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大学と社会を結ぶ科学コミュニケーション

大学と社会を結ぶ科学コミュニケーション

A5判
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-7985-0270-0 C3036
奥付の初版発行年月:2019年09月 / 発売日:2019年09月中旬

内容紹介

わが国の科学技術イノベーション政策の根幹を規定した「第4期科学技術基本計画」(2011年8月19日閣議決定)には、「社会と科学技術イノベーションとの関係深化」という一節が設けられている。そこには、国民と政府、研究機関、研究者との間で認識を共有することができるよう、双方向のコミュニケーション活動を積極的に推進していくことが重要であると記載されている。

このような国民と科学研究の担い手をつなぐ双方向のコミュニケーション活動は、一般的に「科学コミュニケーション活動」と呼ばれている。そのような活動を活発化させることによって、国民の科学技術理解が増進され、研究者など科学研究の担い手の側は社会的リテラシーを増大させることができると期待されている。

では、どうすれば、そのような双方向の科学コミュニケーション活動を活発化させることができるのだろうか。特にわが国の大学及び公的研究機関の内部ではどのような努力が求められるのだろうか。これらを明らかにすることが、本書の目的である。

著者プロフィール

小林 俊哉(コバヤシ トシヤ)

九州大学科学技術イノベーション政策教育研究センター准教授
早稲田大学大学院社会科学研究科修士課程修了
東北大学大学院工学研究科博士課程後期修了
学位:工学(博士、東北大学)

日経ピーアール、電通サドラー&ヘネシー等の広告会社勤務を経て、1992年から2002年まで
財団法人未来工学研究所において科学技術政策、環境政策研究等に従事。2002年から2004年
まで東京大学先端科学技術研究センターの特任助教授として先端科学技術研究戦略研究に従事。
2004年から2009年まで北陸先端科学技術大学院大学科学技術開発戦略センター助教授、准教
授を歴任。2009年6月より富山大学地域連携推進機構特命教授を経て、2012年4月より現職。
科学技術社会論学会理事。

著書に『ロシアの科学者』(単著 東洋書店 2005年)、『ラボラトリー=スタディーズをひらく
ために―日本における実験系研究室を対象とした社会科学研究の試みと課題』(伊藤泰信 編
第7章を執筆 JAIST Press 2009年)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 序

第1章 科学コミュニケーションの歴史と課題

 1.1 科学コミュニケーションの定義
 1.2 科学コミュニケーションの歴史
 1.3 科学技術基本計画と科学コミュニケーション
 1.4 科学コミュニケーション研究の課題
 1.5 本章のまとめ

第2章 大学及び公的研究機関における科学コミュニケーション活動の実態

 2.1 質問票調査の概要
 2.2 調査項目の設計
 2.3 調査結果の概要
 2.4 本章のまとめ

第3章 大学及び公的研究機関向け質問票調査結果の統計解析(1)
   ――広報体制と研究者の協力  

3.1 科学コミュニケーション活動への研究者の協力要因
3.2 統計解析の方法
3.3 分析結果
3.4 本章のまとめ

第4章 大学及び公的研究機関向け質問票調査結果の統計解析(2)
   ――報道機関との連携、危機管理と研究者の協力  

4.1 報道機関との連携、被報道状況モニタリング、危機管理の重要性
4.2 統計解析の方法
4.3 分析結果
4.4 本章のまとめ

第5章 広報体制の事例分析 ――九州大学の事例をもとに  

5.1 広報体制検討の課題
5.2 調査の概要
5.3 調査結果
5.4 本章のまとめ

第6章 社会的ニーズ収集具体例の事例分析
   ――北陸先端科学技術大学院大学の事例をもとに  

6.1 北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の概要と課題
6.2 社会イノベーション事業の端緒
6.3 地域社会のニーズを収集する方法としての学官連携協定
6.4 学官連携協定を基礎とする科学コミュニケーション活動としてのサイエンスカフェ
6.5 4年間の実践結果の考察  大学が社会的ニーズを収集するために必要な組織基盤
6.6 本章のまとめ

第7章 科学コミュニケーションの応用的展開 ――研究倫理教育への応用の可能性  

  7.1 研究不正と科学研究への社会的信頼の低下
 7.2 日本で頻発する研究不正事件
 7.3 日本政府の対応  「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」の策定
 7.4 e-learning とテストクイズ形式による研究倫理教育
 7.5 CITI JAPAN PROGRAM の効用と課題
 7.6 科学コミュニケーションを応用した研究倫理教育の実践
 7.7 実際に大学院生の倫理感は向上したか
  7.8 本章のまとめ

第8章 考察と結論、今後の展望

  8.1 大学及び公的研究機関の実態調査から分かったこと
  8.2 広報体制・広報担当者の望ましいあり方
 8.3 広報部門の組織活動の影響
 8.4 九州大学の具体事例から分かったこと  広報体制
 8.5 北陸先端科学技術大学院大学の具体事例から分かったこと  社会的ニーズの収集方法
 8.6 科学コミュニケーションの研究倫理教育への応用の可能性
 8.7 結  論
 8.8 今後の展望

 参考文献
 参考資料 質問票
 謝  辞
 事項索引
 人名索引


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