市場経済の世界史 見えざる手をこえて The Invisible Hand? How Market Economies have Emerged and Declined Since AD 500
価格:5,940円 (消費税:540円)
ISBN978-4-8158-1159-4 C3022
奥付の初版発行年月:2024年07月 / 発売日:2024年07月下旬
ユーラシアにおける市場経済の展開を、中世に遡る超長期的スケールと、異なる地域・時代を包摂する統一的視座で捉え、成長から自壊に至るメカニズムを、気候変動や感染症ではなく市場内部の性質から解明。歴史を理解する枠組みを大胆に刷新し、近代と経済をめぐる数々の通説に挑む。
B・ファン・バヴェル(ビー ファン バヴェル)
Bas van Bavel
1964年生まれ。現在、ユトレヒト大学人文学部卓越教授。2019年、経済史家としての優れた業績が認められ、オランダの傑出した科学者に与えられるスピノザ賞を受賞。経済学的な理論と緻密な実証研究のコラボレーションを通じ、経済成長と社会変容にかんする比較史的分析を多数行っている。著書に、Manors and Markets: Economy and Society in the Low Countries, 500-1600(Oxford University Press, 2010).
友部 謙一(トモベ ケンイチ)
現在 一橋大学名誉教授・特任教授
著書 『前工業化期日本の農家経済』(有斐閣、2007年)他
加藤 博(カトウ ヒロシ)
現在 一橋大学名誉教授
著書 『私的土地所有権とエジプト社会』(創文社、1993年)他
大月 康弘(オオツキ ヤスヒロ)
現在 一橋大学大学院経済学研究科教授
著書 『帝国と慈善 ビザンツ』(創文社、2005年)他
田口 英明(タグチ ヒデアキ)
現在 湘南工科大学総合文化教育センター准教授
論文 「河内屋可正の経済思想」(『日本経済思想史研究』23号、2023年)他
目次
日本語版への序
はしがき
第1章 序 論
—— 経済学および歴史学における市場
1 市場とその歴史記述、そして従来の諸前提
2 市場の近代性に関して —— 近年の歴史研究の見解
3 市場への新たなアプローチ —— 本書〔の視点〕
4 市場経済の事例
第2章 中世初期の帝国における市場
—— 500〜1100年のイラク
1 経済発展の大まかな輪郭
2 社会反乱と、5世紀~8世紀半ばにおける生産要素市場の成長
3 ダイナミックな生産要素市場と、8世紀後半~10世紀に高まる社会的不平等
4 9~11世紀に経済・政治・社会が受けた長期的影響
第3章 中世都市国家における市場
—— 1000〜1500年の中部および北イタリア
1 11~13世紀の生産要素市場の出現
2 14世紀初頭~15世紀半ばにおけるダイナミックな生産要素市場の組織・背景・
影響
3 変わりゆく市場の社会的背景 —— 15~16世紀の権力と財産
4 経済、農業、そして人口への影響
第4章 中世後期から近代初期の公国群における市場
—— 1100~1800年の低地諸国
1 12~14世紀における生産要素市場の出現およびそれ以前の社会的背景
2 13~15世紀における生産要素市場の出現
3 15世紀~16世紀半ばにおけるダイナミックな生産要素市場の機能と影響
4 16世紀半ば~17世紀におけるダイナミックな生産要素市場の影響
第5章 エピローグ 近代国家における市場
—— 1500〜2000年のイングランド、アメリカ合衆国、そして西ヨーロッパ
1 1500~1800年のイングランドと北米植民地
2 1800〜1950年におけるイングランドの衰退とアメリカ合衆国の成長
3 1950年以降の、シンクロし、生産要素市場によって支配される西洋世界
第6章 結 論
—— 市場経済と、長期的な繁栄や平等、そして意思決定への幅広い参加との間
の根本的な不和
1 サイクル
2 サイクルとその特徴的な側面、そして長期的発展の理論
3 時間と空間のサイクル
注
訳者解説
参考文献
索 引