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競合する家族モデル論

変容する親密圏/公共圏9
競合する家族モデル論

A5判 上製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-87698-393-3 C3336
奥付の初版発行年月:2014年07月 / 発売日:2014年07月上旬

内容紹介

80年代以降,家族モデルは個人化への道を進むが,このパラダイム転換にはさまざまな相が存在する。家族変動が複雑で,かつ市場主義と社会主義が現実に併存する【非西欧の文化圏】を検討しながら,近代家族の多様性について考える。

著者プロフィール

ライカイ・ジョンボル・ティボル(RAJKAI Zsombor Tibor)

立命館大学国際関係学部准教授。
京都大学大学院文学研究科行動文化学専攻博士学位取得。専門領域:家族社 会学。
主な著作:
「『空虚な個人化』と家族の連帯―構造・体制変動を経験したハン ガリー」(『ソシオロジ』160, 2007 年)。
Frontiers and boundaries: Encounters on China’s margins. Asiatische Forschungen No. 156. Wiesbaden: Harrassowitz Verlag, 2012, co-edited with Ildikó Bellér-Hann.
Family and social change in socialist and post-socialist societies: Change and continuity in Eastern Europe and East Asia. editor. Brill, forthcoming.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第1章 家族の比較研究に潜在する可能性をめぐって_
 1.ナショナル・アイデンティティと家族
 2.ミクロ・レベルでの人間関係の変容(1980年代以降)
 3.クーンの「パラダイム転換」論と家族社会学
 4.非西欧文化圏と家族社会学
第2章 本書における概念の定義と分析枠組み_
 1.概念の定義
 2.本書における分析枠組み
   2―1. 分析の対象
   2―2. 分析の方法
第3章 _社会主義期からポスト社会主義期へ転換するハンガリー_
 1.価値の転換期における社会政治問題
 2.社会主義期に形成されたハンガリーの家族社会学研究の現状
 3.ハンガリーにおける家族社会学のテキストの現状
 4._社会主義期におけるマルクス主義的「家族モデル」形成の可能性
   4―1. 選択したテキストの基本データ
   4―2. 選択したテキストに表象される家族モデル
 5.脱マルクス主義期における「家族モデル」形成の可能性
   5―1. 選択したテキストの基本データ
   5―2. 選択したテキストに表象される家族モデル
 6.まとめ―美化された過去像への囚われ
第4章 閉鎖的社会から開放的社会へ歩みつつある中国_
 1._中国社会の開放化・国際化に伴うイデオロギー的資源の多様化
 2.中国における社会学研究とイデオロギー的資源の多様化
 3.中国における家族社会学研究の現状と主要なテキスト
 4.「改革開放」直後における家族社会学テキスト
   4―1. 選択したテキストの基本データ
   4―2. 選択したテキストに表象される家族モデル
 5.グローバル化に挑戦する家族社会学テキスト
   5―1. 選択したテキストの基本データ
   5―2. 選択したテキストに表象される家族モデル
 6.まとめ―家族主義と個人主義との板ばさみ
第5章 伝統文化とアメリカ文化との葛藤に陥った台湾_
 1.急激な経済発展を伴った「思想の真空」
 2._戦前の「伝統」の失墜・米国への依存から自律しつつある台湾の社会学
 3.台湾における家族社会学研究の現状と主要なテキスト
 4.政治体制変化の直後における家族社会学テキスト
   4―1. 選択したテキストの基本データ
   4―2. 選択したテキストに表象される家族モデル
 5.21世紀初期の台湾における家族社会学のテキスト
   5―1. 選択したテキストの基本データ
   5―2. 選択したテキストに表象される家族モデル
 6.まとめ―伝統文化と西欧文化の融合に向けて
第6章 脱亜から入亜へ転換する日本_
 1.戦後日本の経済的黄金時代:見かけ上の価値の安定性?
 2.戦後日本における家族社会学研究の現状
 3.日本における主要な家族社会学テキスト(概要)
 4.近代日本家族の集団性を主張する家族社会学テキスト
   4―1. 選択したテキストの基本データ
   4―2. 選択したテキストに表象される家族モデル
 5.近代日本家族の集団性から脱却する家族社会学テキスト
   5―1. 選択したテキストの基本データ
   5―2. 選択したテキストに表象される家族モデル
 6.まとめ―家族主義からの「解放」
第7章 家族社会学の多様性
 1.家族社会学のテキストから読み取れる4つの物語
   1―1. _社会主義近代化およびその揺らぎにおける「モデル作成」問題
   1―2. _非西欧的資本主義近代化およびその揺らぎにおける「モデル作成」問題
 2.パラダイム転換がおきた日本と概念上の不一致
   2―1. パラダイム転換がおきた日本
   2―2. 概念の不一致
第8章 「競合する家族モデル」論の構築
 1.1980年代以降におけるテキスト作成の発展:4つのタイプ
 2.アイデンティティとしての家族
   2―1. イデオロギー的資源の絶対性・相対性をめぐって
   2―2. モデル作成の道・モデルの「均質性・異質性」問題
   2―3. 民主化言説の媒介的性格
   2―4. アイデンティティとしての家族
 3.「競合する家族モデル」論の要点
 4.家族社会学におけるパラダイム転換と今後の展望

参考文献
付録 テキストの内容(要約)
1.L. チェソンバティ(ハンガリー)
2.P. バンラキ(ハンガリー)
3.巫昌禎(中国)
4.潘允康(中国)
5.高淑貴(台湾)
6.蔡文輝(台湾)
7.森岡清美・望月嵩(日本)
8.目黒依子(日本)

謝 辞
索引(人名・事項)


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