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マクロ経済学の革新を求めてポスト・ケインズ派経済学

ポスト・ケインズ派経済学 マクロ経済学の革新を求めて

A5判 352ページ 上製
価格:5,940円 (消費税:540円)
ISBN978-4-8158-0862-4 C3033
奥付の初版発行年月:2017年03月 / 発売日:2017年03月上旬

内容紹介

資本主義経済の不安定性を解明したミンスキーなど、近年あらためて注目を集めるポスト・ケインズ派。その核心をなす貨幣・金融理論および成長・分配理論の着想源や展開過程を解き明かし、最新の動向を踏まえて学派の全体像に迫るとともに、新自由主義に代わる経済政策を展望する挑戦の書。

著者プロフィール

鍋島 直樹(ナベシマ ナオキ)

1963年 鹿児島県に生まれる
1987年 早稲田大学教育学部社会科学専修卒業
1993年 一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学
    富山大学経済学部助教授などを経て
現 在 名古屋大学大学院経済学研究科教授,京都大学博士(経済学)
著訳書 『ケインズとカレツキ――ポスト・ケインズ派経済学の源泉』
    (名古屋大学出版会,2001年,
     第1回経済学史学会研究奨励賞受賞)
    『現代資本主義への新視角――多様性と構造変化の分析』
    (共編著,昭和堂,2007年)
    『入門社会経済学――資本主義を理解する[第2版]』
    (共著,ナカニシヤ出版,2010年)
    M. C. ソーヤー
    『市場と計画の社会システム――カレツキ経済学入門』
    (共訳,日本経済評論社,1994年)
    G. ドスタレール
    『ケインズの闘い――哲学・政治・経済学・芸術』
    (監訳,藤原書店,2008年)
    J. A. クレーゲル
    『金融危機の理論と現実――ミンスキー・クライシスの解明』
    (共訳,日本経済評論社,2013年)他

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 正統派経済学への挑戦
     1 本書の目的
     2 経済学史というアプローチ
     3 ケインズ経済学の興隆と退潮、そして再生へ
     4 本書の構成

  第Ⅰ部 ポスト・ケインズ派経済学の歴史と現状

第1章 ポスト・ケインズ派経済学の史的展開
       —— ケインズとカレツキの統合に向かって
     はじめに
     1 ポスト・ケインズ派経済学には一貫性があるのか
     2 ケインズとカレツキの現代的加工
     3 ケインズ = カレツキ総合の可能性
     4 ポスト・ケインズ派経済学の将来

第2章 ポスト・ケインズ派経済学の方法と理論
     はじめに
     1 異端派経済学としてのポスト・ケインズ派経済学
     2 ポスト・ケインズ派の経済理論
     3 ポスト・ケインズ派経済学の進路
     補論 日本におけるポスト・ケインズ派経済学

第3章 ケインズおよびポスト・ケインズ派の経済政策論
       —— 「投資の社会化」 論を中心に
     はじめに
     1 ケインズにおける 「投資の社会化」 論の展開
     2 21世紀のケインジアン経済政策に向けて
     おわりに

  第Ⅱ部 ポスト・ケインズ派における貨幣・金融理論の展開

第4章 ポスト・ケインズ派貨幣経済論の回顧と展望
     はじめに
     1 「生産の貨幣理論」 に向かって
     2 貨幣経済における失業の原因
     3 内生的貨幣供給理論の展開
     4 内生的貨幣の一般理論
     5 今日の課題 —— 「ニュー・コンセンサス」 への対抗

第5章 現代主流派マクロ経済学の批判的考察
       —— 「貨幣的分析」 の視点から
     はじめに
     1 ニュー・コンセンサス・マクロ経済学の基本的枠組み
     2 ニュー・コンセンサスに対するポスト・ケインズ派の批判
     3 「自然利子率」 の概念をめぐって
     おわりに

第6章 金融化と現代資本主義 —— 新自由主義の危機をどう見るか
     はじめに
     1 アメリカ資本主義の歴史的進化
     2 金融化とマクロ経済
     3 新自由主義の危機
     4 グローバル・ケインジアン・ニューディールに向かって
     おわりに

  第Ⅲ部 ミンスキーの金融不安定性理論の可能性

第7章 ミンスキーの逆説 —— 金融不安定性仮説の射程
     はじめに
     1 ミンスキーの投資理論
     2 安定性が不安定性を生み出す
     3 経済政策の費用と便益
     おわりに

第8章 金融的動学と制度的動学 —— ミンスキーの資本主義経済像
     はじめに
     1 資本主義経済の金融的動学
     2 不安定な経済を安定化する
     3 抑止的システムの二面的性格
     おわりに

第9章 金融不安定性仮説の意義と限界
       —— アメリカ・ラディカル派の視角から
     はじめに
     1 「ハリネズミ・モデル」 の限界
     2 新自由主義時代における経済危機の基本的性格
     3 世界金融危機をどう解釈するか
     4 経済危機の理論の統合に向けて

  第Ⅳ部 カレツキと現代経済

第10章 カレツキの資本主義経済論
     はじめに
     1 「一般理論」 の独立の発見
     2 価格と分配の独占度理論
     3 利潤と国民所得の決定
     4 投資と景気循環
     5 完全雇用の政治経済学
     6 カレツキ経済学の可能性
     補論 カレツキの生涯

第11章 カレツキのマクロ経済学の核心
       —— 「有効需要の理論」 の意義と可能性
     はじめに
     1 「一般理論」 の同時発見
     2 パティンキンの異義ををめぐって
     3 カレツキの 「擬似均衡」 モデル
     4 経済成長の源泉はどこにあるのか
     おわりに

第12章 カレツキの経済政策論 —— 完全雇用の政治経済学
     はじめに
     1 カレツキと社会主義
     2 完全雇用の実現のために
     3 ケインズ主義との交錯
     4 資本主義のもとでの永続的な完全雇用は可能か
     5 カレツキの教訓

終 章 ポスト・ケインズ派経済学の課題と展望
     1 ケインズ主義から新自由主義へ
     2 ケインズとカレツキを超えて
     3 ポスト・ケインズ派経済学の到達点
     4 現在の危機にどう立ち向かうか


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