マクロ金融危機入門
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-7664-2988-6 C3033
奥付の初版発行年月:2024年10月 / 発売日:2024年10月中旬
・「金融危機」についての最新の知見を第一線の研究者が解説。
・コンパクトな表現で、最新の理論と実例を紹介。
2008 年の世界金融危機以降、その原因についての研究が膨大に蓄積され、来るべき危機に備えた政策が検討された。しかし大学の経済学コースではそうした危機についての全体像を学ぶ機会が実は少ない。本書では10 の経済危機モデルと、それに該当する2つの事例を各章で平易に解説。学生・ビジネスパーソンともに役立つ1 冊。
マーカス・K・ブルネルマイヤー(マーカスケーブルネルマイヤー)
米国プリンストン大学のエドワーズ・S・サンフォード教授兼ベンドハイム金融センター所長。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)より博士号取得。専門はマクロ経済学、金融理論、特にバブル、デジタル通貨など。2023 年アメリカ金融学会会長。2023 年から日本銀行金融研究所海外顧問。著書に『レジリエントな社会』立木勝・山岡由美訳、日本経済新聞出版)がある。
リカルド・レイス(リカルドレイス)
英国ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のA・W・フィリップス教授。ハーバード大学より博士号取得。専門はマクロ経済学、金融・財政政策、特にインフレ、景気循環など。2021 年ユルヨ・ヨハンソン賞、2022 年カール・メンガー賞。英国アカデミー会員。
栗林寛幸(クリバヤシヒロユキ)
東京大学特任研究員。東京大学教養学部卒業(国際関係論)。英国ケンブリッジ大学修士課程修了(経済学)。訳書にケン・ビンモア『正義のゲーム理論的基礎』(NTT出版)、ピーター・テミン『なぜ中間層は没落したのか』(慶應義塾大学出版会)、ポール・コリアー&ジョン・ケイ『強欲資本主義は死んだ』(勁草書房、共訳)などがある。
小谷野俊夫(コヤノトシオ)
静岡県立大学名誉教授。1969 年早稲田大学政治経済学部卒。1975 年ペンシルベニア大学ウォートンスクール修了(MBA)。第一勧銀調査部ニューヨーク駐在シニア・エコノミスト、DKB 総研経済調査部長を経て1997 年静岡県立大学教授。主な訳書にエド・コンウェイ『サミット』(一灯舎)、『ケインズ全集 第20 巻』(東洋経済新報社)などがある。
青木浩介(アオキコウスケ)
東京大学大学院経済学研究科教授。プリンストン大学にてPh.D.(Economics)取得。専門はマクロ経済学、金融政策。2001 年ヨーロッパ経済学会Young EconomistAward、2014 年日本経済学会中原賞、2020 年全国銀行学術研究振興財団賞受賞。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
1.1 破綻
1.2 本書の構成
1.3 本書の利用法
1.4 謝辞
第Ⅰ部 増大する脆弱性:危機の前段階
第2章 バブルと信念
2.1 ケインズ美人投票によるバブルのモデル
2.2 1980年代半ばの日本のバブル
2.3 1998~2000年のインターネット・バブル
第3章 資本流入とその(誤)配分
3.1 誤配分のモデル
3.2 ユーロ危機の種:ポルトガルの21世紀の低迷
3.3 チリの1970年代の自由化と1982年の破綻
第4章 銀行と類似機関
4.1 現代の銀行と「影の銀行」
4.2 米国のサブプライム住宅ローンと証券化
4.3 2000年代のスペイン信用ブーム
第Ⅱ部 破綻:引き金と増幅装置
第5章 システミック・リスク、増幅、伝染
5.1 戦略的補完性、増幅、複数性
5.2 2000年代のアイルランド銀行部門のシステミック・リスク
5.3 1997-98年の新興市場の嵐
第6章 支払能力と流動性
6.1 負債と非流動性不足と債務超過の区別の難しさ
6.2 1931年のドイツ銀行システムの破綻
6.3 2010~12年のギリシャ国債危機とIMF
第7章 民間部門と公的部門のつながり
7.1 悪魔の(破壊的)ループ
7.2 2007~10年における欧州の銀行とソブリン債
7.3 アルゼンチンの2001~2年危機
第8章 安全への退避
8.1 安全資産
8.2 2010~12年のユーロ地域の借入コスト
8.3 2020年のパンデミック時の安全資産への逃避
第Ⅲ部 政策と回復
第9章 為替政策と(均衡)回復の速さ
9.1 為替レートと回復のモデル
9.2 1994~95年のメキシコのテキーラ危機
9.3 2008年グローバル金融危機から続く長期停滞
第10章 新しい伝統的金融政策
10.1 準備の飽和と量的緩和
10.2 1998年以降の日本銀行のイノベーション
10.3 危機下のユーロ圏イールド・カーブ
第11章 財政政策と実質利子
11.1 貯蓄と投資の再考
11.2 2020年の感染症大流行中の貯蓄増加
11.3 アメリカ大恐慌の終焉
第Ⅳ部 おわりに
第12章 結論
『マクロ金融危機入門』解説 (青木浩介)