大学出版部協会

 

計算機マテリアルデザイン先端研究事例2抵抗変化メモリの知的材料設計

大阪大学新世紀レクチャー
抵抗変化メモリの知的材料設計 計算機マテリアルデザイン先端研究事例2

A5判 78ページ 並製
価格:1,210円 (消費税:110円)
ISBN978-4-87259-255-9 C3050
奥付の初版発行年月:2012年09月 / 発売日:2012年09月下旬

内容紹介

統計的相関,力学的相関のため,金属中の電子はその周りに正孔を伴って運動している.金属から真空中へ電子を取り出そうとすると,この正孔が抵抗する.仕事関数の主な原因である.それでも,電子を取り出してしまうと,正孔が取り残される.これと電子間に鏡像力が働く.金属と真空との境界近傍の一つの現象である.

  絶縁体の電子の運動は,どうか.価電子帯の電子は正孔を伴っているのでエネルギーが低いが,伝導体の電子の周りには正孔がないのでエネルギーが高くなる.この差がバンドギャップの主な原因である.このような絶縁体と金属との境界付近では,金属電子が絶縁体の価電子帯の正孔を遮蔽するので,バンドギャップを消失する.界面近傍で見られる金属・絶縁体転移である.
 
  このように,異なる物質の境界では,電子状態の多様性を見出すことができる.物質を構成する原子も境界近傍では,多様な振舞いを見せる.ここで取り上げる抵抗変化メモリでは,このような電子・原子の多様性をうまく利用しようとしている.

  本著では,計算機マテリアルデザイン(CMDR)による先端研究事例Ⅱとして,抵抗変化メモリの知的材料設計をとりあげ,絶縁体のバンドギャップの変化や異なる物質の境界(電極/遷移金属酸化物界面)における電子・原子の状態変化が,どのようにデバイスの動作に結び付くのかについて紹介する.読者の皆様には,電子・原子といった微細なスケールから物理現象を明らかにし,デバイスをデザインする面白さを実感して頂きたい.

(本書はじめにより)



目次

1.序 論
1?1.計算機マテリアルデザイン
1?2.不揮発性メモリの発展
1?3.抵抗変化メモリの概要
1?4.抵抗変化メモリの課題

2.抵抗変化メモリの電子状態
2?1.緒 言
2?2.遷移金属酸化物の電子状態
2?3.電極の電子状態
2?4.電極/遷移金属酸化物界面の電子状態
2?5.結 論

3.抵抗変化メモリの動作原理の解明
3?1.緒 言
3?2.酸素欠損および電子トラップの役割
3?3.電極/遷移金属酸化物界面の抵抗変化

4.抵抗変化メモリのデザイン
4?1.緒 言
4?2.電極に用いる材料のデザイン
4?3.遷移金属酸化物材料のデザイン
4?4.動作原理の阻害要因の検討
4?5.結 論

5.総 括
5?1.抵抗変化メモリの動作原理と設計方法
5?2.シミュレーションによる知的設計

参考文献
付録 伝導パスの形成について
1.遷移金属内包カーボンナノチューブ
2.異種遷移金属酸化物薄膜
付録:参考文献
索 引






 


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。