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 グローバル社会に対応する全人・統合アプローチフィリピンの価値教育

フィリピンの価値教育 グローバル社会に対応する全人・統合アプローチ

A5判 上製
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-7985-0124-6 C3037
奥付の初版発行年月:2014年03月 / 発売日:2014年03月中旬

内容紹介

近代国家としての成立過程で苦難の歴史を経験し,多民族・多宗教国家でもあるフィリピンにおいて,望ましい国民像の創成のために導入された価値教育(日本の道徳教育に相当)。本書はマニラ首都圏やミンダナオ・ムスリム圏などフィリピン各地の教育現場における現地調査をもとに,価値教育の沿革と成果そして課題について,地域性と宗教の観点から比較分析したものである。

著者プロフィール

長濱 博文(ナガハマ ヒロフミ)

長濱博文(ながはま ひろふみ)
1967年生。九州大学大学院人間環境学府博士後期課程単位取得退学。
サンディエゴ州立大学大学院人文学部アジア研究科/教育学副専攻修了。博士(教育学)。九州大学大学院人間環境学研究院及び教育学部助手,九州女子大学人間科学部講師を経て,現在,同大学人間科学部人間発達学科准教授。専攻は国際比較教育学,国際理解教育,道徳教育。
主な著書,論文
「グローバル化する社会に求められる価値理念の構図─国民性・市民性に関するフィリピン・オーストラリアとの比較考察─」(『グローバル教育』Vo.14,2012年),「フィリピンの教員─基礎教育の確立と教員の地位向上の両立を目指して─」(共著,小川佳万・服部美奈編『アジアの教員養成』学文社,2012年),「フィリピンにおける価値の明確化理論の可能性─米国発教育理論の変容─」(共著,望田研吾編『21世紀の教育改革と教育交流』東信堂,2010年),「フィリピンにおける教育計画」(共著,杉本均・山内乾史編『現代アジアの教育計画(下)』学文社,2006年),「フィリピン統合科目における価値教育理念の検証─異教徒間の国民的アイデンティティ形成に着目して─」(『比較教育学研究』第33号,東信堂,2006年)。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 はじめに

序章 本研究の課題設定と分析の枠組み

 第1節 本研究の目的と意義
  1. 問題意識と研究目的
  2. 本研究の意義
      持続可能性を開く内発的発展モデルとしての価値教育  
 第2節 先行研究の検討
  1. フィリピンにおける価値教育の先行研究
  2. 日本におけるフィリピンの価値教育に関する先行研究
 第3節 本研究の分析枠組み
  1. フィリピンの価値教育の特質に関わる分析
  2. フィリピンの革命の歴史からの分析
  3. フィリピンの宗教と地域性に着目した分析
  4. 価値認識に関する分析
 第4節 本書の構成

第1章 マルコス政権とアキノ政権下の価値教育の展開

 第1節 米国によるフィリピン植民地教育の展開(1898?1946)
  1. 「親愛なる同化」政策と比国委員会
  2. フィリピンの植民地教育の目的・行政組織・教員
  3. 教育制度の展開
  4. 植民地教育の特質についての考察
  5. ミンダナオにおける近代学校教育の成立
 第2節 マルコス政権下における価値教育
  1. マルコス政権の教育政策
  2. 開発体制下における道徳教育から価値教育への変遷
  3. ユネスコ協同学校の展開
  4. マルコスの強調した教育的価値
 第3節 アキノ政権下における価値教育
  1. 価値教育の成立と展開
  2. アキノ政権の教育政策と教育的価値
  3. マルコスとアキノが強調した価値の相違点・類似点

第2章 フィリピンの統合科目における価値教育の理念

 第1節 価値教育の確立と統合科目の成立
 第2節 統合科目を基礎づける価値教育の理念
  1. 1987年憲法と価値地図
  2. 1997年改訂価値地図とユネスコの理念
 第3節 フィリピンの基層文化と価値
  1. フィリピンの基層文化を形成する諸要素と要因
  2. キリスト教とイスラームからの価値

第3章 価値教育の全人・統合アプローチによる展開

 第1節 全人・統合アプローチの理念
 第2節 価値の明確化理論の変容
  1. 価値の明確化理論の成立過程
  2. フィリピンにおける価値の明確化の実践
  3. フィリピンと米国における価値の明確化理論の位置づけ
 第3節 価値形成過程の4段階
 第4節 フィリピン師範大学における価値教育プログラム
  1. フィリピンにおける教員の役割
  2. フィリピン師範大学の教員養成の目標
  3. 4Aアプローチとストラテジー(ACESモデル)
  4. 基礎教育カリキュラムの価値と内容
  5. 統合科目における授業実践
  6. 指導案からのカリキュラム分析
  7. 価値形成過程モデルの新たな解釈
  8. タギッグ・ナショナル・ハイスクールの事例
 第5節 ミンダナオにおける価値教育の実践
  1. ミンダナオ州立大学にみるカリキュラムの特色と教員養成
  2. ミンダナオ州立大学における事例(1)
      大学生の教師志望者による実験授業  
  3. ミンダナオ州立大学における事例(2)
  4. リバーサイド・ナショナル・ハイスクールの事例
  5. マーシー・ジュニア・カレッジの事例
  6. マニラとミンダナオにおける授業実践と教授される価値

第4章 意識調査にみる子どもの価値認識

 第1節 意識調査の目的
 第2節 調査対象の地域と学校の特性
  1. フィリピンの中等教育の状況
  2. 調査地の地域性と調査校の概要
 第3節 歴史・宗教・地域性からの分析
  1. 調査の概要
  2. 革命をめぐる歴史理解
  3. 宗教と地域性による価値選択の相違
  4. 国への愛情について

第5章 価値教育の理念から実践への展開

 第1節 革命の歴史理解にみる教育的価値認識
 第2節 宗教と地域性の分析にみる文化的価値認識
 第3節 コレスポンデンス分析による中核的価値認識の抽出
  1. 意識調査の解析
  2. カテゴリー間の相関関係
  3. 全人・統合アプローチとの関係
 第4節 教師の価値教育に対する評価と価値認識
  1. 教師の価値教育と統合科目に対する評価
  2. コレスポンデンス分析から考える教員の価値分析

第6章 市民性教育との比較考察と教育改革の動向

 第1節 市民性教育の観点からの価値教育の考察
  1. オーストラリアの事例との比較分析
  2. オーストラリアにおける多文化教育の展開
  3. オーストラリアにおける価値教育導入の成立過程
  4. オーストラリアの公立学校における授業実践
 第2節 市民性と国民性の概念をつなぐ価値理念の構造
  1. フィリピンとオーストラリアにおける価値教育の類似点と相違点
  2. ナショナリズムと普遍的価値の役割
  3. 国民性・市民性形成における価値理念の統合機能
 第3節 2012年度カリキュラム改革における価値教育の位置づけ
  1. 教育改革におけるASEANとの協調
  2. 教育改革の前提となる国内的要因
  3. K to 12 カリキュラムの特徴
  4. カリキュラム改革と価値教育の動向

終章 総括と今後の課題

 第1節 価値教育と国民的アイデンティティの形成
  1. フィリピンの価値教育の特質
  2. 価値教育が異教徒の子どもたちに与える影響
 第2節 価値多元社会における価値教育の可能性
  1. フィリピンにおける価値教育を通した平和構築
  2. 価値教育の可能性と留意事項
 第3節 今後の課題

参考資料

参考文献

あとがき

索引


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