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環大西洋革命期リヴァプールの奴隷解放論争人権論の光と影

楡文叢書
人権論の光と影 環大西洋革命期リヴァプールの奴隷解放論争

A5判 238ページ 上製
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8329-6880-6 C3022
奥付の初版発行年月:2021年12月 / 発売日:2021年12月下旬

内容紹介

国際的な奴隷貿易によって繁栄し、「黒人の血で塗り固められた」港湾都市リヴァプールに、奴隷解放運動の嵐が吹き荒れる。弁護士ロスコー、書籍商ラシュトンら多彩な人物に焦点を当てながら、その人権論の理念と帝国意識の関連を主張する野心作。

著者プロフィール

田村 理(タムラ タダシ)

1982年生まれ
北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)
現在 北海道大学文学研究院専門研究員

■主要論文
「イギリス奴隷貿易廃止運動史研究の射程:「ウィリアムズ理論」、「モラル資本」論をこえて」(『北大史学』50号、2010年).
「イギリス奴隷解放論の歴史的形成:リヴァプールにおける「反」奴隷解放運動(1788~93年)」(『西洋史学』251号、2013年).
「18世紀イギリス奴隷解放論争に見る人権理念と自由概念:リヴァプールの法曹ロスコーと書籍商ラシュトンの表現活動を手がかりに」(『北大史学』58号、2018年).

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 論 リヴァプールの奴隷解放論争
  補 説 「奴隷制」、「奴隷商人」、「奴隷解放運動」の定義


 第1部 奴隷解放論争の学説史

第1章 大西洋奴隷制はどう捉えられてきたか
 はじめに
 第1節 近代歴史学と戦後歴史学
 第2節 世界システム論、社会史、ポストコロニアリズム
 第3節 グローバル・ヒストリー
 第4節 構築主義
 おわりに


 第2部 奴隷解放論争の文脈

第2章 大西洋奴隷制はなぜ成立したか
 はじめに
 第1節 環大西洋世界の形成と展開
 第2節 大西洋奴隷制の成立経緯と内部構造
 おわりに

第3章 大西洋奴隷制とリヴァプール
 はじめに
 第1節 リヴァプールの発展
 第2節 リヴァプールの商人と民衆
 第3節 変化の風
 おわりに

第4章 奴隷解放論争はなぜ起こったか
 はじめに
 第1節 イギリス奴隷解放運動の発展
 第2節 イギリス奴隷解放運動の成因
 おわりに


 第3部 奴隷解放論争の分析

第5章 弁護士ロスコーの奴隷解放論
 はじめに
 第1節 ロスコーの半生と奴隷貿易問題
 第2節 ロスコーの奴隷解放論
 第3節 ロスコーの反奴隷制感情
 おわりに

第6章 書籍商ラシュトンの奴隷解放論
 はじめに
 第1節 ラシュトンの生涯
 第2節 ラシュトンの反奴隷制感情
 おわりに

第7章 奴隷商人の言い分
 はじめに
 第1節 奴隷解放反対運動の経緯
 第2節 リヴァプールの奴隷貿易存続論の特質Ⅰ:合法主義
 第3節 リヴァプールの奴隷貿易存続論の特質Ⅱ:聖書と理性
 おわりに

第8章 奴隷商人の「改心」
 はじめに
 第1節 1810年代のリヴァプール
 第2節 奴隷貿易廃止運動の再燃
 第3節 人権理念の優位
 第4節 帝国意識の浸透
 おわりに

結 論 奴隷解放論争の遺産


参考文献
あとがき
索 引


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