトとカント哲学
§37 有機体としての言語
§38 制作主体としての精神
§39 客体への転移:理論的考察への移行

第4章 理論的考察:言語の差異と変遷
4-1.地平としての意味
4-1-a.言語的意味事象の分析論
§40 言語的意味事象
§41 四つの現象形態:話す・聞く・書く・読む
§42 四つの構造契機
§43 第一契機と第二契機:意味と理解
§44 第三契機:疑問的誰か
§45 第四契機:現実的産出
§46 意味意識と文法意識
4-1-b.言語的意味事象と地平概念
§47 《理解=非理解》テーゼ
§48 現象学的他者論の問題点
§49 意味志向の目的論的性格
§50 共時性と通時性:差異と変遷
§51 明白な文法と暗黙の文法
§52 地平概念:顕在的次元と潜在的次元
§53 内部地平と外部地平
§54 フッサールにおける区別
§55 言語的意味事象への適用
§56 言語的意味事象における内と外
4-2.意味の内部地平
§57 内主観的次元での内部地平
§58 間主観的次元での内部地平・1:自己による理解
§59 設計図の受け渡し問題
§60 間主観的次元での内部地平・2:他者による理解
§61 意味理解の加算理論
§62 設計図なしの部品組み立て問題
4-3.意味の外部地平
§63 「理論的」解決
§64 外部地平の分類
§65 対称的外部地平
§66 例:カントの書簡
§67 非対称的外部地平
§68 適切な行為の条件
§69 意味の外部地平と意外性
§70 例:「少年の担当医」
§71 多義性の分析:多義性と規則
§72 「実践的」解決
4-4.言語の差異と変遷
§73 構造的多義性
§74 構造的多義性と言語変化
§75 文法カテゴリーの分節化
§76 ピジンとクレオール
§77 第一契機と第三契機の部分的相即
§78 結語:有機体としての言語

付 録
A.文献一覧
i) 欧文文献
ii)邦文文献
B.資料
B-i) 資料の問題
a.刊行史
b.主要著作概観
c.書簡集・所蔵文庫目録
B-ii) フンボルト著作集ページ対照表
a.アカデミー版(GS)
b.コッタ版(FG)
B-iii) ヴィルヘルム・フォン・フンボルト略年譜

あとがき
索  引


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