生態人類学は挑む MONOGRAPH8
狩猟採集社会の子育て論 クン・サンの子どもの社会化と養育行動
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-8140-0428-7 C3339
奥付の初版発行年月:2022年08月 / 発売日:2022年08月中旬
「ヒト本来の子育て」がみられるとされる狩猟採集社会。しかし彼らの子育ては本能や遺伝的差異というよりは、子どもと養育者そして環境が織りなすコミュニケーションから創造されていた。授乳パターンや赤ちゃん体操を分析し、遊びと模倣が調和を生む多様な「子育て」に迫る。
高田 明(タカダ アキラ)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了、博士(人間・環境学)。主な著作に、Narratives on San Ethnicity: The Cultural and Ecological Foundations of Lifeworld among the !Xun of North-Central Namibia. Kyoto University Press. 2015. 『相互行為の人類学―「心」と「文化」が出会う場所』(新曜社、2019年)、The ecology of playful childhood: The diversity and resilience of caregiver-child interactions among the San of southern Africa. Palgrave Macmillan. 2020.などがある。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
第1章 生業活動と子育て
1 はじめに
2 サンの民族誌的背景
3 生態人類学の成立
4 ジュホアンの子育て
5 狩猟採集社会における子育ての多様性
6 本書の構成
第2章 サンの文化・生態学的な多様性
1 ナミビアへ
2 子育ての文化・生態学的環境
3 ナミビア北中部のクン
4 フィールドワークの概要
第3章 授 乳
1 ジュホアンの授乳パターンの進化史的な意義
2 授乳にかかわるクンの養育者―子ども間相互行為
3 他の社会における授乳に関する民族誌的研究
4 社会システムを構成する個体発生的発達
5 授乳をめぐる生物・文化・生態学的構造
6 ヒトの授乳パターンの条件的適応
第4章 ジムナスティック
1 ジュホアンの赤ちゃん体操?
2 ジムナスティックにかかわるクンの養育者―子ども間相互行為
3 他の社会におけるジムナスティックに関連する民族誌的研究
4 ジムナスティックによる責任の形成
5 身体化された乳児のケアの文化的構築
6 身体的相互行為の進化と遊び
第5章 初期音声コミュニケーション
1 ジュホアンにおける音声コミュニケーション
2 クンの初期音声コミュニケーション
3 他の社会における初期音声コミュニケーションに関する民族誌的研究
4 音響刺激の組織化と子どもの社会化
5 初期音声コミュニケーションの文化的構造
6 進化と初期音声コミュニケーションの構造化
第6章 子ども集団活動
1 ジュホアンの多年齢子ども集団活動
2 クンの多年齢子ども集団活動
3 他の社会における子ども集団活動に関する民族誌的研究
4 多年齢子ども集団への/を通じた社会化
5 多年齢子ども集団のレジリエンス
6 長期にわたる協力的な子ども期の誕生
第7章 子育ての生態人類学再訪
1 クンの子育て
2 生業活動と子育て再考
3 遊びと模倣
あとがき
参考文献
索引