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メディアを横断するコンテンツと越境するファンダムコンテンツツーリズム

コンテンツツーリズム メディアを横断するコンテンツと越境するファンダム Contents Tourism and Pop Culture Fandom:Transnational Tourist Experiences

山村 高淑:編著・監訳, フィリップ・シートン:編著・監訳
A5判 410ページ 並製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-8329-6867-7 C3036
奥付の初版発行年月:2021年03月 / 発売日:2021年04月下旬

内容紹介

ジェーン・オースティンから芭蕉、映画、ゲーム、コスプレまで。コンテンツツーリズムの概念を海外のケースにも当てはめて再検討。これまでの国内研究を基礎としつつ、コンテンツツーリズムの越境的な側面とメディア横断的な側面を明らかにする。研究者・学生、必読の書。

著者プロフィール

山村 高淑(ヤマムラ タカヨシ)

北海道大学観光学高等研究センター・教授。博士(工学)。
2008年よりコンテンツツーリズムならびにアニメツーリズムの研究を行なう。観光庁「アニメコンテンツを活用したインバウンド振興等に関する意見交換会」座長、同庁「スクリーンツーリズム促進プロジェクト」WG座長、埼玉県「アニメツーリズム検討委員会」座長、同「アニメの聖地化プロジェクト会議」座長等を務める。
主な著作に、『世界遺産と地域振興』(張天新、藤木庸介との共編、世界思想社、2007)、『アニメ・マンガで地域振興』(東京法令出版、2011)、Japanese Popular Culture and Contents Tourism(P. Seatonとの共編,Routledge,2016)、Contents Tourism in Japan:Pilgrimages to “Sacred Sites” of Popular Culture(P. Seaton,A.Sugawa-Shimada and K. Jangとの共著,Cambria Press,2017)、‘Contents Tourism andLocal Community Response’,Japan Forum Special Edition 27(1)等がある。
ホームページは:http://yamamuratakayoshi.com
*訳担当:謝辞、まえがき、序章、第1~5章、第9~13章、結章、著者紹介

フィリップ・シートン(フィリップ シートン)

東京外国語大学国際日本学研究院・教授。博士(メディア・文化学)。
専門領域は、日本の歴史(1853年から1945年にかけての期間)を対象とした、戦争記憶とコンテンツツーリズムに関する研究。
主な著作に、Japan’s Contested War Memories(Routledge,2007)、Voices from the Shifting Russo-Japanese Border(S. Paichadzeとの共編,Routledge,2015)、Local History and War Memoriesin Hokkaido(Routledge,2016)、Contents Tourism in Japan(T. Yamamura,A. Sugawa-Shimada and K. Jangとの共著,Cambria Press,2017)、New Frontiers in Japanese Studies(A. Ogawaとの共編,Routledge,2020)。また、Japan Forum、Journal of War& Culture Studiesといった学術雑誌のゲストエディターを務めた。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

日本語版出版に当たって………山村高淑、フィリップ・シートン
謝辞………山村高淑、フィリップ・シートン
まえがき………スー・ビートン

序 章 アニメツーリズムからコンテンツツーリズムへ………山村高淑
 1.日本におけるコンテンツツーリズム研究の流れ
 2.国際的視座からのコンテンツツーリズム・アプローチの再検討
 3.〈コンテンツ化〉――メディア化と旅行実践を通した物語世界拡張のダイナミックなプロセス
 4.現代におけるツーリズム実践の多面的様相とコンテンツツーリズム・アプローチ
 5.本書の構成


 第1部 文学世界のコンテンツ化

第1章 ジェーン・オースティンのアメリカ人ファンとコンテンツツーリズム
                               ………フィリップ・シートン
 1.ジェーン・オースティンの世界への訪問――文学ツーリズムからコンテンツツーリズムへ
 2.イギリスにおけるオースティン・ファンのアメリカ人
 3.結論

第2章 コンテンツ・ブランドスケープの概念化
    ――ブロンテ・ブランド………マリー・タイン、グレッチェン・ラーセン
 1.はじめに
 2.ブランドスケープ
 3.コンテンツ・ブランドと場所のブランドの関係
 4.ブロンテのブランドスケープ
 5.場所のブランドスケープ
 6.コンテンツ・ブランドスケープ
 7.結語

第3章 『ウィッチャー』(The Witcher)
    ――小説シリーズとゲームが誘発するポーランドへのツーリズム
                       ………アレクサンドラ・ヤヴォロヴィチ-ジムニ
 1.はじめに
 2.『ウィッチャー』現象
 3.ポーランド文化の産物としての『ウィッチャー3』
 4.ポーランドにおける『ウィッチャー』観光と一般的な観光
 5.CD Projekt Redオフィス――ラッキーな人々のための旅
 6.世界中からファンを惹きつける『ウィッチャー』育成学校
 7.過去の『ウィッチャー』育成学校参加者へのアンケート
 8.結語

第4章 ハイジを旅する
    ――日本のアニメーション作品が生んだ越境型コンテンツツーリズム………山村高淑
 1.はじめに
 2.国境を越え、メディアを横断する『ハイジ』
 3.クリエイターたちによるスイスの旅
   ――ロケハンを通した原作『ハイジ』の物語世界へのアクセスとその再解釈
 4.ハイジの物語世界の再構築と相互参照ツーリズム
 5.結語


 第2部 コンテンツツーリズムの〈聖地〉におけるツーリスト行動

第5章 日本のファンタジーにおけるコッツウォルズと児童文学
    ――カースル・クームの事例………キャサリン・バトラー
 1.コッツウォルズにおける日本人のツーリズム
 2.カースル・クームにおけるコンテンツツーリズムの3形態
 3.結語

第6章 日本と台湾における妖怪ツーリズム………妙木 忍
 1.はじめに
 2.日本の怪遺産:境港、遠野、山城
 3.コミュニティにおける妖怪
 4.妖怪を通じた国際交流
 5.おわりに

第7章 コンテンツツーリズムと宗教的想像力………張慶在
 1.大衆文化のファンダムと宗教
 2.コンテンツツーリズムにおける巡礼の宗教的意味
 3.聖なるコンテンツとして『ラブライブ!』
 4.結論

第8章 コミュニケーションの場としての2.5次元舞台の劇場
    ――場所非特定型劇場ツーリズム………須川亜紀子
 1.序論
 2.2.5次元文化出現の主な要因
 3.2.5次元舞台と新しいタイプの劇場ツーリズム
 4.ファンの2.5次元劇場ツーリズムに関する質的研究
 5.結論

第9章 インドネシアにおけるコスプレ・ツーリズム………ラニー・ラスタティ
 1.インドネシアにおけるコスプレ現象の出現
 2.コスプレに対する社会の態度
 3.コンテンツツーリズムとしてのコスプレ
 4.インドネシア人コスプレイヤーの海外における行動
 5.結論


 第3部 巡礼としてのコンテンツツーリズム

第10章 国内映画に動機付けられた海外旅行
     ――タイ映画におけるコンテンツ化された〈韓国らしさ〉と韓国へのツーリズム
                                      ………金受恩
 1.韓流コンテンツにおける〈韓国らしさ〉
 2.タイにおけるコンテンツ化された〈韓国らしさ〉
 3.『アンニョン!君の名は』の事例
 4.結論

第11章 コンテンツツーリズム・イン・プレインサイト
     ――聖地としての航空機………クリス・フッド
 1.機体塗装と〈ラッピング文化〉
 2.日本の航空機
 3.日本の航空機とポピュラーカルチャー
 4.日本の航空機におけるコンテンツツーリズムを理解する
 5.結語

第12章 ブレイキング・ベンジャミン
     ――ある女性のニューメキシコへの巡礼………ステファニー・ベンジャミン
 1.アルバカーキにおける『ブレイキング・バッド』の商品化
 2.概念設計――コンテンツツーリズムと感覚的オートエスノグラフィー
 3.アルバカーキへの筆者の巡礼
 4.『ベター・コール・ソウル』――巡礼を続けるのか?

第13章 バンジョーから芭蕉まで
     ――詩人、コンテンツ、そしてツーリズム………スー・ビートン
 1.イントロダクション
 2.コンテンツツーリズムとしての詩
 3.詩が誘発するツーリズム
 4.オートエスノグラフィー
 5.オーストラリアの詩神からツーリズムの物語へ――A・B・“バンジョー”・パターソン
 6.様々なメディアによる『スノーウィー川から来た男』
 7.筆者にとって『スノーウィー川から来た男』の詩が意味するものとは
 8.日本初期の紀行作家と巡礼――松尾芭蕉
 9.芭蕉をめぐる筆者のオートエスノグラフィー体験――ツアーにて
 10.筆者にとって芭蕉の俳句が意味するものとは
 11.結語――ツーリズムにおける詩の力

終 章 21世紀における持続可能なコンテンツツーリズム………フィリップ・シートン
 1.持続可能なコンテンツツーリズムと政策的示唆
 2.コンテンツツーリズムと〈ドーナツ〉(The Doughnut)
 3.グローバルコンテンツ時代のツーリズム


索引
編者・著者・訳者紹介


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