失業を埋めもどす ドイツ社会都市・社会国家の模索
価格:7,480円 (消費税:680円)
ISBN978-4-8158-1103-7 C3022
奥付の初版発行年月:2022年11月 / 発売日:2022年11月中旬
失業はいかにして発見され、社会政策の中心課題になったのか。繰り返し大量失業に悩まされたドイツにおいて、都市が国家に先駆けてセーフティネット構築をはかる姿を初めて解明、慈善団体や国家との対抗/連携の過程も鮮やかに捉えて、労働をめぐるモダニティの大転換を、現代も視野に描き出す。
目次
序 章 失業の再埋め込みとドイツ都市ガバナンスの変遷
第I部 社会都市の時代
第1章 「都市の社会的課題」とはなにか
――社会都市形成の規範理念
はじめに
1 社会都市の形成
2 市民的社会改良運動と社会政策学会
3 「都市の社会的課題」
4 「都市の社会的課題」としての労働者保護
小括
第2章 失業者救済は「都市の社会的課題」か
――失業保険の主体をめぐって
はじめに
1 都市失業保険の展開
2 模索する大ベルリン
3 ドイツ都市会議の「失業保険に関する綱領」
4 大ベルリンにおける帰結
小括
第3章 エピデミックによる失業の「発見」
――民間慈善と職業紹介
はじめに
1 ハンザ都市の世紀転換期
2 コレラ大流行と職業紹介
3 公共職業紹介システムの展開
4 女性労働市場への進出
小括
第II部 総力戦体制と社会国家の成立
第4章 相反する「城内平和」理念
――戦時失業扶助をめぐる公私の交錯
はじめに
1 総力戦体制と失業問題
2 ハンブルク戦時救済(HK)の発足と失業扶助
3 戦時失業扶助の展開と職業紹介システムの再編
4 公的失業者救済への道
小括
第5章 社会都市から社会国家へ
――ライヒ失業扶助の展開
はじめに
1 ライヒ失業扶助の導入
2 ハイパーインフレと大量失業
3 ライヒ扶助義務令と都市自治体
4 合理化による構造的大量失業
小括
第III部 危機下の社会国家と都市自治体
第6章 中央集権化に抗って
――ライヒ失業保険の「破綻」がもたらしたもの
はじめに
1 ライヒ失業保険と都市自治体
2 ライヒ失業保険の「破綻」
3 ライヒ公団『報告書』をめぐる相克
4 ドイツ都市会議の新ライヒ失業扶助構想
小括
第7章 労働の「経済的・社会的・倫理的課題」
――雇用創出をめぐるポリティクス
はじめに
1 労働力の活用と社会衛生学
2 労働扶助・義務労働の展開
3 ライヒ雇用創出政策の影響
4 メイクシフト・エコノミーの諸相
小括
終 章 「長い20世紀」における失業の再埋め込み
あとがき
注
参考文献
図表一覧
索 引