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和解論

和解論

A5判 508ページ 上製
定価:6,000円+税
ISBN978-4-7985-0246-5 C3032
奥付の初版発行年月:2019年02月 / 発売日:2019年02月中旬

内容紹介

「日本民法典の父」と呼ばれる梅謙次郎(1860-1910)が、若き日にフランス・リヨン大学に提出した博士論文は、和解論であった。梅の和解論がかの地で高い評価を受けたことは夙に知られているが、その内容については必ずしも十分な研究が行われてこなかった。そのため、梅の博士論文と明治民法の和解に関する規定の連続性が正確には理解されず、その結果、現代日本の和解論には、数多の誤解、欠落、混乱が生ずるようになった。

そこで本書は、まず梅が和解論で扱ったテーマ、すなわち和解の定義、性質、能力、権限、目的物、効力、解釈、無効、取消といった問題につき、19世紀フランスの和解論と梅の和解論を対比させつつ論じ、これらの問題に関する当時の議論状況を確認する。また、同時に、梅の和解論の意義と特色も明らかにしている。

次いで、旧民法から明治民法に至る和解関連規定の成立史を跡づけ、明治民法の和解に関する規定が、博士論文における梅の学説の規範的記述であることを確認する。さらに、明治期以降の判例、学説、立法の検討を通じて、民法典制定から現在に至るまでの和解論の展開過程も考察している。

そして、これらの作業を通じて得られた知見をもとに、現在の和解論の誤解や欠落を指摘し、互譲の要否、確定効と民法第696条の関係、和解と錯誤などの問題につき、新たな解釈論を提示する。また、これまでまとまった形で論じられたことのなかった、裁判所の許可を要する和解につき、その概念を整理したうえで、これに検討を加えている。

このように、本書は民法上の和解に関する従来の議論を一変させるものであり、研究者や実務家のみならず、和解による紛争解決に関心を持つすべての方に必携の書といえよう。

著者プロフィール

遠藤 歩(エンドウ アユム)

1972年  長野県に生まれる
1995年  大阪市立大学法学部卒業
2002年  九州大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学
2002年  東京都立大学法学部助教授
現 在  九州大学大学院法学研究院准教授、九州大学・博士(法学)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡例

第一章 序論
第一節 本書の目的
第二節 本書の課題
第三節 本書の構成
一 本論
二 結論

第二章 一九世紀フランスの和解論と梅の仏文和解論――その全体像の解明に向けて
第一節 和解の定義
一 疑わしい権利(droit douteux)
二 互譲(concessions reciproques)
三 梅の定義
第二節 和解の性質
一 諾成契約
二 有償契約
三 双務契約
第三節 和解の方式と証拠
一 和解の方式
二 和解の証拠
三 証言による証拠(preuve testimoniale)
四 推定(presomption)
五 自白(aveu)
六 宣誓(serment)
七 小括
第四節 和解の能力と権限
一 和解能力(capacite de transiger)
二 一般的な理由に基づく和解能力の制限
三 特別な理由に基づく和解能力の制限
四 破産者の和解能力五和解権限(pouvoir de transiger)
第五節 和解の目的物
一 犯罪および不法行為
二 賭博債務
三 人の身分(etat des personnes)
四 嫁資(biens dotaux)
五 扶養請求権(aliments)
六 小括
第六節 違約金条項
第七節 和解の効力
一 終審における既判事項の権威(autorite de la chose jugee en dernier ressort)
二 和解の効力は確認的(declararif)か、移転的(translatif)か
三 担保責任(garantie)
第八節 和解の第三者に対する効力
一 相対効の原則
二 連帯債務
三 連帯債権
四 不可分債権債務
五 保証
第九節 和解に包含される事項
一 仏民第二〇四八条、第二〇四九条
二 仏民第二〇五〇条
第一〇節 和解の無効と取消
一 和解の不可分性(indivisibilite)
二 莫大損害(lesion)
三 詐欺(dol)および強迫(violence)
四 法律の錯誤(erreur de droit)
五 人に関する錯誤(erreur sur la personne,仏民原始規定第二〇五三条一項)
六 争いの目的物に関する錯誤(erreur sur lʼobjet de la contestation,仏民原始規定第二〇五三条一項)
七 計算の錯誤(erreur de calcul,仏民原始規定第二〇五八条)
第一一節 小括――梅の和解論の特色と梅の法思想
一 梅の和解論の特色
二 梅の法思想

第三章 我が国における和解論の生成と展開――明治期から現在まで
第一節 和解の定義
一 旧民法
二 明治民法
三 現在の法状況
四 示談と和解
第二節 和解の性質
一 旧民法
二 明治民法
第三節 和解の証拠
一 旧民法
二 明治民事訴訟法
第四節 和解の能力と権限
一 和解能力
二 一般的な理由に基づく和解能力の制限
三 特別な理由に基づく和解能力の制限
四 破産者の和解能力
五 和解権限
第五節 和解の目的物
一 犯罪および不法行為――特に、親告罪における告訴権
二 高利契約
三 文書の偽造または変造
四 賭博債務
五 行政訴訟
六 身分関係
七 扶養請求権
第六節 違約金条項
一 旧民法
二 明治民法
三 私見
第七節 和解の効力
一 確定効
二 民第六九六条の成立過程とその趣旨
三 民第六九六条と確定効の関係
四 不可争効の意義
五 民第六九六条の意義
六 創設的効力
七 担保責任
第八節 和解の第三者に対する効力
一 相対効の原則
二 連帯債務
三 全部義務または不真正連帯債務
四 連帯債権
五 不可分債権債務
六 保証
第九節 和解の解釈
一 旧民法
二 明治民法
三 清算条項の解釈
第一〇節 和解の無効と取消
一 和解の不可分性
二 莫大損害
三 詐欺、強迫
四 法律の錯誤
五 人に関する錯誤
六 争いの目的物に関する錯誤
七 和解の錯誤に関する一般原則
八 交通事故における示談と錯誤
九 計算の錯誤

第四章 結論
第一節 総括
第二節 裁判所の許可を要する和解
一 裁判所の許可が必要とされる根拠
二 裁判所以外の第三者による和解の許可

主要参考文献一覧
あとがき
判例索引
事項索引


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