防災教育学の新機軸 まなび合いのアクションリサーチ
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-87354-755-8 C3037
奥付の初版発行年月:2022年11月 / 発売日:2022年11月下旬
災害が頻発する現代社会において、虚心坦懐にいのちをまなざす真の防災教育学が要請されている。本書では、時流に乗ってノウハウやハウツウの断片を押し付ける防災教育のありかたを倫理学的な観点から再検討し、人生におけるまなび合いの道程に防災学習を再定位する。豊富な実例を繙きながら理論と実践を往還する気鋭の書。
近藤 誠司(コンドウ セイジ)
関西大学社会安全学部教授。
1994年にNHK に入局。約20年間、ディレクターとして災害報道などに携わる。
NHK神戸放送局「震災メッセージ」シリーズの企画・制作で、2004年、総務省消防庁の「防災まちづくり大賞」(消防科学研究センター理事長賞)を受賞。
NHKスペシャル「メガクエイク 巨大地震 〜KOBE 15秒の真実〜」(2010年)で、
科学技術映像祭・内閣総理大臣賞、中華人民共和国・国際科学教育番組コンクール・銀獅子賞を受賞。
2013年に京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻(博士後期課程)指導認定退学、博士(情報学)。翌年NHK を退職し、関西大学社会安全学部安全マネジメント学科の助教となる。2015年に、同・准教授、2022年に、同・教授、現在に至る。
2018年度、日本災害情報学会・廣井賞(社会的功績分野)受賞。2019年度、ぼうさい甲子園グランプリ受賞。
2019年度・2020年度、ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)金賞を受賞。
人と防災未来センター・リサーチフェロー、日本災害復興学会理事、日本災害情報学会理事、社会貢献学会理事、地区防災計画学会幹事などを務める。
単著に『災害報道とリアリティ─ 情報学の新たな地平』(関西大学出版部、2022年)がある。当該著書の出版により、2022年度、日本災害情報学会・廣井賞(学術的功績分野)を受賞。
目次
序章 いのちの光粒子
1 いのちに対するまなざし
2 北風と太陽の弁証法
3 四次元のまなび合い
4 本書の構成
第1章 防災教育学の立脚点
1 倫理の虚構性
2 防災教育の当事者性
3 防災教育の偶有性
4 防災教育の余剰的同一性
5 防災教育学のポテンシャリティ
第2章 防災教育のアクションリサーチ
1 ともにコトをなすこと
2 校内防災放送プロジェクト
3 プロジェクトの直接的なインパクト
(1) 高学年児童の防災関心度の変化
(2) コンテンツ別の評価とデータの信頼性
(3) マンネリズムという壁に関して
(4) アクションによる影響の残存具合
(5) コロナ禍の影響をフィールド内で確かめる
4 実存的な意味におけるインパクト
5 学校現場へのインプリケーション
第3章 インクルージョンとオープンネス
1 「こども梧陵ガイド」プロジェクト
(1) 二次元、三次元、そして四次元へ
(2) “梧陵さん”を通したまなび合い
(3) 実践の直接的効果と波及的効果
(4) 効果の残存具合
(5) 四次元のまなび合いに向けて
2 国際理解教育とのリンク
(1) ホアマイの教訓
(2) 「ダイバーちゃん」と「ぼうさいぶらり旅」
3 食物アレルギー教育とのリンク
(1) “たまちゃん”の挑戦
(2) ひとまずの成果
4 オープン・プラットフォームのポテンシャリティ
(1) 教材動画のプラットフォーム
(2) 実践のインパクト
(3) 意図せざるインパクト
(4) 四次元の感染と連帯
第4章 教育効果の測定に関するチャレンジ
1 フォトボイス法による実践のバックチェック
2 防災川柳のアナリシス
3 CREDO 〜言葉のアクションリサーチ〜
第5章 防災を生きる
1 災害ボランティアからのまなび
(1) 災害ボランティアという経験
(2) IVUSA
(3) 質問紙調査の結果と分析
(4) 人生のなかの防災
2 フィールドワークからのまなび
(1) フィールドワークという経験
(2) フィールドワークのインパクト
3 防災活動からのまなび
(1) 若手の防災活動推進者の心的構造分析
(2) 生き様をまなぶ
終章 愛のかたち 〜試論 BACEV+Lモデル〜
あとがき
初出一覧
索引