大学生の学びを育むオンライン授業のデザイン リスク社会に挑戦する大学教育の実践
価格:2,530円 (消費税:230円)
ISBN978-4-87354-746-6 C3037
奥付の初版発行年月:2022年01月 / 発売日:2022年01月下旬
本書は、高等教育におけるオンライン授業を設計するための入門書である。大学教員は講義、実験、実習、外国語を「リアルタイム・オンデマンド・ハイブリッド型のオンライン授業」においてどのように実施しているのか。教育工学者による「理論編」では、オンライン授業を設計する際に、授業目標・学習のゴール、教育方法・学習活動、評価・フィードバックをどう行えばよいのか、また教員への教授支援、学生への学習支援について論じられている。大学教員19名による「授業実践」ではパンデミックをきっかけに実践されたオンラインでの授業事例が報告されている。質の高いオンライン授業を実践するために、理論と実践の往還を目指した1冊となっている。
目次:
はじめに(教育推進部 岩﨑千晶)
第1部 オンライン授業の設計に関する概論
第1章:リスク社会に対応できる大学教育を考える(久保田賢一)
第2章:オンライン授業における授業設計を考える(教育推進部 岩﨑千晶)
第3章:オンライン授業における評価方法を考える(総合情報学部 小柳和喜雄)
第4章:学習・授業を支えるFD・学習支援環境を考える(教育推進部 岩﨑千晶)
第2部 大学におけるオンライン授業のデザイン
第5章:オンライン授業による教養教育の展開(文学部 中澤務)
第6章:異文化コミュニケーション(総合情報学部 久保田真弓)
第7章:オンライン授業による政治学の初年次教育(法学部 石橋章市朗)
第8章:キャラクターの会話で学ぶ「ビジネス心理学」(社会学部 池内裕美)
第9章:初年次専門科目におけるオンライン講義「入門心理学」(社会学部 脇田貴文)
第10章:カリキュラム切り替えによる同一科目複数授業形態からの移行(システム理工学部 倉田純一)
第11章:人間健康論(ユーモア学・プログラム)(人間健康学部 森田亜矢子)
第12章:オンライングループワーク(教育推進部 三浦真琴)
第13章:グループプレゼンテーションを取り入れた初年次教育(教育推進部 岩﨑千晶)
第14章:入門レベルの中国語教育(外国語学部 山崎直樹)
第15章:英語教育(外国語学部 植木美千子)
第16章:日本語教育(国際部 古川智樹)
第17章:オンライン国際教育プログラム(国際部 池田佳子)
第18章:心理学実験(社会学部 関口理久子)
第19章:教育実習(文学部 若槻健)
第20章:映像制作実習(総合情報学部 岡田朋之・長谷海平)
第21章:システム理工学部における実験(システム理工学部 米津大吾)
第22章:大学院社会人学び直しプログラムにおける反転授業(会計研究科 柴健次)
第3部 まとめ
第23章:これからの大学におけるオンライン授業・学習支援環境のデザイン(教育推進部 岩﨑千晶)
おわりに(教育推進部・社会学部 関口理久子)
索引
岩﨑 千晶(イワサキ チアキ)
岩﨑千晶(いわさき ちあき) はじめに、第2章、第4章、第13章、第23章
関西大学教育推進部・教育開発支援センター副センター長、博士(情報学)。専門は教育工学であり、TA・LA などの学生スタッフ、ライティングセンター・ラーニングコモンズの活用を含めた高等教育における学習環境デザインについて研究をしている。主な著作に『大学生の学びを育む学習環境のデザイン―新しいパラダイムが拓くアクティブ・ラーニングへの挑戦―』(編著)関西大学出版部、2014年、『教育工学選書Ⅱ 教育工学における大学教育研究』(共著)ミネルヴァ書房、2020年など。
久保田賢一(くぼた けんいち) 第1章
関西大学名誉教授、大阪経済法科大学客員教授、NPO法人学習創造フォーラム代表、Ph. D. (Indiana University)。専門は学習環境デザイン、情報教育で、構成主義にもとづいた学習環境について、とくにICT を活用したアクティブラーニング、国際教育開発について研究している。主な著作に『大学教育をデザインする:構成主義に基づいた教育実践』(共編著)晃洋書房、2012年、『主体的・対話的で深い学びの環境とICT:アクティブラーニングによる資質・能力の育成』(共編著)東信堂、2018 年など。
小柳和喜雄(おやなぎ わきお) 第3章
関西大学総合情報学部教授、博士(教育学)。専門は教育工学、教育方法学であり、教育メディアを活用した教師教育の内容と方法に関する研究、およびメディア教育の内容と方法に関する研究をしている。主な著作に『教師の情報活用能力育成政策に関する研究』(単著)風間書房 2010 年、『Lesson Study(レッスンスタディ)』(教育工学選書II)(編著)ミネルヴァ書房、2017 年など。
中澤務(なかざわ つとむ) 第5章
関西大学文学部教授・教育推進部副部長、博士(文学)。専門は西洋古代哲学・倫理学であり、ソクラテス、プラトン、アリストテレスの哲学と倫理学を中心に、古代ギリシアの哲学・倫理思想全般について研究している。主な著作に『ソクラテスとフィロソフィア』ミネルヴァ書房、2007年、『哲学を学ぶ』晃洋書房、2017年など。
久保田真弓(くぼた まゆみ)第6章
関西大学総合情報学部教授、Ph.D(Indiana University)。専門は、コミュニケーション学、非言語コミュニケーションで、異文化やあいづち使用などを通して、経験や体験について現象学や記号論の観点から対人コミュニケーションを研究している。主な著作にKubota, M. (2020) The Effects of Learning Design Through Intercultural Exchange Based on Variation Theory, International Journal for Educational Media and Technology, 14(1):5―16、Kubota, M. (2019) “What is “Communication?” ― Beyond the Shannon & Weaver’s Model ― ” International Journal for Educational Media and Technology, 13(1) : 54―65 など。
石橋章市朗(いしばし しょういちろう) 第7 章
関西大学法学部教授、修士(法学)。専門は公共政策学であり、政府や自治体の政策過程や政策デザインについて研究を行っている。主な著作に『公共政策学』(共著)ミネルヴァ書房、2018 年、『ポリティカル・サイエンス入門』(共編著)法律文化社、2020 年など。
池内裕美(いけうち ひろみ) 第8章
関西大学社会学部教授、博士(社会学)。専門は、社会心理学・消費心理学であり、主にカスタマーハラスメントやモノのため込み(ホーディング)、買物依存といった「逸脱的消費者行動」に関する心理的メカニズムの規定因について研究をしている。主な著作に『消費者心理学』(編著)勁草書房、2018 年、「なぜ「カスタマーハラスメント」は起きるのか:心理的・社会的諸要因と具体的な対処法」『情報の科学と技術』2020 年、70(10):1―7 など。
脇田貴文(わきた たかふみ) 第9章
関西大学社会学部教授・入試センター副所長、博士(心理学)。専門は、心理調査法、心理計量学であり、それらの知見を踏まえて、医学分野、教育分野との協同研究を行っている。主な著作にWakita, T., Ueshima, N., & Noguchi, H. (2012)Psychological Distance between categories in the Likert scale: Comparing different numbers of options. Educational and Psychological Measurement, 72:, 533―546、浦上 昌則・脇田 貴文『心理学・社会科学研究のための調査系論文の読み方』(共著)東京図書、2008 年など。
倉田純一(くらた じゅんいち) 第10章
関西大学システム理工学部准教授、関西大学・大阪医科薬科大学医工薬連環科学教育研究機構 機構長、博士(工学)。専門は生活支援工学と計測制御であり、後発開発途上国の工学教育支援活動や異分野統合教育の実践にも力を入れている。学修歴の異なる学生群に対して共通した教材の開発などを進め、実践的に研究している。
著作に『大学生の学びを育む学習環境のデザイン―新しいパラダイムが拓くアクティブ・ラーニングへの挑戦―』(部分執筆)関西大学出版部、2014 年など。
森田亜矢子(もりた あやこ) 第11章
関西大学人間健康学部准教授(福祉コース・ユーモア学プログラム)、修士(人間行動学)。専門は心理学。辛く苦しい経験から立ち直り回復していく人の心の働きと、おかしみを感じる心の働きについて研究を行なっている。主な著作に「おかしみと可笑しみ:共生と笑いに関する試論」『笑い学研究』。2019 年、26:41―64、「心理的援助への笑いとユーモアの適用に関する研究の動向と課題:心理療法、精神疾患、ユーモアと笑いのセラピーに焦点をあてて」『笑い学研究』、2018 年、25:17―41 など。
三浦真琴(みうら まこと) 第12章
関西大学教育推進部教授、教育学修士。専門は教育社会学で、学習パラダイムの実現を目指し、学生の主体的な学びの創発を支援するための研究と実践をおこなっている。平成21年度に大学教育・学生支援推進事業【テーマA】に採択された「三者協働型アクティブ・ラーニングの展開」においてLA制度を構築。主な著作に『学生と楽しむ大学教育 大学の学びを本物にするFDを求めて』(部分執筆)ナカニシヤ出版、2013年、『グループワーク その達人への道』(単著)医学書院、2018年など。
山崎直樹(やまざき なおき) 第14章
関西大学外国語学部教授、文学修士。専門は中国語教育および外国語教育における学習設計で、現在は「外国語教育のユニバーサル・デザイン化」と「外国語教育におけるインクルージョン」を研究している。主な著書は「外国語学習のめやす:背景、理念、目標、方法論」『他者とつながる外国語授業を目指して:「外国語学習のめやす」の導入と活用』、田原憲和(編著)、三修社、pp.6―36、2019年、『辞書のチカラ:中国語紙辞書電子辞書の現在』(共編著)好文出版、2005年など。
植木美千子(うえき みちこ) 第15章
関西大学外国語学部准教授、博士(外国語教育学)。専門は外国語(英語)を学ぶ日本人英語学習者心理(動機づけや不安)であり、学習者の情意的側面がどのように第二言語(英語)習得やアイデンティ形成に影響を与えるのかをについて研究を行なっている。主な著作にThe Impact of Studying Abroad Experience on the Affective Changes Related to L2 Motivation: A Qualitative Study of the Processes of Change( Chapter 7).( 共著)In Apple. M., T. Da Silva, D., & Fellner, T.( Eds).
L2 Selves and Motivation in Asian Contexts (pp. 119―113). Multilingual Matters:
UK, 2016年、Validating the L2 Motivational Self System in a Japanese EFL Context: The Interplay of L2 Motivation, L2 Anxiety, Self-efficacy, and the Perceived Amount of Information.( 共著)Language Education & Technology, 49, pp.1―22. 2016年など。
古川智樹(ふるかわ ともき) 第16章
関西大学国際部准教授・国際教育センター副センター長、博士(文学)。専門は日本語教育学であり、留学生向けのビジネス日本語教育、ICT を活用した日本語教育実践(反転授業、ブレンディッドラーニング、eポートフォリオ等)を中心に研究を行っている。主な著作に『留学生教育の新潮流:関西大学留学生別科の実践と研究』(編著)関西大学出版部、2015年、「日本語教育における反転授業実践―上級学習者対象の文法教育において―」(共著)『日本語教育』164: pp.126―141、2016年など。
池田佳子(いけだ けいこ) 第17章
関西大学国際部教授、IIGE(グローバル教育イノベーション推進機構・副機構長)。Ph.D.(ハワイ大学/ 言語学)。専門は国際教育、マルチモーダル分析、会話分析、日本語教育、外国語教育で、多様・多層で、越境的、そして流動的な近未来社会におけるコミュニケーションのあり方を多岐にわたる社会的場面を対象に研究している。主な著作に「バーチャル型国際教育は有効か―日本でCOIL を遂行した場合―」日本学生支援機構、ウェブマガジン『留学交流』(2016 年10 月号)、「ITメディアと相互行為 ―第二言語で遂行するPBL 場面の一考察―」『インタラクションと学習』(部分執筆)、ひつじ書房、2017 年など。
関口 理久子(せきぐち りくこ) 第18章・おわりに
関西大学社会学部教授・教育開発支援センター長。専門は実験心理学で、自伝的記憶の想起の特性や感情との関連、自伝的記憶が精神的健康や自己の形成などに与える影響についての研究に取り組む。主な著書に『やさしいExcel で心理学実験』(共著)培風館、2011 年、『心理調査の基礎』(部分執筆)有斐閣、2017 年など。
若槻健(わかつき けん) 第19章
関西大学文学部教授・教職支援センター副センター長、博士(人間科学)。専門は、教育社会学であり、人権教育を基盤にして、学力格差の縮小をめざす学校・授業づくりと市民性教育の研究を行っている。主な著作に『未来を切り拓く市民性教育』(単著)関西大学出版部、2014 年、『学力格差に向き合う学校』(編著)明石書店、2019 年など。
岡田朋之(おかだ ともゆき) 第20章
関西大学総合情報学部教授、大阪大学博士課程人間科学研究科社会学専攻単位取得満期退学。専門はメディア論と文化社会学で、モバイルメディアとコミュニケーションの発展過程をたどる研究や、メディア・イベントとしての国際博覧会(いわゆる万博)におけるICT の利活用についての研究などに取り組む。主な著作に『ケータイ社会論』(共編著)有斐閣、2012年、『ポスト・モバイル社会』(部分執筆)世界思想社、2016年など。
長谷海平(はせ かいへい) 第20章
関西大学総合情報学部准教授、東京芸術大学大学院映像研究科博士後期課程単位取得退学。専門は映像表現であり、映画やVirtual Reality作品の制作研究ほか映像制作を通じた教育実践における学習デザインについて研究を行っている。主な著作に“Problems Related to the Practice of Video Education in Japan.” Journal of Cultural Research in Art Education, Vol.31: 196―209 (2014)、「アメリカにおける動画制作を通じた教育実践の始まりに関する調査」Screen Literacy Vol.1:43―51、新潟大学大学院現代社会文化研究科、2020年など。
米津大吾(よねつ だいご) 第21章
関西大学システム理工学部電気電子情報工学科准教授、博士(工学)。専門は数値電磁界解析であり、ワイヤレス給電・IH調理器の高効率利用、インバータ駆動電動機のノイズ対策、風力発電設備の耐雷設計、サンゴの成長促進のためのシミュレーションなどについて研究している。主な著作に『ワイヤレス・エネルギー伝送技術の最前線』(共著)NTS、2011年、『電磁界解析の高精度化技術』(共著)「電気学会技術報告」第1471 号、2020年など。
柴健次(しば けんじ) 第22章
関西大学大学院会計研究科教授、博士(商学)。専門は会計学で、企業及び政府の会計と開示の改善・普及の方法や会計の社会的役割を理解するための会計教育(特にリテラシー教育)のあり方を研究している。主な著作に『公共経営の変容と会計学の機能』(編著)同文舘出版、2016年、「会計基礎教育の必要性」『会計基礎教育の歴史と現況』(部分執筆)日本公認会計士協会、2019年など。
目次
はじめに(教育推進部 岩﨑千晶)
第1部 オンライン授業の設計に関する概論
第1章 リスク社会に対応できる大学教育を考える(久保田賢一)
第2章 オンライン授業における授業設計を考える(教育推進部 岩﨑千晶)
第3章 オンライン授業における評価方法を考える(総合情報学部 小柳和喜雄)
第4章 学習・授業を支えるFD・学習支援環境を考える(教育推進部 岩﨑千晶)
第2部 大学におけるオンライン授業のデザイン
第5章 オンライン授業による教養教育の展開(文学部 中澤務)
第6章 異文化コミュニケーション(総合情報学部 久保田真弓)
第7章 オンライン授業による政治学の初年次教育(法学部 石橋章市朗)
第8章 キャラクターの会話で学ぶ「ビジネス心理学」(社会学部 池内裕美)
第9章 初年次専門科目におけるオンライン講義「入門心理学」(社会学部 脇田貴文)
第10章 カリキュラム切り替えによる同一科目複数授業形態からの移行(システム理工学部 倉田純一)
第11章 人間健康論(ユーモア学・プログラム)(人間健康学部 森田亜矢子)
第12章 オンライングループワーク(教育推進部 三浦真琴)
第13章 グループプレゼンテーションを取り入れた初年次教育(教育推進部 岩﨑千晶)
第14章 入門レベルの中国語教育(外国語学部 山崎直樹)
第15章 英語教育(外国語学部 植木美千子)
第16章 日本語教育(国際部 古川智樹)
第17章 オンライン国際教育プログラム(国際部 池田佳子)
第18章 心理学実験(社会学部 関口理久子)
第19章 教育実習(文学部 若槻健)
第20章 映像制作実習(総合情報学部 岡田朋之・長谷海平)
第21章 システム理工学部における実験(システム理工学部 米津大吾)
第22章 大学院社会人学び直しプログラムにおける反転授業(会計研究科 柴健次)
第3部 まとめ
第23章 これからの大学におけるオンライン授業・学習支援環境のデザイン(教育推進部 岩﨑千晶)
おわりに(教育推進部・社会学部 関口理久子)
索引