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紛争と平和の政治社会史中世イタリアの地域と国家

プリミエ・コレクション20
中世イタリアの地域と国家 紛争と平和の政治社会史

A5判 上製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-87698-224-0 C3322
奥付の初版発行年月:2012年10月 / 発売日:2012年10月中旬

内容紹介

独特の自治都市政治文化の花が咲いた中世北イタリア。都市,農村,山岳部,そして「君主」を つなぐ人と地域がルネサンスの領域国家を生み出してゆく。その原動力を地域の紛争と平和創出の過程に求め,ミクロな争いが広域の秩序を形成するダイナミズムを析出する。紛争論の枠組みに新風を吹かし,西洋史の枠を越える意欲作。

著者プロフィール

佐藤 公美(サトウ ヒトミ)

1973年 山形県生まれ
1996年 京都大学文学部史学科卒業
2006年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程歴史文化学研究指導認定退学
2008年 京都大学にて博士(文学)の学位を取得
2012年 ミラノ大学にてdottore di ricerca in Storia medievaleの学位を取得
ブルーノ・ケスラー財団イタリア・ドイツ歴史学研究所(Fondazione Bruno Kessler, Istituto storico italo-germanico)共同研究員
現在 甲南大学文学部准教授

代表論文
「コムーネと広域秩序―一二・三世紀ロンバルディア・ピエモンテの都市間仲裁制」『史林』83巻5号,66―102頁,2000年。
「中世北イタリア《準都市》共同体の形成と発展―カザーレ・モンフェラートと在地紛争」『史林』89巻2号,36―67頁,2006年。
「一四世紀ヴィスコンティ国家下ベルガモにおける代官と代官区」『史林』90巻3号,1―34頁,2007年。
Fazioni e microfazioni: guelfi e ghibellini nella montagna bergamasca del Trecento, in
«Bergomum», 104―105 (2009-2010), pp.149―169.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章

第1章 コムーネと広域秩序 ―12・13世紀ロンバルディア・ピエモンテの都市間仲裁制
はじめに
第1節 研究の現状と課題
第2節 12・13世紀のロンバルディアとピエモンテ
第3節 コムーネ間の合意形成
1.協定実現の手順
2.協定への参加者
第4節 ピエモンテ都市の相互関係 ―アレッサンドリアとヴェルチェッリの事例から
第5節 都市間仲裁制の原理とミラノの役割
第6節 都市コムーネ間仲裁制の限界と農村部の問題
章括

第2章 《準都市》共同体の形成と発展 ―カザーレ・モンフェッラートと在地紛争
はじめに
第1節 中世集落カザーレの形成と発展の概要
第2節 中世カザーレの共同体組織とその秩序形成・維持機能
第3節 村落間紛争と共同体形成 ―カザーレとパチリアーノの紛争
1.紛争の展開
2.地域と紛争の主体
第4節 中世農村部集落における紛争の担い手
章括

第3章 代官と代官区 ―14世紀ヴィスコンティ国家下のベルガモ
はじめに
第1節 ヴィスコンティ国家と地域をめぐる研究の現状と課題
第2節 ベルガモ農村・渓谷条例集に見るヴィスコンティ国家代官と代官区
第3節 代官と在地社会の現実
章括

第4章 党派とミクロ党派 ―14・15世紀ベルガモにおける在地的グェルフィとギベッリーニ
はじめに
第1節 党派の構造
第2節 党派と在地的同盟網の展開
第3節 上からの平和と下からの平和 ―ヴィスコンティ国家による党派掌握の試みと党派の自立的秩序形成
第4節 “si poterant accipere de iure”. 在地的紛争抑止と平和維持の地域的試み
章括

第5章 在地的党派と地域形成 ―14世紀のベルガモ領域アルメンノとイマーニャ渓谷
はじめに
第1節 中世アルメンノおよびイマーニャ渓谷における所有と支配
第2節 境界紛争とコムーネ・教区・小教区
第3節 党派と地域をめぐる在地的人的結合関係
章括

終章 結論と展望

附章 研究史概観 都市コムーネから地域国家へ:
移行の契機とその歴史的特質,そして国家の歴史の方法論
1.都市コムーネからの「移行」問題
2.中近世イタリア地域国家論

あとがき
主要参考文献
欧文要約
索引


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