古代ギリシアの宗教 On Greek Religion
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-1164-8 C3022
奥付の初版発行年月:2024年08月 / 発売日:2024年08月中旬
日常生活から哲学・文学・芸術、ポリスや王国の統治まで、ギリシア人の「文明」は実は宗教と切り離すことができない。神々や英雄に祭礼・祈りを捧げるなかで、人々は何を経験していたのか。人類学の知見や最新の考古資料も参照しながら、多様性に満ちた信仰の根幹をとらえた、第一人者による格好の案内。
ロバート・パーカー(ロバート パーカー)
Robert Parker
1950年イングランド生まれ。オクスフォード大学で博士号を取得。1996年に同大学ウィッカム古代史教授、2016年より同名誉教授、1998年より英国学士院会員。主著にAthenian Religion: A History (Oxford, 1996), Polytheism and Society at Athens (Oxford, 2005), Religion in Roman Phrygia: From Polytheism to Christianity (Oakland, Calif., 2023)など。
栗原 麻子(クリハラ アサコ)
1998年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、大阪大学大学院人文学研究科教授。著書に『互酬性と古代民主制──アテナイ民衆法廷における「友愛」と「敵意」』(京都大学学術出版会、2020年)がある。
竹内 一博(タケウチ カズヒロ)
2019年、アテネ国立カポディストリアス大学大学院哲学研究科博士課程修了。現在、ハーヴァード大学ギリシア研究センター研究フェロー。著書にOur Beloved Polites: Studies Presented to P. J. Rhodes(共著、Archaeopress、2022年)がある。
佐藤 昇(サトウ ノボル)
2006年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、神戸大学大学院人文学研究科教授。著書に『民主政アテナイの賄賂言説』(山川出版社、2008年)がある。
齋藤貴弘(サイトウ タカヒロ)
2000年、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、愛媛大学法文学部教授。著書に『はじめて学ぶ西洋古代史』(共著、ミネルヴァ書房、2022年)がある。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序 文
第1章 なぜ啓示も受けずに信じるのか
—— ギリシア宗教の証拠
証 拠
神託による啓示
書物の役割
神話の語られる場
神話と宗教
神話の不安定さ
儀礼と信仰
啓示としての倫理的な直感 —— 神はいかにあるべきか
神々についてどこまで発言の自由があったのか
第2章 教会を持たない宗教
—— ギリシアにおける宗教的権威
民会における聖なる用務
男神官と女神官
ポリス宗教
ずっとそうだったのか
第3章 ギリシアの神々を分析する
匿名の集合としての「神々」、名前のある神々、添え名のある神々
ローカルな神々の体系パンテオンの限られた多様性
自然の力と神格化された抽象概念
オリュンポス系と地下クトン系
神々のさまざまな「権能」—— 構造主義的アプローチ
まとめ —— ギリシアの神々の体系パンテオン
第4章 英雄たちの力と性質
英雄たちの性質
英雄たちの力
第5章 屠殺、饗宴、交信コミュニケーション
供犠の二面性 —— 饗宴としての供犠、交信としての供犠
変種の迷宮 —— 標準的でない食餌供犠の諸形態
供犠と集団
屠殺が問題となるところ —— 屠殺供犠と「供犠」の統一性の問題
「生食」とその他の特殊ワイルドな儀礼
エンドノート —— 死者のための流血を伴う供犠
第6章 祝祭の経験
祝祭の筋書きプロット —— 神の到来
神の死または消失
神の結婚?
「新生活」と季節
現在における過去 —— 縁起論エティオロジー
都市は自らを祝い、若者を祝う
無秩序で無礼な祝祭
社会の反転
畏れと恐怖?
祝祭と役の割当
祝祭と歴史
第7章 ギリシア人の宗教的経験の多様性
場 所
社会的な立場
ジェンダー
特殊なニーズ —— アキレウス、ディオメデス、そして船乗り
「公的」宗教にみる多様性
私的な結社
秘 儀
誕生としての死 —— 来世への高い希望
呪縛と呪術
御意のままに
補 論
補論1 祭祀に関しての神への助言うかがい
補論2 新しい神を受け入れること
補論3 人間を崇拝すること、および神々の本性
補論4 地下系神格への供犠のタイプ?
補論5 英雄祭祀の初期の歴史
謝 辞
日本語版へのあとがき
訳者あとがき
註
参考文献
索 引