大学出版部協会

 

ことばと博物館の出会い北のモノ・コト・ヒト

北のモノ・コト・ヒト ことばと博物館の出会い

A5判 452ページ 並製
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-8329-3416-0 C0039
奥付の初版発行年月:2022年11月 / 発売日:2022年12月中旬

内容紹介

北方少数言語の概要、危機言語、調査旅行記、北方諸言語・民族を扱った書籍の紹介、博物館報に掲載したエッセイ、「コトノハ(コト(意味内容)のハ(端、表れ・媒体))」考など、北方に少数言語を訪ね、危機言語や少数民族へあたたかなまなざしを注いできた著者の著述集。

著者プロフィール

津曲 敏郎(ツマガリ トシロウ)

1951年福岡県生まれ、北海道に育つ。
北海道大学文学部卒業、同大学院修了後、北海道大学助手、小樽商科大学助教授、同教授を経て、北海道大学大学院文学研究科教授、特任教授。北海道大学総合博物館館長を兼任。
北海道大学名誉教授。
北海道立北方民族博物館館長在任中に逝去(2020年)。
専門は北方少数民族言語学、特にツングース諸語の記述的・類型的研究。

■主要著書
(著書)『満洲語入門20講』2002年、大学書林
(編著)『北のことばフィールド・ノート』2003年、北海道大学図書刊行会
(翻訳)『ビキン川のほとりで』2001年、北海道大学図書刊行会
なお『北方人文研究第10号 津曲敏郎教授退職記念号』(2017年、北海道大学大学院文学研究科北方研究教育センター)に著者の著述目録が掲載されている。http://hdl.handle.net/2115/65827

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第1章 北のことばたち:北方言語概説
 1 北方の言語を旅する:失われゆくことばの多様性
 2 ツングースのことばと文化
 3 中国・ロシアのツングース諸語
 4 中国のツングース諸語
 5 日本語とツングース語
 6 アイヌの北の隣人たち ウイルタとニブフ
 7 口承文芸から見たサハリン先住民族
 8 セイウチの来た道:語源から探る
 9 ウデヘ語における中国語借用の一側面:チョウセンニンジン関係語彙を中心に
 10 シャマンの語源をめぐって

第2章 小さなことばのゆくすえ:危機言語
 1 北アジア諸言語は今:近代化と伝統のはざまで
 2 近代化と言語変容:ツングースの事例から
 3 言語の危機と21世紀言語学の課題
 4 書きことばの創生:少数民族が文字をもつとき
 5 無文字言語のゆくえ:北方少数民族言語はどう生き残れるか?
 6 民族自身による言語記録の重要性
 7 満洲語のことば遊び

第3章 ことばをめぐる旅:調査旅行記
 1 鄂温克の文化:日中共同学術調査から
 2 オルドスで見たサソリ
 3 中ロ国境にヘジェン語を訪ねて
 4 ナーナイ
 5 ウデヘの自分史との出会い
 6 デルスの見た星:ウイルタ~ナーナイ~ウデヘ
 7 デルス・ウザーラはどんなことばを話したか?

第4章 北の本を読む:書評・紹介・序文
 1 北方の諸言語を読む
 2 伝承文化の厚みと誇り
 3 単語に込められたウイルタの暮らし
 4 文献から生きた満洲語に迫る
 5 アルタイ諸語、ツングース語から日本語へ
 6 困難なフィールドに種が芽吹く喜び
 7 言語から伝統的生活を記録する
 8 先住民に寄せる暖かいまなざし
 9 もう帰れない場所に帰りたいと思う気持ち
 10 いま、アイヌの生き方に学ぶ:現代社会が失ったものを映す鏡として
 11 フィールドへの見果てぬ夢:黒田信一郎著『ギリヤークの社会構造』あとがきにかえて
 12 北への想い:『飛ぶ教室』3(2005 秋 特集 神沢利子の世界)
 13 海とタイガが結ぶ 大陸の交流ものがたり
 14 史実と記憶のはざま

第5章 北のモノ・コト・ヒト:北大言語、北大総博、北方博連載巻頭言等エッセイ
 1 言語学研究室のこと
 2 池上二良先生と北方言語への思い
 3 モノとコトの博物館
 4 言葉が世界を発見する
 5 北大総合博物館のアインシュタインドームと陶製レリーフ
 6 デルスの還る森
 7 カピタンの死
 8 「小さな夢」を引き継ぐ
 9 Arctic Circle 連載館長巻頭言「北のモノ・コト・ヒト」

第6章 コトノハをめぐって:退職記念講演ほか
 1 コトノハ考
 2 辺境の言語学:コトノハのハノトコ


解説にかえて(山越康裕)

参考文献
言語名索引


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。