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 脳は動作をどうコントロールするかタイミングの科学

学術選書101
タイミングの科学 脳は動作をどうコントロールするか

四六判 288ページ
価格:1,980円 (消費税:180円)
ISBN978-4-8140-0380-8 C1347
奥付の初版発行年月:2022年01月 / 発売日:2022年01月下旬
発行:京都大学学術出版会  
発売:京都大学学術出版会
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内容紹介

飛んでくるボールの球筋を予測し、それに合わせてバットを振る。「せーの」で机の端と端を持って運ぶ。私たちは日々の活動の中で無意識に身体運動のタイミングをコントロールしているが、これは知覚系と運動系にまたがる様々な中枢に関与し、動作を時間的に制御する高次な認知活動だ。「江夏の21球」やリオ五輪のリレー銀メダルをもたらしたタイミングの正体とは何か。脳イメージングの発達に伴い近年飛躍的に解明が進んだタイミングの科学の最前線を紹介する。

著者プロフィール

乾 信之(イヌイ ノブユキ)

鳴門教育大学名誉教授。Associate Editor of Perceptual and Motor Skills(SAGE Publishing, USA)。1953年徳島県鳴門市生まれ。横浜国立大学教育学部、広島大学教育学研究科(教育学修士)、岐阜大学医学研究科(医学博士)で学んだ後、岐阜大学助手、愛知県立大学助教授、鳴門教育大学教授、オーストラリア神経科学研究所客員シニア・フェローを経て現在に至る。
専門:知覚-運動制御論、教育神経科学
【主な著書】
Interpersonal coordination: a social neuroscience approach (2018) Springer(単著)、Systematic changes in body image following formation of phantom limbs (2016) Springer(単著)、運動行動の学習と制御(2006)杏林書院(分担執筆)、運動学習とパフォーマンス(1994)大修館書店(共訳)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第1章 練習の科学―スポーツにおける見越し反応
 リレーのバトンパスは何を練習するのか?
 スポーツは見越し反応が出るまで練習しなければならない
 熟練者が獲得する能力とは―アクション・シミュレーション
 観察学習は有効か?
 アスリートは何を見て結果を予測するのか?
 ミラーニューロンがからだの動きから結果を予測する
 アスリートはフェイントをどのように見抜くのか?
 ミラーニューロンがフェイントを見抜く

Topic I ルリアの患者―言語行為におけるタイミングの崩壊
 系列動作ができない
 物語ができない
 動詞が脱落する
 句読点が欠落する

第2章 「からだで覚える」記憶の科学―運動プログラム概念50年の成果
 運動プログラム概念の誕生
 筆跡はどの身体部位で書いても似ている
 感覚情報がなくても動作は遂行できる
 バッティングは途中で止められない
 動作系列が長くなると単純反応時間も長くなる
 動作系列が長くなっても選択反応時間はなぜ変わらないか?
 タイピングは指の解剖学的特徴に影響されるか?
 「間」とは―相対的タイミング
 運動プログラムは状況変化に伴いキャンセルされる
 運動プログラムの変更が「江夏の21球」を演出した

Topic II 走り出す前の心拍の高鳴りとは―呼吸・循環系の見越し反応
 循環系は動作に先行して働き始める
 呼吸系も動作に先行して働き始める
 何が呼吸・循環系の見越し反応をもたらすのか?

第3章 敏捷の科学―反応時間を左右する要因
 単純反応時間は〇・二秒
 聴覚反応は視覚反応より速い
 ブラインドサッカーは空間表象を作れるのか?
 反応時間は選択数の増加に伴って延長する
 反応時間の延長は選択数に比例するか?
 系列反応はなぜ単純反応より速いのか?
 子どもの系列反応は見越しが行き過ぎる
 中高年者の系列反応は見越し反応が出ない
 高齢者はなぜ自己ペース動作が変動するか?
 高齢ドライバーの危うさ
 自閉症者は見越し反応、ダウン症者は遅延反応

Topic III 人間の時間的枠組み
 パーキンソン病のふるえは人間固有のリズムか?
 私の発意と脳の意思決定はどちらが先か?
 主観的「現在」は何秒間か?

第4章 タイミングと力の科学―独立性と相互作用の狭間で
 タイミングと力は異なる系で制御されているか―感覚刺激に対する動作の場合
 タイミングと力はどちらが変動しやすいか―自己ペースの動作の場合
 「力を入れる時」と「抜く時」のどちらが変動しやすいか?
 片手動作と両手動作はどちらが変動しやすいか?
 タイミングと力の制御に上下関係はあるのか?
 ピアニストはタイミングと力を別々に制御できるか?

Topic IV タイミングと力発揮を担う中枢
 タイミングを担う中枢はどこか?
 運動野における力発揮のメカニズム

第5章 チームプレーの科学―協働動作のタイミングと力の制御
 チンパンジーはチームプレーで課題を達成できるのか?
 社会脳仮説から協働動作課題を考案する
 チーム全体の変動を抑えるために個人を変動させる
 二人は一人よりパフォーマンスが高いのか?
 リーダとフォロアーの決め手は何か?
 チームプレーにおける「掛け声」の役割は何か?
 チームプレーしながら「手抜き」する人はいるのか?
 両手はチームの部分、片手の全体として振舞う

Topic V 動作文化としての舞と踊りのリズム
 江戸時代はどう歩いていたのか?
 舞と踊りは異なる舞踊
 なぜ農耕民の舞は二拍子、遊牧民の踊りは三拍子なのか?
 日本の舞踊は頸反射に基づくナンバを利用する

神経解剖学的散策1:二つの視覚経路
神経解剖学的散策2:神経系の系統発生
神経解剖学的散策3:ブレーキが効き過ぎるパーキンソン病
神経解剖学的散策4:からだの記憶を担う小脳

あとがき
引用文献
索引


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