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 人類社会の進化制度

制度 人類社会の進化

菊判 426ページ 上製
価格:4,620円 (消費税:420円)
ISBN978-4-87698-282-0 C3039
奥付の初版発行年月:2013年04月 / 発売日:2013年04月上旬

内容紹介

複雑な連鎖としての現代から議論しようとすると,【制度】の本質には迫れない。サルとヒトの共通祖先にまで遡って捉えてこそ,それは見えてくるのだ。言語を媒介しない「自然制度」にまで一旦遡行し,そこから,狩猟採集社会,より近代的な社会へと 分析することで,制度の起源に迫り,更にはヒトの社会関係の本質を捉えようとする秀作。

著者プロフィール

河合 香吏(カワイ カオリ)

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授
1961年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,理学博士.
主な著書に,『野の医療—牧畜民チャムスの身体世界』(東京大学出版会,1998年),『集団—人類社会の進化』(編著,京都大学学術出版会,2009年),『ものの人類学』(共編著,京都大学学術出版会,2011年)など.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 「集団」から「制度」へ —人類社会の進化史的基盤を求めて[河合香吏]
 1 「制度」を「人類社会の進化」の文脈で語ること
 2 人類進化学としての霊長類学はなぜ「制度」をあつかってこなかったのか2
 3 制度研究会の経緯
 4 本書の構成
 5 そして「他者」へ

第1部 制度の生成機序

第1章 制度が成立するとき[曽我 亨]
Keyword:対面的な他者,様々な「第三者」,ダンバー数,行為平面
 1 対面的行動と制度
 2 具体的な第三者による対面的行動の統制
 3 ヒトの制度的現象
 4 制度が成立する場所
第2章 死という制度 —その初発をめぐって[内堀基光]
Keyword:死ぬこと,チンパンジーの死,人間の死,死者,共同性
 1 死はどこからどこまでが制度か
 2 制度としての「死」の初発
 3 制度としての「死」の機能
 4 「死者」の反転
 5 制度以前と制度の円環的一体性へ —まとめとして
第3章 制度と儀礼化あるいは儀礼行動[田中雅一]
Keyword:日常実践,意図,正当化,ディスプレイ,強迫性障害
 1 日常実践と儀礼
 2 制度とは何か?
 3 儀礼論の系譜
 4 儀礼化をめぐって
 5 動物のディスプレイと個人儀礼について
 6 実践の束としての制度—おわりに
第4章 子ども・遊び・ルール —制度の表出する場を考える[早木仁成]
Keyword:ごっこ遊び,自然制度,他者理解,形式性
 1 遊びの本質としてのルール
 2 ルールのある遊びの源
 3 闘争遊びにみられる自己抑制と形式性
 4 ごっこ遊びのルール性
 5 遊びとルール,そして制度
第5章 教えが制度となる日 —類人猿から人への進化史的展望[寺嶋秀明]
Keyword:学習,教えない教育,メタ認知,心の理論,ステイタス機能
 1 学ぶことと教えること
 2 学びの原点
 3 なぜ人はもっと教えないのか
 4 学習と教師の役割
 5 心の理論・メタ認知・メタ学習
 6 制度と教育

第2部 制度表出の具体相

第6章 アルファオスとは「誰のこと」か? —チンパンジー社会における「順位」の制度的側面[西江仁徳]
Keyword:順位,記号(化),儀礼(化),慣習convention,自生的秩序spontaneous order
 1 チンパンジー社会における「順位」と「アルファオス」
 2 アルファオス失踪の顛末
 3 「過剰な」毛づくろいとパントグラント —「形式化した」=「儀礼的」相互行為
 4 「自生的秩序spontaneous order」としての「順位」
 5 「制度」の進化論へ向けて
第7章 共存の様態と行為選択の二重の環 —チンパンジーの集団と制度的なるものの生成[伊藤詞子]
Keyword:「みんな」/「私たち」,問題,行為選択,共存の様態,social集団,「そうするもの」
 1 共存の様態—離合集散システム
 2 みんながそうすること
 3 チンパンジーが出会うとき
 4 ごちゃまぜの世界
第8章 見えない他者の声に耳を澄ませるとき—チンパンジーのプロセス志向的な慣習と制度の可能態 [花村俊吉]
Keyword:離合集散,長距離音声,行為接続のパターン,慣習,場,プロセス志向
 1 言語のない世界における慣習
 2 チンパンジーの長距離音声・パントフートと離合集散
 3 「呼びかけ−応答」の意味を帯びた鳴き交わしのパターンと非対面下の出会い
 4 相互行為を試みる際の行為接続のやり方
 5 場の構成に続く行為接続のやり方の多様性
 6 プロセス志向的な慣習と場の生成変化
第9章 野生の平和構築 —スールーにおける紛争と平和の事例から制度を考える [床呂郁哉]
Keyword 制度Ⅰ,制度Ⅱ,紛争,平和,偶有性(contingency),サマ人
 1 近代主義的理解に束縛されない制度論へ
 2 事例分析—スールー海域世界における紛争とその処理
 3 象徴的回路による紛争処理
 4 出来事の民族誌—駆け落ち,紛争,病と死
 5 偶有的プロセスの集積としての制度
第10章 制度としてのレイディング —ドドスにおけるその形式化と価値の生成[河合香吏]
Keyword:東アフリカ牧畜民,レイディング,牧畜価値共有圏,情動と昂揚感,価値
 1 奪い,奪われる日常の中の制度
 2 ドドスにおけるレイディング
 3 「殺人」をめぐるメンタリティとレイディングの動機
 4 レイディングの肯定と牧畜価値共有圏の可能性
 5 価値の体現としてのレイディングとその進化史的意味の可能性—むすびにかえて

第3部 制度進化の理論

第11章 制度以前と以後を繋ぐものと隔てるもの[北村光二]
Keyword:問題への共同対処,相互行為システム,循環的な決定,禁止の規則,儀礼の規則
 1 対象の「意味」の識別と行為への「意味」の付与
 2 「もの」との関係づけと人間相互の関係づけにおける循環的な決定
 3 制度への道 —「禁止の規則」へと向かうルート
 4 制度への道 —「儀礼の規則」へと向かうルート
 5 「規則に従うこと」の成立と言語の獲得
第12章 役割を生きる制度—生態的ニッチと動物の社会[足立 薫]
Keyword:ニッチ,混群,役割,種間関係,場,コミュニケーション
 1 ニッチと行動選択の様相
 2 混群における役割
 3 ニッチの理論
 4 部分と全体の再帰的な決定を可能にする「場」
 5 ニッチから制度を考える
第13章 数学の証明と制度の遂行 —ケプラー方程式から出発する進化の考察[春日直樹]
Keyword:アナロジー,パターン,志向,遂行指令,正統化
 1 ケプラー方程式の証明を展開する
 2 証明を成り立たせる諸要素を考える
 3 方程式の証明と制度の遂行をつなげる
第14章 制度の基本構成要素 —三角形,そして四面体をモデルとする『制度』の理解[船曳建夫]
Keyword:三者間関係,四面体,象徴,意味空間,調整
 1 三者間関係
 2 第三者とならない第三項
 3 四面体モデル

第4部 制度論のひろがり

第15章 感情のオントロギー —イヌイトの拡大家族集団にみる〈自然制度〉の進化史的基盤 [大村敬一]
Keyword:〈自然制度〉,感情,言語,他者との共在,イヌイト,拡大家族集団
 1 出発点としての「言語なしの制度」論
 2 イヌイトの拡大家族集団の規則 —生業システムが産出する〈自然制度〉
 3 〈自然制度〉の条件 —自己意識,他者への自己投影,他者との共在の欲求
 4 原初的な〈自然制度〉 —他者との共在をめぐる感情と欲求の制度化
 5 感情のオントロギー —〈自然制度〉の進化史的基盤

第16章 「感情」という制度 —「内面にある感情」と「制度化された妬み」をめぐって [杉山祐子]
Keyword:感情,共にいること,内面にある感情,「いまここ」からの離脱,妬み
 1 共同認知の土台としての感情
 2 ベンバの村の共在空間
 3 表明される「怒り」と取り出される「怒りのできごと」
 4 「隠された感情」としての「妬み」
 5 「内面にある感情」と社会関係の操作可能性
 6 「いま,ここ」からの二様の離脱
第17章 老女は自殺したのか —制度の根拠をめぐる一考察[西井凉子]
Keyword:自殺,倫理,社会性,儀礼,否定性
 1 死と制度をめぐる別のアプローチ
 2 老女の死の状況
 3 老女は自殺したのか
 4 老女の死をめぐる村人の関心
 5 自殺と制度
 6 「時が至れば死ぬ」 —むすびにかえて
第18章 制度の進化的基盤 —規則・逸脱・アイデンティティ[黒田末寿]
Keyword:言語なしの制度の定義,規則の構造,逸脱,二次規則,規則の潜勢化,私たち型制度,間主観型制度
 1 拘束と逸脱/構造と非構造
 2 規則・制度の定義
 3 規則・制度が現れる構造

あとがき  [河合香吏]

索 引


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